2023年05月06日

予想を予想して読む

リライトのときにこれが出来るか、出来ないかだ。


観客はつねにストーリーを予想しながら見ている。
「これはこうなるんだろうな」
「まさかこれはこうならないだろうな(なったらどうしよう。むしろなれ)」
「真ん中くらいまで来たな」
「いよいよ最終決戦だ」
「犯人は多分あいつだ」
「多分あいつは謝らない」
などである。

何度も書き直すリライトでは、
これを忘れてしまうことが稀によくある。

自分はストーリーを分ってしまっているから、
それをどうこうしようとしてしまう。

観客はつねに初見である、
ということをわすれがちで、
ちょっとしたどんでんでも驚く、
などを忘れがちなんだよね。

それを忘れない為には、
観客の予想を予想しながら読めるか、
ということなんだよな。

これは、自分の予想(初見での予想と、
何度も読んだあとの予想しない自分)と、
初見の観客の予想を、
分離しながら読めるか?ということだ。

つまり、予想を二本立てで並列しながら、
読むことが可能か?ということだ。


あなたが初見であれば、
あなたの予想と観客の予想は同じだろうか?
そうではない。

特殊な人と、一般的な人の差だ。
平均的な予想と、あなたの予想は異なることもある。

だからつねに二つの予想が、
読みながらなければならない。
俺の予想はこうだが、
普通はこう予想しているだろう、
ということだ。


これが出来ない人は、
たくさんの観客の前に出すものをつくれない。
俺はこう思うからこれ、しかつくれない。

多くの人はこう予想するから、
それを上手に誘導して、
意外な展開にするとか、期待通りにして拳を握らせる、
とかが出来ない。
逆に、それが出来るということは、
予想を予想しているからだ。

その勘が、話が上手いかどうかの、
センスという言葉の一部だろうね。


第一稿では、
自分が予想しながら書くから、
観客の予想はある程度織り込める。

しかしリライトを始めると、
その予想を忘れてしまって書き直すことが、
稀によくある。

あれ? 俺予想を予想しているかな?
と自問自答しよう。
観客が今何を予想しているかつかめていないなら、
そのリライトは迷路に入っているよ。
posted by おおおかとしひこ at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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