2023年05月25日

説明は、感動するようにせよ

何故説明シーンが下手なのか?
それは、説明をしようとしてるからじゃないか?


説明シーンなのに説明しようとするのはだめだ、
というのは何の矛盾だ?
いや、これは何の矛盾でもないんだよね。


説明したいのは、
あくまで説明したい人の都合だよね。

説明される人は、
説明されたくてここに来てるわけじゃない。

この非対称性をまず前提にすることだ。


下手くそなCMを見ればわかるよね?
下手なCMは説明ばっかしてる。
ぜんぜんつまらない。

じゃあ上手なCMは?
感動するやつだよね。
その感動が、実は説明になってればいいんだ。

そんなことできるのか?
できる。

100%再現性があるとは限らない。
でも僕の脚本論は、
たまに感動するやつあるでしょ。
ということは、
説明で感動することが、人にはあるんだよ。
できないか、できるかでいうと、できる。

じゃあどうやればいいかでいうと、
まず説明する人が、
そのことに感動しないと説明できない。
そのこと自身に感動してる人が、
感動を分かち合いたくて説明しないと、
感動なんて伝わらない。

仮に本人の感動が100あったとしても、
伝え方が下手なら10とか2とかしか伝わらない。
それはきちんとがんばれ。
伏線や対句や例え話など、
その辺に転がってるテクニックが使える。
それを使いこなせないなら使いこなせるようになれ。

でも人間不思議なもので、
その人の熱量は伝わるようにできている。
だから、あなたが真剣にその内容に感動してて、
真剣にその内容を説明したいなら、
たぶんそれは感動的な説明になるよ。

人が感動するのは、
説明そのものじゃなくて、
それが表してる、人の勇気とか、人の知恵とか、
人の熱心さとか、人の思いだと思うんだよね。
そこに到達させればいいのさ。

ある発明品の誕生秘話って大体面白いじゃない?
それは、「この状況をなんとかしたい」
という熱い思いが人を感動させるんだよね。

そんな風にして、
説明文章そのもので考えるんじゃなくて、
説明の内容そのものを、感動させるようにするんだよ。


あなたは最近何に感動した?
それはどういう所に感動したの?
他に感動したやつは?
それはどういう所に感動したの?
それらを言語化してみよう。
そしたら、そうなるような内容を、
思いつけばいいのさ。

思いつかないなら才能がないから、
シナリオライターなんて向いてないからあきらめなさい。
これなら行けそう、
を持ってこれる人だけが、
死なずに続けられるぞ。


そもそも、説明しようとしてるから間違いなんだ。
この感動を分かち合いたい、って説明するから、
みんなじっとそれを聞くんだよ。

前も書いたけど、
物理の古川先生が、
「宇宙衛星の軌道計算をしよう」って急にSFを始めて、
第二宇宙速度を求めて、
30分かけてスイングバイを計算して、
「今日、ボイジャーが木星につきます」
って結果を出した時、震えたもんね。

何十年も前に今と同じ計算をした人がいて、
その計算通りにちゃんとなって、
本当にそれが出来て、
今俺たちが習ってるのはそんな偉大なことなんだぜ、
って言われたら泣いちゃうよな。

もちろん毎回うまいことはいかない。
でもそれを目指したもののほうが、
説明しかしない説明より、
よほど人の心を動かすというものだ。

良きシナリオライターならば、
「カップラーメンはお湯を注いで三分待つと食える」
ことすら、感動できる説明になるかもしれないね。



……ちょっと考えたけど思いつかなかったので、
SEIKOの名作をコピペしておくので参考にされたい。

『一秒の言葉』

「はじめまして」 この一秒ほどの短い言葉に、一生のときめきを感じることがある。
「ありがとう」 この一秒ほどの短い言葉に、人のやさしさを知ることがある。
「がんばって」 この一秒ほどの短い言葉で、勇気がよみがえってくることがある。
「おめでとう」 この一秒ほどの短い言葉で、しあわせにあふれることがある。
「ごめんなさい」 この一秒ほどの短い言葉に、人の弱さを見ることがある。
「さようなら」 この一秒ほどの短い言葉が、一生の別れになる時がある。
一秒に喜び、一秒に泣く。一生懸命、一秒。
SEIKO

間接話法で、「SEIKOは、一秒を死ぬほど大事にしてるよ」
ってことを「説明」してるんだね。
posted by おおおかとしひこ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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