前記事の続き。
ストーリー全体を立たせることはとても難しい。
現実的なところから着手しよう。
小エピソードを工夫することからだ。
小エピソードなんていくらでもある。
仲直りする、
恋する、
決定的な亀裂が生じる、
喧嘩して勝つ、
中庸の策を出す、
一手先んじる、
などなどだ。
そういうときに、
平凡な、ベタなやつを出しても印象に残らない。
たとえば、
「女子新入社員が、先輩に優しくされてキュンときちゃう」
という小エピソードが必要なとき、
どうする?
高いところのものを取ってくれた?
パソコンの分らないところを教えてくれた?
書類の不備を教えてくれた?
この程度じゃつまらないよね。
どこかで見たような、ベタというか、平凡なものだからだ。
じゃあ一端シンキングタイムを入れようか。
仕事のあとに飲みに行った時に、
愚痴を言い出した、って所で描くかな。
つまり、会社ではカッコイイ先輩なんだけど、
実は人間だった、というギャップで描こうとすると思う。
このときにどういう愚痴によるかなんだけど、
それが今後の展開にかかわっていることだと、
意味が出てきていいと思うがね。
そして飲みですらなくてもいいかもしれないね。
全然違う印象的な場所でもいい。
立ち食い蕎麦屋とか、駐車場でもいいくらいだ。
これも屋上で缶コーヒーなんてベタにしなければ、
立っているエピソードに近づく。
ふつうに会社でキュンとするような、
新しいエピソードがあれば別だけど、
それで勝負できるならばそれがベスト。
そうじゃないときは、搦め手という作戦もあるよ。
そのときに、
グッとくる言葉とかを思い付けば、
それだけで普通じゃないエピソードになるので、
それを思い付けば勝ちになるだろうね。
どんなラブストーリーでも、
好きになるきっかけに、印象的で、
立っているエピソードを持ってくるものである。
それは、それがラブの第一印象になるからだね。
そこさえうまく流れれば、
そのあとは多少ベタな話があっても構わない。
すでに立っているストーリーだから、
立っていることを脅かすわけではない。
立っていないベタなストーリーの途中に、
いきなり立っているエピソードを入れてもあまり効果的ではない。
まあ全部立っていないストーリーよりなんぼかましだけど。
小エピソードの切れのよさで、
そのストーリーの質が決まることもある。
単なる回想話が切れがよくなるだけで、
とても面白くなることはよくあることだ。
現実では、
女子が男子を好きになるときは、
徐々に好きになるものだ。
立っているエピソードだから好きになるのではなく、
ちょっと好きなところがあり、
また好きなところを見つけて、
などのように、気づいたら近くにいたいと思うようになっている、
という感じが多い。
しかしそれはドラマティックではない。
ドラマティックというのは、
一撃で決着をつけることである。
(拳の決着でも同様)
だから、切れの良い、立っているエピソードで、
切って落とすのがいいと思うよ。
プロットに書いてある、
具体的なエピソードがない、
抽象的なものを書くときに、
小エピソードが必要になるときがある。
それを単なるベタな、
先輩が高いものを取ってくれた、キュン、
にしないほうがいい、ということ。
他にない、
そういう好きになり方があるよなあ、
という発見が、
創作そのものだと思うよ。
2023年05月30日
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