全てのシーン、全ての台詞が名作であることはほぼない。
どんなものでも捨てる部分があり、
そこはつなぎになっていることが多い。
リライトで気を付けることはそこだ。
やるべきでないことは、
勝負シーンを改定してしまい、
勝負じゃないシーンを保存して改定しないこと、だ。
勝負シーンとは、
たとえば泣けるシーンでもいいし、
大爆笑でもいいし、
キュンとするシーンでもいい。
感心するところでもいいし、
驚くところでもいい。
とにかくその作品で、
ふつうじゃ書けない、滅多にない独特のシーンであることだ。
勝負シーンというと一回勝負を連想するから、
勝負シーンというより、
「良いシーン」というべきだろうか。
しかし、
単純に「良いシーン」じゃだめで、
その作品のアイデンティティーになるような、
独自に良いシーンのことを指そう。
それはいくつあるかな。
1じゃ足りないね。
2か3でよい。
10あってもいい。
100はないだろう。
仮に5としようか。
リライトとは、
その5を改定せずに、
残りを全部書き直してもいいくらいだ。
つまりその他は、
説明だったり、段取りだったり、
ストーリーを前に進めるためだけのシーンだったりするからだ。
とくにグッと来ないとか、
爆笑してしまうとか、ニヤニヤしてしまうとか、
感情がふれないような、
ふつうのシーンだったら、
どんどんリライトしてしまって構わない。
だって「良い」シーンじゃないんだもんね。
あるいは、いかに良いシーンであっても、
勝負シーンのためならば、
改定を辞さない、ということだってあり得る。
勿体無いが、ものすごく良いシーンのために、
まあまあ良いシーンを改定することは、
まれに良くあることだ。
つまり、重要の順をつけようということだ。
リライトはつい頭からやってしまうから、
全体を見ながらリライトすることは難しい。
だから、
このシーンとこのシーンと……を、そのまま保存して、
そこは勝負のために置いておき、
その他を改定して、
うまく勝負シーンにつなぐことを考える、
というのがリライトですること、
と考えてもよい。
もっとも、リライトにはいくつかの段階があり、
これは後半だろうかね。
リライトの前半では、
ストーリーそのものを改定して、
練り直すことがよくあるからね。
大体それらが決まってきてから、
表現、伝え方でそれをコントロールする、
という後半の段階が、
そのリライトの基準かもしれない。
にしても、
「このシーンがこのストーリーの勝負である」
「そこが成功すればこれは成功」というシーンが、
いくつか必ずあるはずだ。
なかったら、平凡なものでしかないだろうから、
そこはオリジナルないいシーンを書いてから考えろ、
としか言いようがないが。
そしていったんできたら、その良いシーンを変えてはいけない。
オリジナリティ、アイデンティティを捨てることになる。
それら以外をうまく書き直して、
それらに接続しなおす段取りを組みなおすといいだろう。
もっとも、それがそんなに良いか?
ということもあるので、
あるいは別のものがアイデンティティーだったか、
ということもあり、
見極め自体が難しいんだけどね。
2023年06月10日
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