僕が「配列を変える」という概念を思いついた時、
あるいは配列を変えている人が結構いると知った時、
見たかったのは、ほんとにそれで打っている様子だ。
生で見てその場で質問できるのが最高だけど、
少なくとも動画で転がってんだろ、
と探したら全然なかった記憶がある。
だから僕の撮らせてもらったKIHでの打鍵動画は、
そうした「配列を検討しようかなと思う人」に対する、
過去の自分が欲しかったものだ。
当時(今でも)、みなさんは、
文字で語ることは沢山していた。
タイプウェルのスコアで語ったり、
10分あたり、1時間あたりの文字数なんかで、
巡航速度などを語っていたものの、
「実際どんな感じか」は、
想像の中でしかなかった。
僕が知りたかったのは特に親指シフトで、
鼻息荒いシフターたちが、
qwertyを全否定し、JISカナを全否定するものの、
じゃあ極めた親指シフトの打鍵動画を上げていたとはいえず、
ぶっちゃけ「理想の打鍵」を、
嘘をつくことすらできた。
だから綾木さんの親指シフトを撮れたのは僥倖で、
5年前の俺へのメッセージともなった。
シフターが神として崇めるほどじゃないぜ、と。
爆速は、方式ではなく人の属性では?と。
彼らが全否定する、
qwertyやJISカナの、頂点を収められたのも大収穫だ。
この速度で書きたければ、
ここまで達人にならないといけない、
が視覚的に示されたと思う。
ローマ字で秒14打、JISカナで秒8.5打は正気じゃない。
それでも1700字(変換後)/10分と、
薙刀式の1500とあまり変わらない衝撃。
そして、
タイパーたちの日常文を書く速度が、
我々の黙読の速度より遅いことは、
事実として曝け出されたと考えている。
つまり、おそらくだけど、
我々の黙読速度を超えて日常的に日本語をタイピングできる人は、
日本にいない。
(数名くらいはいるかも)
この時点での「タイピングの天井」を、
明らかにできたことも収穫だよね。
じゃああとは、
そこそこの速度でいいから、
一番楽してるのがいいんじゃない?
って思うよね。
その中で、
カナ配列では薙刀式、飛鳥、新下駄、親指シフトあたりが、
打鍵の感じが楽そうだなと思えた。
月配列系は次点かな。まだ指が忙しそうだ。
でもqwertyに比べればバラバラに指が動いてないので、
いいかもなあとは思う。
行段系では、
大西配列が抜けてた気がする。
カナに手を出すほどの勇気がなければ、
まずこれを選択するべきではないかな。
もっとも、
カナ配列のほうが指の動きが、
総量的に少ないのは明らかだから、
行段系でもまだ疲れるなら、
腰を据えてカナ配列を検討する時が来るだろう。
漢直はやはり異次元で、
変換のわずらわしさがないのは全くすごい。
しかし勇気という点では、
26/50/1600の差があるわけで…
「キーの位置を変えれば、より動線は合理的になるのでは?」
「キーの位置を変えて交通整理をすれば、
渋滞は解消するのでは?」
と思ったとしても、
ほんとうにそうなるかは分からない。
しかしこれらの動画たちが、
現実解を示している。
ここまでは全然できますよと。
あとは、やれそう、やってみたい、
自分ならこうしたい、
などの、次を考えられると思うのだ。
5年前の自分ならどうするだろうね。
大西配列をとりあえずやってみて、
そのうち薙刀式や飛鳥配列あたりを、
やってみようと思うんじゃないかなあ。
好みでいうとそんな感じで、
人には好みがあって良くて、
だから一覧資料には意味がある。
「配列を変えるメリット」を、
示せた人はなかなかいない。
個人の感想ですどまりだからね。
「キーボード強者の日常文打鍵動画」を見ると、
色んな配列のリアルを、まざまざと見ることができる。
その上で、
俺は配列を変えるべき、
俺は変えなくて良い、
を選択すればいいと思う。
qwertyローマ字もJISカナも、
日本語の生産性を落としている。
自分の意思すら書けない文房具って何よ。
それを変えるやり方は、たくさんある。
5年前の俺たちにむけて。
もちろんKIH動画以外もたくさん配列動画はある。
http://oookaworks.seesaa.net/article/475004852.html
に集積しているので参考にされたい。
ようやくここにもKIH分を反映させておきました。
2023年05月26日
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