2023年06月28日

コンセプトを決めること

映画はコンセプトがしっかりしていることが大事だと思っている。



コンセプトは、企画性といってもいいだろう。
ストーリーともプロットとも違うものだと思う。
「正月映画は大型時代劇で」もコンセプトだし、
「恐竜がCGという新技術でまるで本物みたいに」も、
「〇〇が脱ぐ」も、
「正体を知らずに会って義兄弟になってしまった二人が、
互いに宿敵と知る」もコンセプトだ。

つまり、「それを知ったらおもしろそう」と思って、
引きつけられて、
見てみよう、と思える何か、
でいいと思う。

まずそれが出来ていないと、
そもそも興行として弱い、ということだ。

そしてそれがストーリーと関係してくるのが最高だ。
「〇〇が脱ぐ」というコンセプトは、
映画だろうがAVだろうが関係ないし、
脱ぐシーンを見たら終りなので、
映画である必然性がない。
だから、「ああ脱いだ脱いだ」がピークで、
その前も後もどうでもよい、とさえいえる。

「すごい映像」もそのうちだ。
その映像自体はすごいかもしれないが、
それがストーリーと関係なかったら、
それを見たらおしまいになってしまい、
もう帰ってもいいですか、になってしまう。

つまり、コンセプトには二種類ある。
点と線である。

点のコンセプトは、
映画でなくても成立してしまうものだ。
だから、映画ならではのコンセプトというものは、
線になるように、
ストーリーに関係するものであるべきだ。

しかし、そういうものを考えることはなかなか難しいよね。
だから価値がある、と思ったほうがいい。

「RRR」の、
「正体を知らずに会って義兄弟になってしまった二人が、
互いに宿敵と知る」は、
ストーリーのほんの最初の部分だが、
それだけでも面白く感じる。

一体どうなってしまうのだろう?
という引きがある。
そして、あとはダンスやアクションなどの、
インド映画特有の点をちりばめれば、
もう見たいとなるはずだ。

つまり、コンセプトは、
線を中心に点で飾り付けたもの、
と考えてよいだろう。

「トップガンマーヴェリック」では、
「凄腕パイロットがついに現役復帰できると思ったら、
実行不可能なミッションのために、
ひよっ子たちに飛行技術を教える羽目に。
失敗したら教え子を死なせることになる」
というコンセプトで、
「あのトップガンの続編!」
「かつてはトム・クルーズは教え子役だったが、
年を経て教師役になるのだ!」
「戦闘機を役者が実際に飛ばしてコクピットを撮影」
「海軍全面協力」
「あの歌も流れるぜ!」
なんかが点のコンセプトになるわけだ。


もしここで、線のコンセプトがなかったら?

単なる点の集合体になってしまい、
映画ではなくなってしまうと思う。
そして、そんな糞作品がたくさんある。
「人気芸能人がたくさん出る!」
「意外な〇〇役!」
「主題歌は〇〇!」
「人気原作の実写化!」
「人気シリーズ最新作!」
などなどなどなど。
中心となるコンセプトが欠けている、
ドーナッツのようなものだから、
出し物としての中心がないんだよね。

逆に。
中心がはっきりしていて、
とても面白いコンセプトならば、
点をたくさん盛ることは可能だ。

点を持ってくる人はたくさんいる。
しかし、線を思いつき、つくることが出来るのは、
脚本家だけである。

「こういう話はおもしろいんじゃないか?」
とまずは考える所からだ。
「こういうシチュエーションになって、
こういう破目になるんだ」
という所だろうね。
「で、どうなるの?」って聞きたくなるようならば合格だろう。
もちろん、
それがどういう解決をして、
どういう中身があるかは、これから考えるんだろうけどさ。


コンセプトを決めよう。
そのコンセプトは線かな?
ストーリーの引きになる部分の線かな?

そうじゃない限り、
おもしろそうな話とは言えない。
点だったら、それをチェックしたら終わりになってしまう。
線のコンセプトは、
部分でありながら、ストーリー全体に影響を与える面白さになる。

だから力があるし、
だからつくるのは難しい。

「自衛隊が戦車ごとタイムスリップして、
武士たちと闘う」(戦国自衛隊)
なんてコンセプトはそれだけで面白いよね。
こういうやつを思い付いたやつだけが、
傑作をものにするチャンスがある。

しかし、
それが実際に面白くなるかは、
その一億倍くらい難しい。
それも、やってみればわかるだろう。
僕のアイデアノートには、
そういう形にならなかったアイデアのゴミが、
たくさん書かれている。
いつか芽が出るかも知れないし、
なににもならないかも知れない。
それよりももっといい種を思い付くかもしれない。


そして、おもしろそうなコンセプトは、
企画会議で分りやすく、
宣伝もしやすい。
口コミも分りやすい。
そういうものを考えようぜ。
posted by おおおかとしひこ at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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