という呟きを見た。
親指シフトユーザーは0にはなってない、
という意味では絶滅してないけど、
「誰もが手軽にワンボタンで親指シフトが使える」
という意味では絶滅している。
「誰もが、手軽に」には二つのレイヤーがある。
1. 会社などのセキュリティによって、
標準方式以外は使えないこと
2. 個人レベルで使うには、
インストールや設定を自力でやらないといけないこと
21世紀の現代では、1のほうが親指シフトにとって逆風だ。
残念ながら公式には親指シフトがない。
WindowsやMacで親指シフトを動かすソフトがあるし、
物理キーボードもあるし、
普通のキーボード+ソフトでも親指シフトは動かせる。
しかし「公式ではない」=MicrosoftやAppleに認められた方法ではない、
というただ一点において、
一律禁止の会社が多い。
もう少し深い話をしておくと、
Microsoftにはローカル言語を扱うために、
ローカル言語にカスタマイズするべき、
日本法人があるが、
日本語を扱うためのシステムは、
すでに中国に移管していて、
日本側は手を出せないという。
ん?
もはやアメリカから見て、
日本語ローカライズは、
中国語ローカライズと同じなんですって。
その言語観は間違ってるし、
商売上日本は独自カテゴリをつくることから、
すでに外されているほどの弱小国ということだ。
少数民族の使う言語など知るか、
とぶっちゃけMicrosoftから認識されているわけだ。
これを知らない会社の人間は、
「公式以外禁止」という思考停止に陥っている。
ずっと漢字変換の精度が上がらないどころか、
ぐちゃぐちゃのまま整理されず、
臭い物に蓋をしたような最近のMS-IMEは、
そうした問題を抱えている。
有志はGoogle日本語入力へ移行するだろうけど、
弊社ではこれも禁止されてるんだよね。
仮に上司に理解があり、
あるいは社に黙って環境構築をしたとしても、
2の壁がある。
つまりある程度エミュレータやプログラミングのことを知っていて、
自分でインストールや環境構築できる人じゃないと、
それは難しいのである。
「誰もが、手軽に」からは、
ここで脱落する。
めちゃくちゃ詳しくなる必要はない。
車のエンジンを組み立てたり整備できるようになる必要はなく、
運転できる技能程度でなんとかなるはず。
だけど車は車屋さんに持って行けば相談に乗ってくれるが、
親指シフトの場合自力解決が必要だ。
調べる力が必要なのだ。
「誰もが、手軽に」では、この時点でない。
もちろん、
調べて、自分でやる、DIY的な精神の人たちは、
市販のキーボード×エミュレータ、
市販のキーボード改造×エミュレータ、
自作キーボード×ファームウェア、
自作キーキャップ×エミュレータ、
あるいは自作エミュレータ(日本で数名レベル)、
なんかで親指シフトをやっている。
しかしそれを万人には求められないのが現状だ。
これは親指シフトでもそうだけど、
他の新配列でも同じである。
新配列の障壁は、
会社と、調べ力なんだよね。
口を開けて待ってる受動的な人は、
一生親指シフトも薙刀式も使えないんだよな。
武道の習得に似てるなあと思ったので、
僕は薙刀式に武器の名前をつけた。
もちろん、武術薙刀に比べれば、
一ヶ月でマスターできるから遥かに簡単だけどさ。
つまり、
親指シフトも、配列道も、
自ら助る者のみの世界なんだよね。
そういう意味では絶滅してないし、
万人にとっての意味では絶滅した。
柔道は絶滅したか?に似てるかな。
万人が背負い投げはできないが、
道場はそこかしこにある、みたいな。
ただ親指シフトや新配列には道場はない、
という感じだ。
門戸は開かれてるから、
いつでも「たのもう」でいいんだけど、
なかなかねえ。
自作キーボードが、
半田付けの障壁、QMKの障壁があるのに似ている。
一定の選抜がある感じ。
もちろん、
選抜を超えて来た人たちはそれなりの猛者?だから、
親指シフト界隈も新配列界隈も、
自作キーボード界隈も、
紳士たちで溢れている。
秘密クラブみたいなものかなあ。
銀座の奥の路地裏の、一見では入りにくいところの扉をあけると、
別世界がある感じ。
知ってれば入れるが、
入り方を知らない人は入れないよって感じか。
ほんとの秘密クラブと違うところは、
調べれば簡単に入れるということかな。
というわけで、
親指シフトは絶滅したし、
親指シフトは絶滅していない。
DIYの人って一定数までしか増えないと思う。
そこでは生き残るのかな。
キャンプやる人、みたいな割合で。
かつてはキャンパー以上に多かった。
繋げば即使えて、
会社にセキュリティがなかったからだ。
セキュリティはつまり、インターネットで、
誰とも繋がってしまったことから起こった。
エイズとコンドームと同じさ。
コンドームは親指シフトを止めてしまったのだ。
その止め方は間違ってるが、
誰も認識してないだけの話である。
2023年06月10日
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