すわ軍事クーデターか、と思われたワグネルの乱が、
急にモスクワから撤退して、
リーダーのプリゴジンはベラルーシへ亡命らしい。
これにみんな「???」ってなっている。
これが三人称ということだ。
脚本論的に解説したい。
三人称とは、客観的な視点のことである。
一人称のように、心が見えない。
三人称で見えるのは、外側から見た他人である。
そしてわかりやすいのは、
「決定的な行動」だ。
今回のワグネルの乱は、
ロシアの傭兵部隊ワグネルが武装蜂起、
ロシア正規軍のヘリを落としてモスクワに侵攻、
モスクワ陥落のための戦いを準備した、
という行動が決定的だ。
これに対して、
プーチンは反逆者と決定した。
そして今日になり、
急にワグネルは撤退して、
リーダーのプリゴジンはベラルーシへ亡命。
プーチンは罪は問わないと表明。
大山鳴動して鼠一匹?
これが、
「三人称形式」でわかってること全てである。
(ワグネルが刑務所から死刑囚を出して、
兵に入れた未確認情報もある。
そんなベタなワクワク)
そしてこれは、
「三人称形式で見ると不可解」なわけだ。
なぜ撤退したのか。
なぜ撤退するなら武装蜂起したのか。
なぜプーチンは反逆者と決定したのに、
罪は問わないのか。殺人未遂は罪なのにさ。
つまり一人称的な、
心の中身=動機や目的が、
全くもって不明なのに、
えらく期待のある行動と、
失望した行動があったのが、
ワグネルの乱のモヤモヤなんだよね。
これに対して、
ネットでは、
「反乱分子をまとめるための自作自演」とか、
「オリガルヒ(富裕層)の派閥争い」とか、
色んな説が出ている。
まだ陰謀論は出てないが、そのうち出てくると思う。
さて、映画シナリオだ。
三人称形式であることを念頭に入れよう。
決定的行動から、
その一人称的なもの=動機や目的がわからないと、
こんなにモヤモヤするぜ、
という話である。
何のためにやったのか?
何目的だったのか?
こんな意味不明なシナリオにするなよ、
ということを言おうとしている。
動機や目的が行動から推察されない場合、
それらは外に出す必要がある。
誰かに語る、記者会見する、などでだ。
その世界の大衆はわからなくても観客だけは理解すればよいから、
記者会見の必要はあるまい。
誰かに密かに語る、でもよい。
遺影に語りかける独り言や、
日記を書いてても良い。
なんでもよいから、
その目的や動機を、観客が分かるシーンがあれば、
一見不可解な行動を、
納得しながら見ることができる仕組みなわけだ。
このモヤモヤは、
要するに「下手くそな映画」を見てる時のモヤモヤなんだよな。
ワグネルは何がしたかったんや?と。
のちにプリゴジンの記者会見や声明があれば、
それらが納得できるかも知れないが、
現時点では下手くそな映画を見た気分だ。
うまい映画では、
行動の動機を明らかにして、
その行動の成功の成否にハラハラさせる。
これが映画であれば、
ワグネルは事前に「ロシア正規軍を倒し、ウクライナに平和を」
と一言言ってれば、全世界が味方したはずなのにな。
そして撤退の理由を語れば、
第二第三のワグネルが生まれるかも知れないのに。
大山鳴動して鼠一匹の、
反乱分子炙り出しのための観測気球説は、
一番納得のいく推理だが、
余談を許さない展開になろう。
なお今回の経緯を時系列でまとめたものがこちら。
https://dic.nicovideo.jp/t/a/%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B4%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%B9%B1
現時点では撤退以前のモスクワ侵攻までの記録のため、
明快なロシア政府への反逆となっているが、
これが今日の無血撤退、首謀者亡命なのが「???」以降だ。
2023年06月25日
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