なんでインフレになるのか。
飽きるから、というのでは少し足りない。
ある刺激に対して中毒になるから、
というのがそもそもの理由だと思う。
ものすごく出来の良い、
なんらかのものが出来たとしよう。
それがあまりにも素晴らしいならば、
もう一度欲しくなるのは人の欲の常だ。
美味いものでもいいし、
スリルでもいいし、
驚きでもいいし、
エロでもときめきでもよい。
つい、
同じものを提供しちゃう。
受けるからだね。
受けた芸をやり続ける動物みたいなものだ。
これで観客は中毒になり、
もっともっと、
と要求する。
少年漫画における、
「死んでたと思ってたら生きてた」とか、
トーナメント展開とか、
新技誕生とかは、
ある種の中毒だと僕は考えている。
それを繰り返し提供する薬物みたいなものだと。
だからそれはインフレする。
同じ刺激だと満足しなくなってくるからだ。
ある時期の車田正美は、
この中毒をつくる天才だった。
なにい?!、見開きカッ、
必殺技ドーン、
何かで泣く、5 vs 5、
死んでたと思ったら生きてたー!
中二ネーミングセンス、
などの出来のいい多数の中毒を、
うまく矢継ぎ早に繰り出して、
何度も何度も繰り返して中毒にさせた。
ただインフレが必要で、
世界の端まで行ってしまったら世界の破綻で、
それでおしまいになってしまう。
あとは中毒を出し続けるテンポとの兼ね合いになる。
刺激が繰り返さないと中毒はないし、
繰り返すとインフレして破綻する。
どの道破綻して終わる末路なんだね。
映画でもそうかも知れない。
悪を倒す正義や、
悲恋ものや、
立場が上昇する恋愛なんかは、
人類が繰り返し求める中毒性のある何かではないか、
と僕は考える。
いわば合法麻薬ではないかと。
Twitterの正義マンたちは、
だから正義中毒にかかっている。
常に正義を披露する薬物の中毒者なわけ。
エスカレートしやすかったり、
しばらくないと禁断症状が現れて、
次の生贄を探す感じも、
薬物中毒者に似てると思うよね。
さて。
あなたは中毒性のある薬物提供者である。
どのような中毒をつくる?
理想は、
ABCDEFといった、
すべて方向性の異なる、
中毒を盛り込むことだ。
しかしこれは大変難しいので、
ABAAAA…
みたいに、
昔取った杵柄を繰り返すことになるから、
注意しなさい、
というのが本題。
困ったら全部Aに頼るのは、
不安だから薬物に手を出す中毒者とおなじだね。
自分で作った中毒に中毒してるわけ。
あなたは合法薬物製造者である。
なるべく毎回違う中毒をつくろう。
破綻を避けるためである。
2023年08月22日
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