これが出来たら強いよね。
だけどそれは映画では絶対必要な要素ではない。
なぜなら映画は二時間で終わるからだ。
Twitterから。
> 昔はドラゴンボールとか北斗の拳、こち亀好きだったしもっと前は風魔の小次郎やリングにかけろ 基本必殺技があったり強烈なキャラで読み手を虜にするマンガ好きだったけど今は平凡な物語が良いわ
強烈なキャラで虜にするのは、
僕は料理で言えばソースだと考えている。
○○味、というやつ。
塩味、カレー風味、ゆずレモン、
味噌焼き、トマト煮込み、白出汁、
マヨソース、わさび醤油、コチュジャン、
なんでもいいさ。
その味が欲しい時にそれを食べるようなものだ。
特に少年漫画は、
その味のオンパレードと思って良い。
顔、ファッション、喋り方だけじゃ味として薄いから、
必殺技が出てくる。
それが決まりさえすればその強烈味になるわけ。
これは歌舞伎以来の伝統かもしれない。
「待ってました!」なわけ。
時代劇においてもこれがあった。
水戸黄門では印籠を出す「控えおろう」、
桃太郎侍では「ひとーつ人の生き血を啜り」、
遠山の金さんでは白洲で入れ墨を見せる場面だね。
こんな決めポーズ以外にも、
決め台詞があったり、
決めのSEがあったりした。
ロボットアニメにおいては合体シーンだね。
とにかく、
「この味を摂取するためこれを見る」
という見方が存在する。
それは「初めての味」でないことに注意されたい。
「その味が欲しいから」ということは、
既にその味を記憶して、
いわば中毒になってるわけ。
だからそうしたやり方は、
「長いシリーズ」で威力を発揮する。
今でこそ1クール(10〜13話)で終わるドラマばかりだけど、
テレビ全盛期は毎週一年やってたものだ。
この一年はこの味のためにこれを見る、
という年間中毒を生み出してたわけだね。
少年漫画の必殺技などの、
強烈な味もそれと同じであったわけ。
だから車田正美のように、
一週一試合のリズムはとてもスピード感と味があり、
人気爆発したわけだ。
北斗の拳だって、毎週毎週「あたた!」が見たかったんだよ。
さて、映画である。
この、中毒性のある強烈なキャラは、
必ずしも必要ではない。
付き合う時間が二時間限定だからだ。
二時間キャバクラにいるとして、
その嬢のキャラが強烈で、
「待ってました!」って何回なる?
せいぜい三回くらいだろうね。
それよりも話の内容とか、
そういうものの方が面白さの中心だと思うがね。
もっとも、そういう強烈キャラの、
「待ってました!」を見るためだけに、
リピーターになる可能性はある。
たとえば「RRR」なら、
何回も「待ってました!」があるため、
リピーターがガンガン行くのがよくわかる。
ダンスシーンは何回も見たいし、
肩車も何回も見たいし、
火対噴水も見たいし、
ロードエイムシュートも何回も見たい。
しかしそれは、
「始まりから決着までの、
面白いストーリーがあること」が、
最低条件だと考えている。
中身のない「待ってました!」じゃ意味がない。
出オチでしかないからね。
RRRの繰り返し見たいところは、
にっくき悪を倒す話が、
めちゃくちゃ面白いからで、
それを「待ってました!」と拍手しながら見たいからだ。
歌舞伎の決め、見得と全く同じ効果だね。
歌舞伎の決めポーズだけ見てもなんのことやらだ。
「このストーリーの、この場面」があるから、
「待ってました!」になるんだよね。
つまり。
二時間の娯楽では、
「待ってました!」は必要なく、
まず面白いストーリーである必要がある。
それでも強烈キャラがいて、
面白いストーリーであれば、
「待ってました!」になるだろう。
RRRは三時間越えと少し長めだから、
「待ってました!」を用意することで、
持たせている可能性もあるね。
もちろん、
強烈なキャラは濃い味としてはオリジナリティになりやすい。
しかし、
初めての味を美味いと感じるかどうかは難しい。
だいぶわかってきた時にしか、
「この味を求める」はないと思うんだな。
映画の宣伝が「○○の芸能人が出てます」しか宣伝できないのも、
「この味!」と言ってるだけなんだ。
「見たことも聞いたこともない味の料理」に、
人はビビリがちだからだ。
だから、
○○味で客寄せして、
ほんとうは違うもの(ストーリーの面白さ)で楽しませて、
最後に「待ってました!」と言われるのが、
ベストだと思うね。
2023年08月24日
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