リライトには二種類ある。
今やってる直しは、どっち?
あることをやろうと思う。
出来上がったものはそこに達していない。
だからディテールを修正して、
その狙いに到達するように直す。
これは磨きである。
磨けば磨くほど、
基本的には良くなる。
ただし、要素を足すのはお勧めしない。
たいていややこしくなって、
磨くべき部分が複雑になるからだ。
磨きはトータルで要素が減っていくことが多い。
しっかり書き込まれてるのに、
ページ数が変わってないとかも、
うまく磨かれた証拠だろうね。
これに比べて、
そもそもの狙いを変えることを、
変えるリライトだと認識しよう。
面白がらせようとしてたけど、
泣けるようにしようとか、
人間関係を逆にしようとか、
大きな改造をイメージすると分かりやすいかな。
さて、本題だ。
磨きは、多少の文字数の直し、
変えるのは、大幅な文字数の直し、
のようなことをイメージするかも知れないが、
手間と関係ないよ、
という話をしよう。
たとえば。
ヒロイン「すき」
というセリフを、
ヒロイン「死ね」
に修正したとしよう。
意味が真逆に変わるから、
これは狙いを変えたことになるだろうか?
これだけでは判断しかねるね。
実は「死ね」というのが、
彼女なりの「すき」の言い方だと設定すれば、
最高の大好きの言い方に変えただけだから、
これは磨きに相当するだろう。
あるいは、
ここで死ねとショックを与えることで、
のちのち大好きというシーンがよくなるなら、
磨きをかけたことになるかも知れない。
一旦嫌いになったことで、
あとでもう一回好きになるシーンが効果的ならば、
ここで最悪のことをする磨きに相当するかもしれないわけだ。
この場合、狙いを変えるとは、
「このヒロインは主人公と結ばれない物語にしよう」
くらい変えることをいう。
物語の本質を変更することが、
変えることになるわけ。
たった数文字変えただけでも、
本質がまるで変わってしまう変更だって、
世の中にはある。
文字を変えることが問題なのではない。
本質をどのように変更するかが問題なのだ。
修正や変更の手間だけをみてると、
「たった数文字/数行/数ページなのに」
なんてことだけを見てしまう。
そうではなくて、
リライトとは、
今ある狙いをより鋭くする磨きと、
今ある狙いそのものを変更する変えることと、
二種類あると自覚した方が良い。
当然ながら、磨きの方が簡単で、
変えることの方が難しい。
そして、磨きならばアンドゥできるけど、
変えるのは失敗してよくなくなるかも知れない。
アンドゥしたときのダメージはかなりデカい。
たとえば、
主人公を変える変更は、
磨きだろうか?変えたことになるか?
これすらも内容と相談だ。
主人公を二番目に変えたごときでストーリーの本質が変わらず、
よりよくなるなら、磨きをかけただけになるかも知れないわけだ。
そうしたことで、ストーリーの本質が変わったり、
テーマが全然違うものになるなら、
変えたことになるだろう。
シーン順の変更は?
セリフの入れ替えは?
句読点をひとつ入れる直しは?
すべての直しは、
今磨きをかけているのか、
本日の変更なのかを、
自覚しながらやるべきだ。
うっかり前よかったものを台無しにするときもあるし、
本質すら変えてしまっていることに気づかないかも知れないぞ。
将棋の一手一手にすべて意味があるように、
あなたの手術工程にはすべて意味がある。
それは、
Aの方向性へと磨きをかけているのか、
AをBの方向へ変える変更をしているのかの、
二つに分かれるわけだ。
2023年08月27日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック