「感情を強くしよう」といっても、
なかなか難しい。
なので大阪弁で理解した方が簡単や。
えげつなくしたらええんや。
たとえば「悲しい」場面があるとしよう。
犬が死んで悲しいとする。
「悲しみの感情を強くしよう」と言われても、
「涙の一筋が流れる」から、
「うわああああと号泣する」
に書き直す程度しかしないのではなかろうか。
これはガワの感情を強くしただけで、
本質的な悲しみが増幅したわけではない。
「悲しみをえげつなくすればええんや」
と思うと?
そうだな、
その犬は妊娠してたことにして、
トラックにはねられて、お腹の中の子供ごと死ぬことに変えればいい。
悲劇がえげつなくなったね。
もっとやってみようか。
隣人に恨まれてて、
その復讐のために犬が惨殺されたとしよう。
これじゃ怒りになってしまうため、
犯人の隣人は逃走中に車に轢かれて死んでしまうとする。
怒りのやり場がどこにもなく、
ただむなしい悲しみだけがやってくる場面になるだろう。
血だらけの犬小屋を拭いてるときに、
どうしようもない悲しみが襲ってくるだろう。
その犬が子供の頃につけてた首輪があって、
なくしてたと思ったらその犬が隠してた、
って気づいたら号泣だな。
もっとやってもいいよ。
世の中にいくらでも悲劇は転がっている。
よりえげつない悲劇に、
より悲しみの深いえげつなさに持っていくと良い。
こういうのは関西人が得意かもね。
関西は東京よりえげつない。
僕から見たら、東京のほうが静かで上品で、
つまらないんだがね。
人間はえげつない。
人間の本質をどう捉えてるかの差かもしれない。
映画はショーだ。
見せ物はえげつない方がいいよね。
えげつないエロ。
えげつない笑い。
えげつない怒り。
えげつない恐怖。
えげつないドキドキ。
ただの感情を、
強くするだけでなく、
その強い感情が引き起こされるように、
ストーリーごと書き直せばいいわけ。
設定を変えるだけじゃ中途半端だ。
まるで別物にしたっていいんだ。
えげつなくすることが目的だ。
ちょっと嬉しい、心温まるハートウォーミングストーリーを、
えげつなく嬉しくなる、ハートがカッカしてくる、
えげつない熱い話に書き換えてみよう。
歌が上手くなるコツは、
最大出力を上げることである。
まずはえげつないことが書けるようになれ。
その為には何をやってもいい。
きっとドギツイ、刺激の強いものばかりになるだろう。
それでいい。
まずは最大出力を上げるんだ。
最大出力から最小出力まで出せて、
はじめてコントロールに意味がある。
1か2しか出ないスピーカーで音楽を聞くな。
1万まで出るスピーカーで、コントロールせよ。
また、
ストーリーというのは一場面ではなく、
単色の感情ではない。
ある悲しい場面をえげつなく悲しくしたとしよう。
別の場面に嬉しい場面があるとする。
それもえげつなく嬉しくしてみたまえ。
ただえげつなく悲しいストーリーではなく、
深い悲しみから輝く喜びへ至る、
すごいストーリーになる可能性がある。
そうすると、感情のジェットコースターができるよね。
落差があればあるほどたのしいね。
もちろん、えげつなポイントは1〜2個でなくてよい。
何個も何個もあってよい。
世の中にえげつない事件はたくさんある。
妊婦を殺して腹を割き、
赤ん坊を取り出してから電話を埋めた殺人だってあるわけ。
それと並ぶか、それ以上のえげつなさが、
はじめてショーになる。
えげつないことは、
大抵ネガティブなことが多い。
上の殺人も、残酷さ、不可解さにおいてえげつない。
だから、ポジティブなえげつなさを考えることもいいよ。
えげつなく笑える、
えげつなく幸せ、
えげつない喜び。
なかなか難しいから、
一旦ネガティブにえげつなくして、
普通の幸せにたどりつければ、
えげつなくほっとするかもね。
人の認識はギャップである。
ギャップがあればあるほど、
急降下のジェットコースターだ。
フィクションは現実じゃないんだ。
現実よりえげつない起伏だから、
売り物になるんだぜ。
「うわあそれはえげつなさそうー」って思われたら、
それはヒキがあるわけだ。
あるいは、
一見大人しく清楚なのに、
はじまったらえげつなくなるのもいいよね。
淡白なのは最悪だ。
物足りないと思ったら、
「もっとえげつなくできる?」と、
自分に聞いてみよう。
残酷びっくりショーに負けないやつになれ。
残酷さやびっくりのえげつなさでタメを張って勝負してもいいし、
別のベクトルのえげつない感情で勝負しても良い。
えげつない恋愛。
えげつないホラー。
えげつないアクション。
えげつない謎解き。
えげつない人間ドラマ。
ほら、おもしろそうじゃない。
「なにがおもろいの?」という問い(反語)には、
「どれだけえげつないの?」
という問いと等価な時がある。
えげつない話のほうが、人は飛びつく。
それが見せもの小屋である。
2023年09月13日
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