文系の限界は、「原理を理解せず、表面だけで対応すること」
だと僕は考えている。
エクセルはとても使いづらいソフトだ。
僕は設計思想が気に食わないので滅多に使わないが、
総務やらどこかではよく使うソフトらしい。
それがあまりにも杜撰な使い方をされているから、
総務省から使い方の基準が示された。
https://twitter.com/Excel_design_Dr/status/1689409564180152321?s=20
そもそもこれはMicrosoftのやるべき仕事だけど、
Microsoftは教えることに関してクソ企業なので、
総務省が緊急通達をすることはやむを得ぬ。
ただ、文系の限界だなと思ったわけ。
「なぜそうしないといけないか/そうするべきなのか」
が提示されていないからだ。
そもそもの表計算ソフトの原理から、
教えてあげるべきだと感じた。
表計算ソフトが、内部にどういうデータを持ってて、
どういう処理をするものか?
と言う話が抜け落ちている。
簡単に説明する。
表計算ソフトとは、
「:で区切ったデータを横に並べて、↓で区切ったデータを縦に並べる」
ソフトである。
(:と↓は説明の便宜上のもので、
実際には異なるがこれに置換し直すこともできる)
たとえば、
15:20:2:135↓566:2:0:-1↓25:333:10000:-0.5
というデータを、
4かける3の表に表示する。
これが本質。
だから、:の数が揃ってなかったりすると、
バグになるわけ。
セルを結合するな、とはそういうことを言っている。
数字は数字のみにせよとか単位を入れるなとかは、
縦や横に足し算するときに、
ピックアップした数値を、計算機で計算するからだ。
縦に足すときは、:を数えて4個おきのデータを足せばいいし、
横に足すときは↓までのデータを足せばいいわけ。
:と↓は縦と横の基準区切りなわけだ。
もっとも、
「円」が入ってても抜いて計算したり、
「円」「ドル」混在を単位換算したりするプログラムは、
書くことは難しくない。(勉強すれば)
しかしそれをやる必要のない、
「生データ」を管理しましょう、
というのがこの指針のいわんとしていることだ。
生データがあれば、変換プログラムに食わせて変形できるが、
変形し終えたものを生データに戻すことは困難だ。
だから、
「生データの純粋な形」を保てということ。
そもそもデータ形式が上で挙げたものなのだから、
セルの中に文字を入れることすら、
生データとしては間違ってるんだよ。
それはさすがに実用上無理だねとなって、
まあ文字を入れるくらいゆるしたろ、
というのがエクセルの仕様なのだ。
ここまで理解すると、総務省の指針の解説は簡単だ。
1セル1データに
識別子(:または↓)で区切られるならば、要素抽出が簡単ということ
数値データに文字を含まないこと
識別子から識別子までの数字をひとつの要素として定義するため。
セルの結合をしないこと
何個おきに足す、という計算法が使えなくなるため
つまりは結局、
「何個おきに足す」をするための生データが、
エクセルの持つべき理想の形ということ。
報告書とエクセルデータは異なる。
セル結合をしたり、1セルに複数の要素を入れたり、
-を▲で示すほうが、「人間の目に見やすく」なる。
人間の目に見やすいのは報告書の表であり、
エクセルが管理するのは機械計算しやすい生データであり、
両者を混同してはいけない、
ということが、
ほんとうに言うべきことだろう。
だから、
報告書はエクセルの生データからコピーして、
都度見やすい表をつくりなおして、
生データは生データのまま管理し続ける、
というのが現実的な運用だ。
これをひとつのファイルで混在させてはならない、
というのが、
あるべきデジタルとの付き合い方である。
その指導からやるべきであろう。
それをやらないと、
いつまでたっても付け焼き刃でしかなく、
行動変容はのぞめまい。
逆にこのことだけわかっていれば、
エクセルだろうが、
他の表計算ソフトだろうが、
全然使える。
理系というのはそのように生きてて、
都度その世界のルールに適用して、
別の世界に行くときは原理だけ持ち運んでいく。
プログラミングそのものは、
言語は違えど結局アセンブラなので、
アセンブラがわかってればどんなプログラミング言語でも、
原理的には使えるようになることと同じで、
それって数学わかってたら、
理系の原理的な部分は大体わかるみたいなことと、
まったくおなじことさ。
日本にはこのような教育が欠けているし、
わかってる人はこんな風に解説してくれないから、
ほとんどの人は、
「エクセルむずかしい」と言い続けるのでは。
難しいのはエクセルではなく、
「-」を「▲」で示すローカルルールのほうだ。
僕はこの資料ではじめてその意味をしったわ。
「▲は便宜上マイナスを示す」って一言書いてくれた資料を、
僕は一度も見たことがなかった。
そもそもマイナスを示すなら▼にするべきじゃね?まあいいや。
2023年08月10日
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