2023年09月02日

【薙刀式】「ん」の位置の話

KIHでtkenさんとも話したのだけど、
薙刀式の「ん」の位置は変わってるなーと。
右中指下段。ふつうそんな面倒なところには置かない。

なぜ薙刀式ではここなのか?


そもそもカナの頻度では、
「い」「う」「ん」がトップ3だ。

だから、
新下駄では、「いうん」はKJFに、
飛鳥ではKFJに、
シン蜂蜜小梅ではKMJにと、
最重要ホーム扱いをするもの。

また、中指下段を単独で見た場合、
とても打ちにくいキーだとされる。
中指は長い指だから、
中段よりむしろ上段が打ちやすい説すらある。
それをわざわざ畳む下段は打ちづらいキーの代表であると。

そんなメジャーな「ん」を、
打ちづらい中指下段「,」に置く薙刀式は、
変だと言われてもしょうがない。

でもここは、薙刀式の配字にとっての特別席なのだ。


そもそも「ん」は、
どんな言葉に使われるのか?
を僕は考えた。
まずは、漢字の二音目だと思った。

音読み漢字の二音目は、「いうんきくしつち」の8音しか来ない。
これを右手に置き、
左手に第一音を置き、
左→右の流れにすることは、
親指シフト以来のカナ配列の基本設計になっている。
漢字の読みを打ちやすくする流れだ。

なので右手確定だ。


さらに、
「最後の音」というニュアンスは、
否定的な何かに使われやすいと感じた。

とくに根拠はないのだが、
親指シフト、TRONとも、;と、
ホーム段の最後に置いてる留めみたいな感覚だ。
頻度からすると;では足りないため、
人差し指ないし中指が順当だとは考える。

右手人差し指には「あ」が来たため、
右中指が「ん」を担当するべき、
と指の役割を決めたのはこのとき。

右人差し指と右小指ではなく、
一番使いやすい2本の指に、
あ、ん、を担当させようという意図だ。

ところがこの時点で「ある」「ない」「する」
が埋まっていて、IKが既に決まっていたため、
残りの,位置に「ん」が来た、
という経緯。

「ない」MKの隣に否定的な「ん」が来ててわかりやすいし、
断定的な「た」「だ」がNにあることで、
存在の「ある」を強化する「た」、
非存在の「ない」を強化する「ん」が、
外側に隣接した感覚になっている。

この、意味との位置関係、指の役割で、
「ん」の位置が決まった。



また、それまでに使っていた、
左手子音、右手母音のカタナ式の影響もある。
右手母音といいながら、Y、ん、ーも右手側なのが、
カタナ式の特徴だ。
これらを母音がらみで右手アルペジオで取ることを、
目的としている。

三大アルペジオ、AI、EI、OUが、
薙刀式の「ある」「ない」「する」と同じ位置で、
同様に空いてる「,」に「ん」があったため、
薙刀式では、
カタナ式と同じ位置に「ん」が自動的に来た。

これは薙刀式の特徴である、
拗音同時押しの意識にも影響していて、
薙刀式は、右手に8母音(あいうえおやゆよ)があり、
これらと左手のイ段カナと同時押しして拗音を作る。
左右の子音母音分離のローマ字と似た構造だ。

ついでにカタナ式と同様、ん、ーも右手側にあるわけ。


つまり、なんだかんだいって、
薙刀式の基本骨格は、
カタナ式とかなり近い。


これは、左→右の流れが、その逆より打ちやすい、
という僕の経験則からつくられている。
(そしてこの経験則は、実際に30×30=900の、
全2連接の速度を実際に測定することで確認された)

なので、漢字を打つとき、
拗音を打つとき、
外来語での「ー」への流れは、
左→右の意識になっていることが多い。
(カナは連接が複雑なため、全ての場合では無理だった)

そういうカナの配字構造によって、
「ん」は「,」という、
他のカナ配列では考えられない、
独自の位置になっている。


もちろん、
単打で中指下段はとても打ちにくい。
でも薙刀式の場合、
連接の流れで「ん」に繋ぐことがほとんどだ。
(そもそも「ん」から始まる単語は、日本語にはない。
「んまい」「ンジャメナ」「ンジュール」とか、
尻取り的にはいくつかあるが)

なので初手中指下段ではなく、
アルペジオや左右交互での出番なので、
そんなに違和感がないと思われる。

(そんなに打ちづらいなら、qwertyで句読点打てなくなるし)



最強のアルペジオJIのラインを境に、
人差し指側は断定肯定、中指側は否定的、
な風にカナがある。./は「られ」で受動的。
L;は「う」「ー」でどちらも伸ばす系。

そんな光と影的な右手の配置は、
結構気に入ってるんだよね。


なので、
新下駄のメジャーカナを参考にした、
天薙刀式で「ん」がFにあることに、
僕は衝撃を受けたわけ。
あー、新下駄の合理ならそこだよなーと。

果たして薙刀式の手の内と、
新下駄の純粋合理は融合するのか、
自分的にはよく分からないが、
そういうブレンドもあり得るのか。
カクテルつくるみたいで面白いもんだなあ。



右人差し指から右中指まで、
という指の感覚が、
薙刀式のコアの指の感覚かもなあ。

そこに、
存在の「ある」、
非存在の「ない」、
第一の音と第二の音「あい」、
第一の音と最後の音「あん」
が入ってることが、
概念や意味とアルペジオを対応させている、
薙刀式の特徴なんだと思っている。
posted by おおおかとしひこ at 11:46| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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