商売のコツはそうらしい。
まあ安泰になるのはわかる。
しかしそれは大衆を相手にしなくなる、
ということだよね。
映画をはじめとする興行は、
マスをコミュニケーションするものだ。
ターゲティングをなるべく広く取り、
誰にでもわかりやすく、
誰もを遠くまで連れて行けるものをめざす。
これと薄利多売という、
資本主義システムが合わないのかもしれない。
大衆というものはつねに浮動票のようなものだから、
固定票を取りに行った方が、
ガッチリ商売できるよね、
と考える人もいるのもわかる。
それがターゲティングとかセグメントになるわけだ。
太客というのはさらに狭めて、
顔が見えるレベルに客を限り、
その人たちに高い金をサブスクしてもらおうということだ。
金持ち相手の商売、会員制なんかはそういうこと。
昨今のエンターテイメントに、
なぜヲタクコンテンツが増えたかというと、
ヲタクは太客だからだ。
同様にジャニーズコンテンツは、
働く女という太客を捕まえていたわけ。
だから、それ寄りに商売がなってゆき、
一見さんお断りになったり、
大衆へのアピールに欠けるものになってくる。
一般性と特殊性の狭間で揺れてるわけだ。
ゲームなんてさらにめちゃくちゃで、
スマホゲーとか廃課金者で成り立ってるらしい。
なるほど、
だから一般人が手を出しやすいゲーム性よりも、
何人廃課金者が出るのか、
というモノづくりになってるわけだな。
アーマードコアはロボバトル好きの、
コアなゲームだと思っていたが、
もっと狭くて課金の多い太逆狙いが、
最近のゲームに多いということだ。
さて。
太客を目指し、それで商売を安泰させるのは、
まあ商売としてはわかる。
自分で店をやる想像をすると、
そういう人がいないと店が潰れるだろうな、
という予感もする。
バーとか喫茶店とかやってみたいが、
太客がいないと何年も安定して持つとは思えない。
(だから飲食店は潰れやすいのだろう)
かつて大衆向けだったものが、
太客向けのものになると、
なんだかさみしくなるよね。
俺はもう客じゃないのかーと弾かれた気になる。
映画や漫画やアニメやゲームは、
大衆に向けた、一般性の高い、
マスのコミュニケーションとして生まれ、
発達した。
それが、生き残るために、
どんどん太客狙いになっていっている。
舞台や歌舞伎はそういう傾向が強い。
ホストキャバクラもそうだろう。
芸能界というのは、太客ありきなのかも知れない。
もともと太客狙いの小さな商売が、
偶然マスへの発信手段を得て、
スクリーンや電波を独占していた商材に、
ある特定の時期だけなってただけで、
今それが、小さな商売へと切り崩されているかも知れない。
なんだか、どんどん縮んでいくマス界隈をみて、
そんな気分になる。
道はふたつある。
ある程度クラスタリングして、
その中で面白い話をつくること。
もうひとつは、
誰にでも通じる王道の作品、
またはその王道前提の奇策。
この奇策の範囲も「誰にでも通じる」範囲で。
太客を狙うか、細いが浮動票としてたくさんいる客を狙うか。
人口は確実に減るだろう。
前者はやっぱりさびしいよね。
おまつりは人がいないとね。
もちろん、両方を行き来して、固定しないのも良いだろう。
太客狙いは芸が手を抜いてもOKになってしまう。
韓国アイドルに慣れた若者がジャニーズとか見ると、
お遊戯レベルに見えてがっかりするそうだ。
このことを真剣に考えるべきだよな。
2023年08月31日
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