2023年08月31日

太客を見つける

商売のコツはそうらしい。
まあ安泰になるのはわかる。
しかしそれは大衆を相手にしなくなる、
ということだよね。


映画をはじめとする興行は、
マスをコミュニケーションするものだ。
ターゲティングをなるべく広く取り、
誰にでもわかりやすく、
誰もを遠くまで連れて行けるものをめざす。

これと薄利多売という、
資本主義システムが合わないのかもしれない。

大衆というものはつねに浮動票のようなものだから、
固定票を取りに行った方が、
ガッチリ商売できるよね、
と考える人もいるのもわかる。

それがターゲティングとかセグメントになるわけだ。


太客というのはさらに狭めて、
顔が見えるレベルに客を限り、
その人たちに高い金をサブスクしてもらおうということだ。
金持ち相手の商売、会員制なんかはそういうこと。

昨今のエンターテイメントに、
なぜヲタクコンテンツが増えたかというと、
ヲタクは太客だからだ。
同様にジャニーズコンテンツは、
働く女という太客を捕まえていたわけ。

だから、それ寄りに商売がなってゆき、
一見さんお断りになったり、
大衆へのアピールに欠けるものになってくる。

一般性と特殊性の狭間で揺れてるわけだ。


ゲームなんてさらにめちゃくちゃで、
スマホゲーとか廃課金者で成り立ってるらしい。
なるほど、
だから一般人が手を出しやすいゲーム性よりも、
何人廃課金者が出るのか、
というモノづくりになってるわけだな。

アーマードコアはロボバトル好きの、
コアなゲームだと思っていたが、
もっと狭くて課金の多い太逆狙いが、
最近のゲームに多いということだ。


さて。

太客を目指し、それで商売を安泰させるのは、
まあ商売としてはわかる。
自分で店をやる想像をすると、
そういう人がいないと店が潰れるだろうな、
という予感もする。

バーとか喫茶店とかやってみたいが、
太客がいないと何年も安定して持つとは思えない。
(だから飲食店は潰れやすいのだろう)



かつて大衆向けだったものが、
太客向けのものになると、
なんだかさみしくなるよね。

俺はもう客じゃないのかーと弾かれた気になる。

映画や漫画やアニメやゲームは、
大衆に向けた、一般性の高い、
マスのコミュニケーションとして生まれ、
発達した。

それが、生き残るために、
どんどん太客狙いになっていっている。


舞台や歌舞伎はそういう傾向が強い。
ホストキャバクラもそうだろう。
芸能界というのは、太客ありきなのかも知れない。


もともと太客狙いの小さな商売が、
偶然マスへの発信手段を得て、
スクリーンや電波を独占していた商材に、
ある特定の時期だけなってただけで、
今それが、小さな商売へと切り崩されているかも知れない。

なんだか、どんどん縮んでいくマス界隈をみて、
そんな気分になる。



道はふたつある。

ある程度クラスタリングして、
その中で面白い話をつくること。

もうひとつは、
誰にでも通じる王道の作品、
またはその王道前提の奇策。
この奇策の範囲も「誰にでも通じる」範囲で。

太客を狙うか、細いが浮動票としてたくさんいる客を狙うか。

人口は確実に減るだろう。
前者はやっぱりさびしいよね。
おまつりは人がいないとね。

もちろん、両方を行き来して、固定しないのも良いだろう。


太客狙いは芸が手を抜いてもOKになってしまう。
韓国アイドルに慣れた若者がジャニーズとか見ると、
お遊戯レベルに見えてがっかりするそうだ。
このことを真剣に考えるべきだよな。
posted by おおおかとしひこ at 11:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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