2023年10月29日

好きなバンドに俺をハマらせてくれ

という課題をやってみよう。


「好きなバンド」は他の何かに変えてもよい。
あなたが大好きでハマっていて、
世間では「全員」が知っているものではないもの。
聞いたことはあるが、
詳しく知らないもの、
を選ぶと良い。
以下ではバンドで話す。

それの何がいいの?

「聞けばわかる」は禁止。
ただ聞かせて「な?」も禁止。

それを手に入れていない状態で、
それを手に取ってみよう、と思わせれば勝ち。

つまりこれは広告の課題でもある。


言葉だけで説得してもよい。
身振り手振りを使っても良い。
まったく別の映像を使ってもいいよ。

ボーカルの子がめっちゃ可愛い(イケメン)で、
という人にフォーカスするも良し、
あなたとそのバンドの出会いのストーリーを語ってもよし、
楽曲世界の魅力をうまくまとめてもよし、
全然関係ない価値(ギターを必ず叩き壊す)から、
語ってもよし。

入り口はどうでもよいから、
「そのバンドの楽曲をめちゃくちゃ好きになる」
誘導の仕方はなんだ?
という話だ。


これは、企画書を書く練習をしようとしている。

あなたのよく知っていて、大好きなものを、
それを全く知らない人に、
興味を持たせて、
なおかつ本質の一部をうまくとらえさせて、
「面白そうだな、もう少しディテールを」
と身を乗り出させたら勝ちである。

こちらの熱量は「めんどくさい」と思われたら負けであるから、
手を出しやすいように、
小さく切り分ける必要がある。

その小さな切り分けを何にするか?
で死ぬほど悩むことになるだろう。


ワンスプーン料理のように全てを小さくしてしまっては、
醍醐味や旨みは表現できなかろう。

ある一部をもって、全体を象徴できる何かはなんだろう?
となるわけだ。


映画「マトリックス」の企画書をどう書く?
まさかマシンガン撮影の弾除けのシーンではあるまい。

日常が嘘だと疑問を持っていたプログラマーが、
実はこの世界は虚構だったと知る冒頭や、
その虚構を利用して、思い込めばなんでもできる、
空も飛べるし弾丸もはじける、
に至るまでのめくるめくアクションを、
提示することになろう。

そんな風に、
あなたの好きなバンドを、
うまく切り取って、
他人の前に示せるだろうか?


よほど客観的にならなければならない。
そして主観的にここが好きを譲ってはならない。
だから、
客観と主観をはげしく往復して、
それがなぜよいか?
をコンパクトに理解できるものに切り分けなければならない。


実はこれができることが、
プロの第一歩ですらあると僕は思う。

自信がある、ない、関係なく、
「自分のやったこと」を、
客観的にとらえて、
それをうまく本質的な部分をコンパクトに切り出す練習。

それをしていないと、
プレゼン負けするだろう。


どんなに素晴らしいバンドでも、
あなたのプレゼンが失敗したら、
その先にみんな進んでくれないのだ。

広告は、実は最も大事な作品のプレゼンだ。
それを失敗したら、
どんな名作も大衆まで届かない。

僕は古今東西の作品をそうやってプレゼンしてほしいのだが、
どうやらみなさん下手なようだ。
(もちろん上手い人もいるが、
全作品はそうでない)
ブロッコリーポスター?広告舐めてんのか。


誰かプレゼン上手が現れるのを期待したくなるが、
実はあなたがあなたの作品を一番よく知っている。

あなたを主人公にするな、
と僕はよく言うが、
ここで自我と同一視すると、
自信がない時は過小評価してしまい、
自信がある時は過大評価してしまうことが、
作品との距離感を失わせる原因になる。

その練習でもある。



あなたの好きなバンドを、
世間も同じように好きになってもらいたい。
俺も好きにならせてくれ。

はい、端的に説明して。
posted by おおおかとしひこ at 08:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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