退屈は、時間軸をもつシナリオにおいて、
最もポピュラーな問題のひとつだ。
色々な対処法があるが、
僕は「ワサビを効かせる」ことかなと思っている。
そもそもの退屈の原因は、
「同じような刺激が続くこと」だ。
同じ味が続くラーメンを、
味変したくなる感覚、
といっても良いだろう。
飽きてきたなーというのは、
同じ焦点、同じ人間関係、
同じ舞台、同じ目的、
同じ状況など、
「同じ」に起こることが多い。
それを感知したら、ワサビの投入だ。
単に味を変えては物足りないので、
刺激のある少量がいい。
だからワサビはもののたとえで、
コチジャンでも、
おろしニンニクでも、
ソフトクリームにおけるコーンでもよい。
どういうワサビ種が適格かは、
前のものがどうかによるが、
少なくとも、
「だいぶ異なる刺激」であることが大事だろう。
オムニバスを考えよう。
あまーいラブストーリー、
胸キュンのラブストーリー、
ときて、
3本目も、
あまーいラブストーリーが来ると飽きてしまう。
だから、しょっぱい話や、
ビターエンドや、
ホラーや、
すべった話など、
なんらかの「異なる刺激」を与えると良い。
それがあれば、
4本目にまた甘ーいラブストーリーが来ても、
楽しめる。
これが、123ラブストーリー、4ホラーだと、
3で飽きると言うことだ。
ホラーがベストかはわからない。
とにかく「全然違う刺激」がよい。
そして、
本編のものより分量の少ないものがよく、
だからワサビ程度の分量をイメージすると良い。
オムニバスの考え方は、
ふつうの一本道のストーリーでも同じだ。
サブプロットだ。
メインプロットが飽きてきたときに、
サブプロットに切り替わることは、
とてもよくあるパターンだ。
苦しくなったら別キャラの話に逃げるのも、
サブプロットと同様だ。
ブレイクシュナイダーは、
Bストーリー(サブプロット)はラブストーリーであることが多い、
と言っていたが、
Aストーリー(メインプロット)が、
犯罪ものや謎解きもの、冒険ものなどの、
普通のストーリーの時に、
ラブストーリーが箸休めになる、
という考え方であろう。
まさかAストーリーがラブストーリーのときに、
Bストーリーもラブストーリーにはなるまい。
いや、なるか。三角関係ものでは、
Bストーリーは「もう一方の相手とのストーリー」になるな。
だから、
メインラブ相手と異なり、
ライバルキャラはワサビのような、
「別の刺激」を持ってくるんだね。
似たような二人に恋する三角関係はない。
飽きちゃうからだろう。
仮に双子に恋する話でも、
二人は双子なのに全然「違う」んです、
になるはずだね。
ということで、
サブプロットは「別腹の刺激」が重要である。
飽きを防ぐことが、真の目的である可能性すらあるわけ。
ということは、
サブプロットは上手な引き伸ばしなんだね。
で、ワサビはワサビだけを食ってたらすぐ嫌になる。
また欲しくなるまで封印するのが良い。
適宜サブプロットを使い、
メインプロットに飽きさせないことが目的だからね。
じゃあ、合間合間に挿入すればいいの?
ってなるとそうではない。
「全然関係ないものの同時進行」は、
それも同じ刺激になって飽きちゃうからだ。
ということは、
AストーリーとBストーリーはいつか絡む。
別々の相手と三角関係だとしても、
その三人が一堂に会する日は、絶対来るのだ。
それが中盤なのか後半かのかは、ストーリー次第だろう。
ワサビは、ワサビを入れたことで良くならなければならない。
とてつもない刺激なのはよいが、
メインの麺がダルダルならだめだ。
それによってメインがしゃっきりして、
見違えるように生命力を取り戻さない限りは、
ワサビの投入はごまかしにすぎない。
マズイそばをワサビだけで持たせる、みたいになってしまう。
ワサビがあるからそばがうまい、
そばがうまいからワサビが効く、
みたいな関係になるのが、うまいそばとワサビの関係である。
なので、
適量のワサビを見極めることも、
サブプロットでは重要だと思う。
うまいワサビの使い方を見るには、
色んな名作を見ることだ。
退屈してからワサビを投入するのではなく、
退屈する前に投入して、
集中力を逸らしていることが理解できよう。
2023年10月31日
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