2023年10月31日

退屈したらワサビを入れろ

退屈は、時間軸をもつシナリオにおいて、
最もポピュラーな問題のひとつだ。

色々な対処法があるが、
僕は「ワサビを効かせる」ことかなと思っている。


そもそもの退屈の原因は、
「同じような刺激が続くこと」だ。

同じ味が続くラーメンを、
味変したくなる感覚、
といっても良いだろう。


飽きてきたなーというのは、
同じ焦点、同じ人間関係、
同じ舞台、同じ目的、
同じ状況など、
「同じ」に起こることが多い。

それを感知したら、ワサビの投入だ。

単に味を変えては物足りないので、
刺激のある少量がいい。
だからワサビはもののたとえで、
コチジャンでも、
おろしニンニクでも、
ソフトクリームにおけるコーンでもよい。

どういうワサビ種が適格かは、
前のものがどうかによるが、
少なくとも、
「だいぶ異なる刺激」であることが大事だろう。



オムニバスを考えよう。

あまーいラブストーリー、
胸キュンのラブストーリー、
ときて、
3本目も、
あまーいラブストーリーが来ると飽きてしまう。

だから、しょっぱい話や、
ビターエンドや、
ホラーや、
すべった話など、
なんらかの「異なる刺激」を与えると良い。

それがあれば、
4本目にまた甘ーいラブストーリーが来ても、
楽しめる。
これが、123ラブストーリー、4ホラーだと、
3で飽きると言うことだ。


ホラーがベストかはわからない。
とにかく「全然違う刺激」がよい。
そして、
本編のものより分量の少ないものがよく、
だからワサビ程度の分量をイメージすると良い。


オムニバスの考え方は、
ふつうの一本道のストーリーでも同じだ。

サブプロットだ。

メインプロットが飽きてきたときに、
サブプロットに切り替わることは、
とてもよくあるパターンだ。

苦しくなったら別キャラの話に逃げるのも、
サブプロットと同様だ。


ブレイクシュナイダーは、
Bストーリー(サブプロット)はラブストーリーであることが多い、
と言っていたが、
Aストーリー(メインプロット)が、
犯罪ものや謎解きもの、冒険ものなどの、
普通のストーリーの時に、
ラブストーリーが箸休めになる、
という考え方であろう。

まさかAストーリーがラブストーリーのときに、
Bストーリーもラブストーリーにはなるまい。
いや、なるか。三角関係ものでは、
Bストーリーは「もう一方の相手とのストーリー」になるな。

だから、
メインラブ相手と異なり、
ライバルキャラはワサビのような、
「別の刺激」を持ってくるんだね。

似たような二人に恋する三角関係はない。
飽きちゃうからだろう。

仮に双子に恋する話でも、
二人は双子なのに全然「違う」んです、
になるはずだね。


ということで、
サブプロットは「別腹の刺激」が重要である。
飽きを防ぐことが、真の目的である可能性すらあるわけ。
ということは、
サブプロットは上手な引き伸ばしなんだね。


で、ワサビはワサビだけを食ってたらすぐ嫌になる。
また欲しくなるまで封印するのが良い。
適宜サブプロットを使い、
メインプロットに飽きさせないことが目的だからね。

じゃあ、合間合間に挿入すればいいの?
ってなるとそうではない。
「全然関係ないものの同時進行」は、
それも同じ刺激になって飽きちゃうからだ。

ということは、
AストーリーとBストーリーはいつか絡む。
別々の相手と三角関係だとしても、
その三人が一堂に会する日は、絶対来るのだ。
それが中盤なのか後半かのかは、ストーリー次第だろう。


ワサビは、ワサビを入れたことで良くならなければならない。
とてつもない刺激なのはよいが、
メインの麺がダルダルならだめだ。

それによってメインがしゃっきりして、
見違えるように生命力を取り戻さない限りは、
ワサビの投入はごまかしにすぎない。
マズイそばをワサビだけで持たせる、みたいになってしまう。

ワサビがあるからそばがうまい、
そばがうまいからワサビが効く、
みたいな関係になるのが、うまいそばとワサビの関係である。

なので、
適量のワサビを見極めることも、
サブプロットでは重要だと思う。


うまいワサビの使い方を見るには、
色んな名作を見ることだ。
退屈してからワサビを投入するのではなく、
退屈する前に投入して、
集中力を逸らしていることが理解できよう。
posted by おおおかとしひこ at 08:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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