2023年09月05日

なぜ邦画の絵はしょぼいのか

制作費が安いから、というのは、
なんとなくみんなうっすらと分かってるよね。

「ゴールデンカムイ」を例に計算してみよう。


ゴールデンカムイが実写化される。

なんて邦画の絵ってこんなにしょぼいんだ、
衣装が新品で汚れてないとか、
コントラストバキバキあげてごまかしてる、
照明が足りないんだ、
いや当てすぎてるんだ
(実際は照明が少なすぎて、
立体的な絵を作るだけの光と影がつくれない)、
なんて議論が起きていて興味深い。

https://togetter.com/li/2215085

その中で、
「レヴェナント」と比較して、
なんであんな風にならないのか?
を疑問に思ってる人がいた。

制作費が違うから、
というのはまあざっくりわかる。
どれくらい違う?
レヴェナントは、ゴールデンカムイの何倍の制作費?
2倍? 10倍?

計算してみよう。

レヴェナントの制作費はwikiにのっている。
1.35億ドルだ。
円ドルレートが上下しまくってるが、
とりあえず1ドル=150円で計算しよう。
202.5億円。

ゴールデンカムイの制作費は公表されていない。
実写「キャシャーン」が6億円。
仮にその3倍をかけて、18億円としよう。
ちなみにバブル期の「天と地と」で50億円。
いまこんなにかけられる邦画はない。

202.5÷18=11.25

笑うしかない計算だね。
18億はだいぶ多めに見積もった。
仮に10億としたら20.25だ。


ゴールデンカムイはレヴェナントよりしょぼい。
レヴェナントの、1/20〜1/10にしょぼい。
まあ良くやってる方だよな。

仮に18億をレヴェナントと同じ密度で突っ込むとしよう。
映画を120分としたら、
6分〜12分の映画ならば、
ゴールデンカムイはレヴェナントと同じクオリティでつくれるよ。

それを二時間に薄く薄く伸ばしてるんだ。
小さくなるカントリーマアムの国が、
よく頑張ってる方だ。



なぜハリウッド映画はこんなに予算をかけて、
邦画はこんなに予算をかけないのか?
出口が異なるからだ。
ハリウッド映画は世界配給する。
世界に配給網があり、何万の映画館でやる。
邦画はマックス300台の映画館だ。

世界規模ビジネスか、
国内ビジネスかの差である。

世界を相手にできれば、
邦画はあと何倍の予算をかけられる?
50億?100億?


ちなみにレヴェナントの日本での興行収入は、
10.8億円。
世界興行収入は、
5.3億ドル=795億円。
日本の興行収入の、80倍の規模が世界規模だ。

仮にゴールデンカムイの予算が10億として、
その80倍の800億をかけられたら、
レヴェナントなみのものになるだろう。
いや、200億で十分か。

しかしそれは、
世界で勝負できるシナリオかな?

その200億かけて800億儲ける博打をやるディーラーはいるかな?



日本の博打は、数億から二桁億の博打。
もう一桁やれる人だけが、
ゴールデンカムイをレヴェナントにできる。

中国マネーを使う?
ユダヤの資本を入れる?
今どこで誰が金をもってる?


それが出来ないから、
ゴールデンカムイはレヴェナントの、
1/20〜1/10しょぼいんだぜ。

泣きながら頑張るしかねえよな。

みんなオラに力をくれーって言っても、
200億は集まらんやろ。


露骨に金の話をした。
数字は嘘をつかない。
一方邦画は、味噌汁つけるかつけないかで、
必死で予算のやりくりをしている。


ドラマ風魔の小次郎で、
終盤の撮影で集合時間遅くなった話をしたっけ?
8:00集合なら朝ごはん出す義務がなくなるんだよ。
その代わり撮れるカットが減ってね。
ご飯は我慢するから時間をくれよな。
ご飯カット、時間もカット。
現場はその辛さでやってる。

もっとちゃんと金を回すプロデューサーが、
出てきて欲しい。


もう実写化なんてやめときな。
カントリーマアムが大きくなるまで無理だろ。
posted by おおおかとしひこ at 14:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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