2023年11月08日

作っていく順と見せる順は違う

1ページ目から書き始めて、
順番に書き、
最後まで書き終えたら完成、
などと思ってないか?

作る順と、見せる順はちがうぞ。
そう考えると、作り方も変わってくる。


料理を考えればわかる。

作る順で、食べる順になるわけがない。

食べる順を先回りして、
大体順番に出来上がるように作るよね。

時間のかかる煮物を先に仕込み、
焼いたり和えたりするものは最後のほうだよね。


そんな風に、
見る順を想定して、
バラバラに作り込んでいくことを考えよう。

たとえばクライマックスの段取りを先に考えても良い。
ラストの決め台詞が先に決まってて、
そこへ辿り着くまでの話を書いても良い。

オープニングから書き始めなくても良い。
先に日常パートや第一ターニングポイントをつくり、
それに合わせて逆算で、
そこへリードするオープニングを書いても良いのだ。

中盤などは、入れ替えに自由度が高いため、
作った順に並べる必要はない。
リライトの際に、あれとあれを入れ替えられないだろうか、
と考えることはとてもよくあることだ。
結果、作った順に見ることがなく、
見る順は作った側からしたらバラバラのことが多い。

見て面白い順と、
つくることが容易な順は違う。
数ページ書いて戻って書いて、まただいぶ先を書いても良い。

最終的な見る順さえおもしろければ、
作り方は問わない。


だからおすすめは、
シーン頭を必ずページ先頭から書き始めて、
シーン尻がページが余ってても、
次の白紙に次のシーン頭を書く方法だ。

こうすると物理的な入れ替えが簡単にできるため、
整理しやすくなる。

もっとも、
ページ番号は右上などに通し番号を入れておき、
全体構成表は別に持っておき、
ちょいちょいそれを書き換えて、
順番バラしを記録しておくとよいだろう。


つまり、
構成(順番)とは、
書く側の構成ではないということだ。
見る側の構成ということである。

見る側が、
世界の構築をやりやすくなり、
興味や関心をもって世界に入り、
予想や期待をしながら世界を前に進めることと、
書く側が書きやすい構成は、
同一でないことのほうが多いと思う。

だから、
見る順番は「あとでつくる」でもいいということだ。

これを編集行為ということにしようか。

全く一通りの編集しかないように、
すべてのパーツは出来ているべきだ。
しかしそんな風に最初からつくることは、
まず不可能だろう。

料理だって全部ができてから、
これには七味を振ろうとか、
これにはマヨネーズだなとか、
全体を調整するはずだ。

その調整を、
一度もしないのはあり得ないと僕は思う。


1ページ目から書き始めて、
順番に文字を書き、
最後の1文字を書いたら完成、
という小学生作文モデルは、
プロの書き方ではない。

むしろバラバラに書いたものを繋ぎ合わせ、
見る側にとって面白くなるように編集し直され、
書き直されたものが、
プロの作ったものであることが多い。


一度も作品を完成させたことのない人は、
「1ページ目から最後まで書けば完成!」と、
小学校の作文のように思っているだろう。

バラバラに書き、見る順を考えて組み直す、
というやり方を一度やってみることをおすすめする。

そうでないと辿り着けない境地がある。

なぜなら、
人は「書きやすいもの」を書いてしまう傾向にあるからだ。
「見る側がおもしろいもの」を書くのを忘れて、
楽してしまうんだよね。

それはおかしい。
書く側の自分勝手な都合などしらん。
見て面白い順に全部が整っているべき。
作り方は問わないだけのことだ。
posted by おおおかとしひこ at 07:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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