2023年09月17日

【薙刀式】TRONカナ配列ってどうよ

カナ配列七傑にTRONを入れなかったのは、
ひとえに普及してないから、だと考える。
じゃあ普及するほど優れた配列かな?
という問いになる。


専用キーボードでない実装のTRONカナ配列は、
変形親指シフト配列の一種であろう。

初期の十分な性能ではなかった飛鳥や、
初期の小梅配列あたりと、
そんなに違わない程度の性能ではないかと思う。

新配列ブーム?
(2000年代あたり?)のときには、
「親指シフトの方式はよいが、
配字がベストではないから、
この方式のままベストの配字を探そう」
という流れがあったように思う。

飛鳥、小梅の初期、
さら配列、蜂鳥配列、弓配列、蜩配列など、
多数の親指シフト方式配列が提案され、
その意識の中にはTRONもあったろう。

これらの雨後の筍のような状態から、
飛鳥は連続シフトによる運指の繋がりで、
蜂蜜小梅はゃゅょの配置や蜂蜜マトリクスで、
頭ひとつ抜け出たと認識している。

TRONはその団子状態とは別の世界線にいた。
専用キーボード上の配列というアイデンティティで、
だ。


じゃあ、実際TRONキーボード触ったろ、
と思ってて、
自作キーボードイベント(天キーだったかな)で、
元祖TK-1を触り倒せたのは僥倖であった。

ただ思ったことは、
「それほどいいキーボードでもないぞ」
という感想であった。

たしかにしょうもないキーボードから比べたらとても良いが、
自作キーボードで追求されている理想に、
負けてると思ったんよね。

その時の違和感を当時は言語化できてなかったけど、
今なら分かることがあり、

・親指キーが長時間多数打鍵できるほどのいい形ではない
 (側面を凹に沈ませて永遠に打つ形なので痛くなることが予測される)
・エルゴノミクス形状が、「一つの手の形を強制する」
 形になってるため、却って疲れるのでは?

を批判することができる。

つまり、
「頭で考えた理想形ではあるものの、
実戦プルーフを経ていない」感じを強く受けたんだよね。

TRONはMacととても似ている。
頭のいい人がデザインした感じがだ。
バカがやるよりとてもよい。

でもMacは考え抜いたシンプルさをもって、
世界をシンプルに整理して、
実戦でもそのようにやることでほんとにシンプルになった、
という実戦でのフィードバックループを経た洗練であるのに対して、
TRONはその洗練過程を経ていない感覚がある。
洗練童貞みたいな感じ。

それは自作キーボードでTRONキーボードを多数作成している、
satromiさんの作例をかなり触っても思ったことだ。

たしかにアイデアは優れているが、
そのアイデアだけで渡れるほど現実は甘くないぞ、
という感じ。
具体的に言えば、
「その位置に指が来るのは理想かもしれないが、
毎回その狭い位置に指は正確に行かない。
特に薬指小指」
「その正確性に気を取られてると、内容が飛びやすくなる」
という点だろう。

もっとも、僕はTRONを打てないので、
qwertyとカタナ式と薙刀式と、
つたない親指シフトで打ってみた感想だ。
そして親指キーはやはり違うと思った。

そもそも親指シフトは、親指の側面で打つのではなく、
指先を立てて打つもの。
そのようには、TRONキーボードの形は出来ていないと感じた。


さて、
論理配列であるところのTRON配列だ。

同様に僕はこの配列に、
「頭で考えただけの最適解」の匂いを感じる。
これで実際に小説10万字を書いてたり、
論文30本書いてたり、
日々の雑事を書いてたりしてないだろうな、
という感じ。
「走ったことのないスポーツカー」みたいな感覚だ。

具体的には、;位置の「ん」にずっと違和感がある。
親指シフトはそこだし、
最後の音だからそこに置きたくなるのは、
ビジュアル的には理解できるが、
出現頻度3位のカナをそこには置けんやろ。
だから、
TRONを作った人は、
「沢山打ったテストをしてないのではないか?」
という疑惑を拭えないんよね。


たしかに、
スペック的には、
TRONは親指シフトを上回るだろう。
親指シフトを100としたら、115くらいには上がると思う。
でもわざわざコンバートして得られるアドバンテージ、
というほどでもないかなというのが感想。

月とシン蜂蜜小梅が200、新下駄飛鳥が250、薙刀式が300、
qwertyローマ字が50、JISカナが40くらいの数値感で。
(スコアは僕の主観)

なので、
親指シフトを捨ててまでTRONに行く利便はないな、
それをやるんだったら月や薙刀式のほうがいいよ、
と考えていて、
七傑からTRONを落とした感じ。


なにより、
TRONの使い手の少なさが、
実戦での有効性を疑問視させる。

実際に使っているsatromiさんとも話したが、
そんなに速く打ててないから、
評価もし難い、という感じであった。
「疲れないかもしれないが遅い、
ないしそこそこの速度」というものが、
「役に立つもの」かどうかは微妙、
というのが現在のTRONの評価かな。

それに比べれば、
まだ実戦での評価がある(高いとはいわない)、
親指シフトを七傑に入れた方が現実的だなと考えた次第。



ずっと気になってるのは、
親指シフトの使い手、
全員手が大きい人なんよね。
大東さん、立花さん、勝間さんは、
動画で見る限りガバッと手が開くタイプ。
生で見た綾木さんも背が高く手の大きいタイプだった。

僕みたいに指が短く太く、まるっこいタイプで、
使いこなせる配列にはあまり思えない。

だから親指シフトは、
「特定のタイプ(例: 手が大きい人)」に、
有効な配列ではないか?
という仮説を立てている。

もちろん薙刀式も、何か特有の要求する特徴があるかもだ。



というわけで、
TRONを現在は評価してない理由。
TRONキーボードの魔法が解けた今、
自作キーボード×Eucalyn改の方が効率的だと思うな。

もっとも、TRONをさらに進化させた何かなら、
戦えるかも知れない。
たとえば拗音に関して排他的配置っぽいから、
3キー同時を許した薙刀式の拗音同時採用は、
あるかもしれないし、
3Dキーボードならもっと使えるかも知れない。


でも左小指に、らたまひ、
右小指に、れろんっや、
はかなり負荷が大きいと思うんよな。

QP薬指に逃すわけにいかないし、
小指は3段必須だしなあ…

反論待ってます。
できれば実戦文章をさらさら書くTRONの動画が見たいです。
posted by おおおかとしひこ at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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