人類が作ってきた道具は、
変形と淘汰の歴史を経て、
ほぼ最適解に到達している。
日本刀、自転車、傘などがそうだろう。
操作系においては、車、F1、飛行機、ヘリ、
ゲームなどが最適解に到達している気がする。
キーボードは、
その変形と淘汰の歴史の試練を経ていない。
まあ、普及初期の頃から、
あれだけボタンのついてるものが、
てんでバラバラにリリースされていたら、
これだけの普及はしなかったろう。
標準語の普及が教育水準の引き上げになったように、
PCの普及に、
キーボードの統一性は役にたったことは、
歴史的に評価されるべきことだ。
だが。
操作系が複雑なのが放置されたのは、
反対側の深い闇である。
操作系は変形、淘汰されるべきものだ。
獣道でショートカットしたり、
うっかり間違うものを遠ざけるような、
フェイルセーフが進むべきだ。
たとえば日本刀には鍔がついている。
これは目的である「斬る」ことには役に立たないが、
鍔迫り合いで自分の指を斬られることに役に立つし、
そもそも誤って刀の部分を持つミスを防ぐ機能である。
このような、
進化や工夫や淘汰が行われなかったのが、
キーボードという時代の遺物である。
しかし残念ながら、
日本語入力に関しては、
フリックはキーボードを凌駕したとはいえず、
キーボード入力が、
いまだに本格的な分量を書く最良の手段であることは変わりない。
(短文であれば、フリックや音声入力は有効だろう)
キー配列エミュレータの開発が、
まず論理配列を自由にして、
論理配列模索時代をつくったと思う。
漢直、カナ配列、ローマ字配列、
IME方式などが鎬を削り、
カンブリア爆発を経て、
現在は淘汰のフェイズに入ってるのだろうか。
ローマ字は実装が簡単なため、
いまだにtomisuke、大西などの新作が作られている。
そしてついに、
物理配列を変更できる自作キーボードがあらわれた。
左ロウスタッガード、一体型、平面から離れて、
現在カンブリア爆発は続いている。
いずれ淘汰に向かうのだろうが、
今生き残ってる有効なものは、
左右分離コラムスタッガード、格子配列、分離ロウスタガ、
一体型においてはAlice、ハノ字型あたりか。
3Dキーボードは模索が続くが、
まだ決定版というほどの形状は出てきていない。
キーのオンオフだけでなく、
トラックパッドだったり、回すつまみだったり、
アナログ式の読み取りであったりなど、
読み取り側も工夫が続いている。
いずれ、
物理配列と論理配列を組み合わせて、
「これしかありえない」ものが出来ると期待するが、
領分が違うのか、
なかなか二つともやってる人はいないのが実情。
あれだけ物理を工夫してんのに、
まだqwertyを使ってるのはアホか、
とそろそろ自キー者も気づいてきて、
論理配列の模索をする人もいる。
しかし、
旧来の論理配列は、
旧来のキーボードを前提としてるから厄介だ。
フリックみたいな、
「全然違うやり方」が、
突然日本語入力の新しいやり方になるかもだけど、
キーボードで入力する、
もっともいい方法はなにか?
の答えは、まだ全然始まったばかりともいえる。
ようやく、
配置を自由に試行錯誤できる時代が来た。
刀でいえば、
黒曜石の時代であろう。
形を自由にできないものが、進化しないわけがない。
僕はどんどん文字の位置、キーの位置を変えて、
どんどん合理化してったほうがいいと考えている。
そのうちいろんなアイデアが交換されて、
さらに交配は進むであろう。
そんなこんなしてるうちに、
最適解がいくつも生まれて、
人はそれを選択できるようになるだろうと思う。
僕が到達したのは、
論理配列は薙刀式、
物理配列は左右分割格子配列36キー、
物理形状はドーム型キーキャップ、
というものである。
今後また改良される可能性はあるものの、
今のところこれ以上は見つかっていない。
まったく別ルートから別の到達点へ辿り着く人もいる。
それらを観察して、
自分が持ってない原理に気づきたいんだよね。
進化系統樹の別のところを知りたい。
もし操作系を自由に変えられたら、
人はどのような仕事机をつくるだろう?
キーボードは、自作という手段を得て、
はじめてその俎上にのぼったんだよな。
そして来週その「俺のキーボードを見てくれ」
の大会がある。キー部6%だ。
そろそろ論理配列の話をしたいなあ。
2023年09月18日
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