2023年11月27日

F1ドライバーは、サーキットを歩いて確認するらしい

そんな話を聞いて、バカなと思ったもんだ。
でも今、似たようなことをやってるわ。


サーキットを歩いて確認するのは、
運転中には発見できない、
アスファルトのギャップやコンディション、
縁石などを調べるためらしい。

頭の中では滑らかに繋がってるイメージの路面は、
現実には案外ガタガタで、
「こうだろう」というイメージと、
現実の差を埋めるために、
時速300キロじゃ確認できないから、
歩いてちゃんと見ておくそうだ。

一周だけの一発勝負なら見逃したポイントがあっても、
何とかなるのかもしれないが、
本戦は何時間もかけて何十周もするからね。
そりゃ事前に確認しておくのは、
プロとして当然だろうな、
と今では思える。


当たり前だけど、
物書きというものは、
一字一句を確認する。

文法的にあってるよな、
間違った言葉使ってないよな、
この言葉これでいいんだっけ、
句読点の位置これでいいかな、
こういう言い方だと誤解を生むかもだから、
こういう風に変えられないか、
リズムはどうか、
イメージが膨らむ順番に書けてるか、
「だった」を「だ」に変えたほうがいいか、
「なのだ」のほうがいいか、
改行位置はここがベストか。

アスファルトの路面を歩いて確認するような、
地道な一文字ずつのチェックをやるわけだよな。


4万字もある、
なんて書く前は思ってるけど、
書き終えてしまえば、
たった4万字しかないんだよ。
これだけでこれだけの思いを伝え切れてるのか、
思いが大きすぎてもっと削るべきか、
いや、削りすぎたか、
ほんのわずかな原稿で表現しないといけない。

必要最小限にすればもっと詰め込める、
詰め込みすぎたら理解も追いつかないし楽しくない、
そのせめぎ合い。

サーキット一周何歩だろう。
何万歩くらいかな。

まあ大体似たようなことをやってるわけだよな。



第一稿を書き終えるだけが執筆ではない。
そのあとのリライトは、
第一稿より時間がかかる。
サーキットを一歩一歩歩いてチェックするように、
完全に滑らかな路面になるまで工事するのが、
リライトという工程だ。

きちんとできてれば、
あまりにもスムーズにストーリーが進む。

継ぎ目のないジェットコースターのような、
極上の二時間。

そうなるのは、
サーキットを一歩一歩歩いて確認するような、
精度が求められる。
posted by おおおかとしひこ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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