2023年09月28日

デザインの敗北

見た目のデザインを優先させるあまり、
機能性が損なわれること。

原語のデザインは機能性のデザインのことなのだが、
日本語のデザインは見た目オシャレのことしか取り上げられない
(つまりマスコミがバカ)ので、
いつまでたっても機能のデザインということが浸透しない。

またデザインの敗北が盛り上がってるが、
無知な人が「デザイナーの敗北」と勘違いしてること。
デザインとは発注者、デザイナー、施工者、などの、
ひとつの社会で行われる行為であり、
デザインの敗北とは、個人の敗北ではなく、
集団の敗北であることを念頭に入れられたい。


いうまでもなく、
映画を作る時も同様ということだ。

集団で作られる何かは、
必ずある段階で合意を取り、
進めていく。

にも関わらず、失敗が発覚した時、
後戻りすることにはコストがかかり、
大抵手遅れなことが多い。

ほとんどのデザインの敗北は、
実機テストをしていない。

いや、したかも知れないが、
した上で問題が発覚しても、
再発注はお金がかかることを思い、
「このままでいいです…」と、
泣きながら受領してるパターンもあろう。

そこに至るまでに問題を見つけられないのは、
想像力がなく、
ここからこうなるはずで、だとしたらこうなるだろう、
あれ?これはこうなの?聞いてみよ、
と気軽に会話できない、
硬直したチームであることが多い。

デザイナー的立場の僕から言わせれば、
色々段階的に出すものは、
「想像してくださいね、問題があると思いますか?」
というコミュニケーションなのだが、
帰ってこないことが多すぎる。
そしてあとあと問題が出てくることが多い。

そもそも、上がってみないとわからない、
想像力のない人がこの仕事やっちゃいかんよな。


で、
その悲惨な例が面白かったので一個貼っておく。
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まさか梅田サイクルの真ん中に「ダサイ」が入ってるなんて、
こうなるまで気づかんよなあ。
なんかナナメにシャキーンと入れてカッコよくしましょう、
白黒でシャープに(たぶん金がない)、
みたいに進めたのだろう。

で、出来上がってすぐではなく、
2〜3日してから「ダサイ」…?
と気づいたのではなかろうか。
斜めの位置を変えれば?しかし文字が反転してるから、
無理なものは無理だ…全面やり直しだ…
いくらかかる?…もうそんなには出せないです…これで…
という店主梅田さんの嘆きが伝わるかのようである。

デザイナーはゲラをつくらなかったのだろうか?
あるいは、作ってる時に気づかなかったのだろうか?
突貫工事で納品すると気づかないこともあるよね。
だから必ず一晩あけてから納品するように、
僕なんかは気をつけている。
それで致命的なものがあったらもう一案作り直しなんて、
まれによくあるさ。
(そしてそれが突貫故の…もなくもない)

デザインはデザイナーのものであるが、
それのやっていることを発注者は理解すべきだ。
このゲラが来た時点で、
「なるほどナナメカットデザインでカッコよいね、
白黒反転していいですね、
しかし待てよ、「ダサイ」が目立つので、
せめて「ウメダ」が目立つようにしてください」
と判断できなかった集団全体の、
敗北だね。

そういう意味で、
デザインの敗北とは、デザインに関わった集団全体の敗北だ。

だけど日本人は、集団を温存してトップだけ入れ替えて、
「改革」「改善」とかいう気持ち悪い集団である。
首をすげ替えて責任を取らせた気にするわけだ。
この場合もデザイナーがクビになっただけで、
システムは変わらなかったに違いない。
posted by おおおかとしひこ at 11:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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