もし「RRR」を今年に見ていなければ、
今年のベスト1あった傑作。
みなみ会館のお別れに立ち会うから、
映画はなんでもよかった。
ジャケ買いした「イノセンツ」、前情報なしで見たらスーパー当たり。
80年代のマンモス団地、ホラーだったよね?
童夢、ノーライフキング、MOTHER。
あの画一的で逃げ場がない巨大迷路感覚を久しぶりに味わった。
流行ったよなー巨大迷路。マンモス団地の広がりと一致してたのかな。
北欧の陰鬱な実写版童夢。
監督はまさに童夢をやりたかったらしい。
導入のネタバレありで進行。
ていうか予告はここまでバラしていいと思う。
日本は本当に宣伝が下手でむかつく。
よしあとはこの映画を激褒めしていくぞ。
子供が全員子役じゃない。
全員不細工。
決してCMに出てこないどころか、
現実にいたら醜くていじめられるクラス。
だから希望のなさが胸を締め付けるほどリアル。
「あー」しか言えない自閉症の姉を持つ妹。
何故か痛覚がなく、
だから親にバレないように姉を強くつねって虐待するのが、
妹の楽しみ。
一家は夏休み中のマンモス団地に越してきた。
ほとんどはバカンスで出かけ、
残ってるのは貧乏家庭の子たちばかり。
案の定イケてる子たちからは無視されて、
やや不細工な少年に「いいもの見せたげる」
と森へ連れられる。
秘密基地を勝手に作った場所で、
少年は落としたものの空中軌道を曲げる超能力を見せてくれた。
初めての友達かと思いきや、
少年は目の前で他のイケてる男子たちからボコられる。
一方人の心を読み取るテレパス超能力を持つ、
顔面の肌がマダラな少女。
自閉症の姉、妹、少年、そしてテレパスの少女が出会ったとき、
奇妙な連帯がうまれる。
姉も超能力を使える?まさか?
姉はどうやら増幅する力を持っている?
姉を媒介とすると、遠くまで言葉が伝わるとわかる。
はじめてたくさんの人数で遊んで、楽しくなった4人。
だけどテレパス実験の言葉で少年を揶揄した時、
少年の中の憎悪がブチ切れ、大木をへし折る。
破片が太ももに刺さる姉。
その時姉は、初めて言葉を取り戻す。
ここまでが導入。
なんやこれ???
センタークエスチョンは、
少年と仲直りできるか?
少年の残虐さは、
テレパス少女の飼ってた猫(と知らず)を捕まえて、
イケてる男子たちからボコられた恨みを晴らすために殺した部分でもわかる。
妹は姉の靴にガラスの破片を入れたりして、
日常的に虐待している。
この二人が一瞬いい感じになったのに、
最後殺しあうことになる。
こんなん思いつく?
そして、コンプラコンプラ日本で作れるわけないよね?
超能力描写も極めて簡単な特撮レベルのCG
(ただめっちゃリアル)。
なのにめちゃくちゃ不穏でずっと陰鬱。
ノルウェーかフィンランドかわからないが、
おしゃれなんだけど陰鬱な感じがたまらない。
巨大団地が美しく狂った墓場に見える。
あの磁場の狂ったような中にいると、
子供達が狂って超能力が生まれるのでは?
という幻想がそのまま、悪意のある物語になる。
今俺がこれを思いついてシナリオとして書いても、
「おもしろい!やりましょう!スポンサーさがします!」
っていうプロデューサー、日本にいるの?
いたら教えて!!!
子供達全員不細工で、
「ジロジロ見たらダメレベル」の、
不幸な子供達だぜ?
彼らの人生大丈夫かと心配してしまうわ。
そんなのを雇って四人主演にしましょう!
誰がそんな企画に億積むよ?
母親役はせめて小泉今日子で!とか、
商売っけ出してくるに決まってんじゃん。
芸能興業しかやり方を知らないプロデューサーが、
あんな不細工母親選ばないよね?
そう、ナイトシャマランを初めて見た時のような感じに近い。
頭のいいやつの娯楽。
目を逸らすレベル。
しかし目を逸らせては行けないレベル。
映画は商売だが、
映画は高度な見せ物である。
後者に振り切り、前者を成立させている。
それがギリギリ出来たのが、
80年代バブルのノーライフキングかー…
90年代に、実在の事件ベースなら、
「誰も知らない」があったくらいか…
もう日本無理やん。
色々ネタバレで語りたいが、
みんなの楽しみのためにここまでだ。
ミッドポイント以降の切れ味まじやべえぞ。
息するポイントがわからん密度。
唯一の減点は、
ホラーだからか、テーマ性がとても薄いこと。
「巨大団地不気味」しか言ってない。
あれは新しい貧乏スラムだったんだな。
そういえば日本にはタワマンという次の団地が(以下略
相変わらず邦題の付け方は最低だ。
原題はinnocenceと同じ意味のノルウェー語らしいが、
純真無垢、とでも直訳すべきところ。
ただそれではヒキが足りなさすぎるし、
この映画の魅力をちっとも表現できてないし、
「純粋無垢な子供達がほんとうは暴力的なのだ」
というイノセンス系ネタは擦られすぎてる。
僕なら「超能力マンション」
「ESPマンション」
「サイキック団地」
とストレートに名付けるな。
キャッチは「ぼくらは、チカラで殺し合う。」
くらい行っていいんじゃないでしょうか。
みなみ会館は、
最後に俺に教えてくれた。
マーケティング理論くそくらえだと。
作品性を追求しなくて何が映画だと。
面白いことを優先しろ。面白い映画が儲かるのだと。
面白くなくても儲かる映画など、俺はやるつもりはないと。
これは面白くなくなると思えるなら、途中でも降りろと。
そんな趣味趣向全開映画。
インドと真逆に突き抜けてる、人類の至宝のひとつ。
2023年09月30日
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