2023年12月14日

「〇〇もの」というジャンルは、日常にない焦点が結構ある

ので面白いよね、という話。


たとえば、刑事ものには、
「犯人を捕まえる」「起訴する」
「罪が確定する」「マスコミがかぎつける」
なんて、普段の日常にはない焦点や事件がある。
そもそも「殺人」なんかもないわけでね。
盗みや暴力程度なら日常にもありそうだが、
さすがに殺人はなかなかない。
だから刑事ものには、
「ジャンル特有の焦点」がある。

同様に、
「そのジャンルにしかない焦点」というのもあると思う。
たとええば「ヒーローもの」には、
「正体がばれそうになる」
「正体を知ってなお応援する」なんて焦点がある。
「合体ヒーローもの」には、
「合体シークエンスを阻止する敵と、
それを凌駕する合体作戦」なんかがあるだろう。


「それでしか摂取できない栄養素がある」
なんて言い方をすることがよくあるが、
単にキャラの栄養だけじゃなくて、
こうした「特有の文脈に夢中になる」
という要素があることがある。

たとえば医療ものには、
「新人が、担当患者が初めて死を迎えて悩む」
があると思う。
そこから、
「次の患者を助けるんだ」までに至る葛藤は、
医療ものでしか味わえない栄養素だろうね。
(そして、それはそのジャンルでは、
「定番の味」みたいに伝統になっているかもしれない)

ヒーローものにおける、初めての変身シークエンスもいいよね。
バトルものにおける、必殺技の誕生シークエンスもいいよな。
恋愛もので、ライバルに持ってかれるシークエンスもいいよね。

こうした、シチュエーション以上の、
焦点と小結果と次ヘの展開が、
ワンセットで必ずあり、
そこでしか摂取できない栄養素があるわけだ。


で、ここからが本題だが、
そういう「ジャンル」を書いているときは、必ずそれを期待されている、
ということを忘れないようにしよう。
それをやってそれをやらないのかよ、
という失望は結構あるものだ。
その期待には答えたいものだね。

さらにいうと、
「まったく新しいジャンル」の開拓というのは、
「それでしか摂取できない焦点の発明」でもあるわけ。

「爆弾が爆発しそうなときに、
赤のコードを切るか、青のコードを切るか」
という焦点が最初に発明されたとき、
みんなこれをまねして、
今でも使われるパターンになっているわけだしね。

「試合でやってもプロモーターやみんなが反対するから、
俺たちだけで無観客試合をやろうぜ」
というのは僕はロッキー3で初めて見たが、
この栄養素はほかのものでもありそうだ。


こうしたものを発明できると、
強いものになると思う。
というか、それこそが、オリジナリティだよな。

だから、
「〇〇もの」は人気だし、
とりあえず書いてみることをお勧めする。
そのパターンを、
その他のジャンルに持ち込んでもいいわけだからね。
posted by おおおかとしひこ at 01:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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