2023年12月22日

「何日もかけて完成させる」経験ってある?

そもそも最後まで完成させたことない人は、
たとえば油絵を一ヶ月かけて仕上げるとかの、
経験をしたことがないのではないか。


油絵に限らず、
プラモでもDIY系の何かでもよい。
設計図通りにやるマニュアルに従うものではなく、
自分で設計してつくるもの、に限るとしよう。

「最低一週間、下手したら数ヶ月かけて、
毎日コツコツやって、
完成させるもの」
系だ。

これらをやると、分かることがある。

・日によって進捗はバラバラである
・昨日はこう思ってこうしたことが、
 今日は違うと思って直すことがある
・それが別の日にはまた違うと思って直す
・だから近視眼にならず、全体を見る目を持ちながら、
 今どのレベルでこれを見てるのか、
 把握しながらでないと破綻する
・最初に抱いた壮大なイメージは、
 現実の妥協でボロボロになってゆく
・それでも全体を統一的に妥協しつつ、
 突出した所は突出させたい
・しかしその判断力や判断も、日によってバラバラで、
 全体の統一的見解はその平均値になる
・最初にこれを見越して設計図かいとけば、
 楽になったのに
・設計図通りになぜいかないのか
・現場判断をするとその場ではいいんだけど、
 やっぱり設計図通りの方が機能するな
・いつ完成宣言すればいいんだろう、
 これで完成と思ったら明日にはまた気になるところが出る
・その細かい直しに飽きたら?完成かなー
・と思ったら根本的にやり直すべきことに気づき、3歩さがる
・できたーと思ってからその数十倍の時間をかけて、
 完成まで辿り着くことになるとは思わなかった
・最初の思いつきが、いかに全体が見えてなかったか反省
・あ、完成したから、もうこれと生きる日々はやらなくていいのか


こんなことを経験したことがない人が、
いきなりシナリオ執筆でこれ全部を初体験して、
完遂することは、
かなり難しいのでは?と思う。

こうしたことは、
中学や高校の文化祭で経験するのが一番手っ取り早いか。

水彩や書道は、精々一日、かかっても二日ってところかな。
だから、数週間から数ヶ月を体験することはできない。
彫刻や立体の何かでもいいか。

まあなんでもよい。
「発想からつくりはじめて完成に至るもの」
で、時間がある程度かかり、
「それと生きる日々が結構ある」
ものにしよう。

つまり、
「結構かかって何かを完成させた経験」である。


僕はシナリオを料理によくたとえるけど、
料理でそんなにかけてたら腐っちゃうから無理だね。
一ヶ月かけてつくる何かの経験でよい。
たとえば夏休みの宿題全部、でもいいか。
ただしマニュアルがあるやつはだめで、
自由研究と読書感想文みたいな自由課題に限ろう。

こんな経験がないと、
シナリオを書くという、
孤独で長い期間を、客観的に過ごせるはずがないと思う。

そこで混乱し、迷い、落ち込み、
めんどくさくなり、わけがわからなくなり、
「置いとこう」「もういいや」「あ、書いてないな」
「放置」→エタる
になるのは、
単純に「ものづくりの完遂」経験がないからじゃないか、
とすら思うわけ。


だから、
シナリオを完成させたかったら、
プラモをつくれ、というヘンテコな説が言えるんだな。

もちろん、油絵でも、
彫刻でも立体物でもいい。
数週間かかるものづくりの完遂経験を、
シナリオとは別の何かでやってみよう。

(自作キーボードはおすすめしない。
「完成」のない世界だからね。笑)


疲れたからこれで完成としていいや、なのか、
最高のものができたのでリリースします、なのか、
完成の瞬間っていくつかパターンがあるんだよ。

そんなものを味わっておくことだね。



それだけの持続力、
コツコツやって、しかも全体に統一感があるもの、
を保つのは、
実はそれだけで難しいんだよね。

子供の頃にこうした体験を積ませる、
夏休みの宿題はよくできたカリキュラムだと、
今は思うな。

シナリオを完成させたかったら、
「ほかのものの完成体験」を積んでみよう。
文字の前で悩んでるより早いかもな。
半年筆が進まないなら、
一ヶ月かけてプラモ作ってみても損失にはなるまい。

設計と実際の関係、
部分と全体の関係、
全体の統一感、
それを端からビルドして、全体に至ること。
それらの経験を積んでみよう。

油絵なんて毎日二時間くらいやっても、
一ヶ月じゃ済まないくらいかかるんだよ。
そういう「長期的集中力」って、
とくべつの力がいるんだよね。
posted by おおおかとしひこ at 00:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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