2023年12月25日

話が上手い人は、状況の整理が上手い

なぜあなたの話は伝わらないのか。
なぜ下手だと言われるのか。

あなたの中の状況が、
観客に伝わっていないから、ということがないか?


ある場面で、
あることをしようとしている。
その時、周りの状況があり、
それありきで行動を決めているわけだ。


たとえば戦争もので、
相手が昼飯を食っている時間がわかり、
その時刻に攻めようとしているとしよう。

こちらの行動を描き、
攻める直前まで来たとしよう。
「よし、いまだ、いくぞ」と攻撃をかける。
こういうやり方は、下手なやり方だ。

作者は、「昼飯の隙をついて攻める」という状況文脈が、
(自分でつくったから)分っている。
しかし観客は、
このことを忘れている可能性がある、
ことまで想像できているか?
という話。

「昼飯の隙に攻めるぞ」と前のシーンであり、
次で攻めるならば、さすがに忘れていることはないだろうが、
別のエピソードを一個挟んだり、
別のシーンを挟み込んだりすると、
意外と忘れていることが多いんだよね。

だから、
「昼飯でいないはずだ」と、
一回状況を整理してから、
攻め込めばいいわけだ。

どういう整理の仕方が上手かはいろいろある。
部下に上官がもう一回説明して整理するパターンもあれば、
「臭い昼飯でも食らってな!」
と生きのいいやつがバズーカを打つように、
「その状況を知っているやつがいる」という表現で、
観客に親切にも状況を伝える、
という方法もある。
あるいは、
昼飯を食っている敵の部隊と、
がら空きになっている戦線を見せてから、
こちら側の攻めを描く手もある。

どういう説明の仕方をしてもよい。

わざわざ説明して、
くどい、と思われることと、
状況が分かっていない状態で、
話を進めることでは、
後者のほうが罪である。

へたくそながらも、
状況が分らなくなっているならば、
状況の説明はあったほうが良い。
あとは、それが上手か下手か、ということになる。

今どういう状況?
観客はすぐに忘れるぞ。
それは別のことを考えているからだ。

登場人物の気持ちや人間関係や、
テーマについてなど、
焦点が一回そっちに行ったら、
それを考えてしまい、
今どういう状況なのか、忘れる傾向にある。

つまり、
「今こういう状況で、これに行く」と、再セットすることは、
焦点をよりはっきりさせる、
ということなのだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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