2023年10月18日

「誕生日席」という言葉の使い方

よく考えてみると面白いよね。


さっきファミレスで、
4人席に5人が案内されて、
1人が横側に座り、「お誕生日席だな」
なんて言っていた。

図にするとこう。

○○
□□●←誕生日席
○○

まあ昔からそういう言い方するものだから、
なんて思って来たのだが、
よく考えると面白い言い方だなーと思ったので。

そもそも飯を食うのに不自然だし、
廊下にはみ出すし、
実はろくなことのない席である。

隣接する二人も狭そうだし。

でもそれを「誕生日席」と言い換えることで、
お前が主役の席だぜ、
これは特別な席なんだぜ、
みんなの顔見えるしいいだろ?
なんて感じに、
ポジティブに粉飾してるんだよね。

物理的に5人テーブルを用意するコストに考えれば、
言葉一つでネガをポジにできるわけで、
コスト0なわけ。
(言葉を考え出すコストは含まないとする)

言葉の魔法のしっぽを、とらえた気がした。


言葉はつまり道具に過ぎない。
真実を真実通り伝える必要はない。
我々がやってるのは報道でも科学でも神学でもなく、
フィクションである。

言葉一つでこれほど気分を変えられるなら、
言葉はうまく使うべきなのだ。

これを現実に使えればモテモテホストや、
出世頭になれるのかもしれないが、
あいにく我々は、作品の中でそれを使うわけだ。

我々の嘘つきテクニックは、
作品の中で生かされる。

モテモテホストや出世頭は、
言葉をうまく操れるくせに、
じゃあなんでフィクションを書かないんだろう?
それとこれとが別なのが、
人間の面白さだよな。


ということで、
こうした例は探せば枚挙にいとまがないだろう。
posted by おおおかとしひこ at 17:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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