2023年10月20日

【薙刀式】打鍵効率、単打率というのがあってだな…

ローマ字からいきなり新下駄を始めると、
その良さを知らないまま始めることになるのかも知れない。
無知とは怖いものだが、それゆえに勢いがあってよろしい。

Twitterから。
> 新下駄配列は1文字を打つのに2つキーが必要だから効率はローマ字と大きく変わらないのかと思ってしまったが、50音の行とか列から完全に独立して配置できるのが強みか。

そこも強みだけど、
単打面とシフト面の差は、
打鍵の効率のためなんです。


二つの効率の指標を見ていこう。
わかりやすいのは打鍵効率だ。

打鍵効率とは、
1カナあたりを出すための、統計平均的総打鍵数だ。

ローマ字  1.7
親指シフト 1.4
新下駄、薙刀式などの新配列 1.3〜1.2

あたりかな。
統計平均が効いてて、
文字の出現頻度を計算に入れているわけ。

つまり、
「すべてのカナを打つのに必要な平均打鍵数」ではなく、
「世の中にある統計的に平均的な出現率の文章を、
打つのに必要な1カナあたりの平均打鍵数」
である。

実際には、
各カナの統計的出現頻度は調査されているので、
そのカナを出すのに必要な打鍵数×出現確率
を全カナに対して足せば、上の表が得られる。


これが効いてくるのは、
長文においてだ。
数文字、数十文字、数百文字ではあまり変わらないだろう。
数万字、年間百万字あたりで、
如実に効いてくるファクターだ。
ざっくり燃費と同じと考えると良い。

親指シフトはローマ字に比べ、1.4/1.7=82%エネルギーが少なく、
新下駄や薙刀式は、1.3/1.7=76%エネルギーが少ない。
(すべてのキーの1打を同じエネルギーで打てる、
と近似していることに注意)

逆数で見ると、
親指シフトはローマ字に比べ、1.7/1.4=21%燃費が良く、
新下駄や薙刀式は、1.7/1.3=31%燃費が良い。

いずれにせよ、
倍も変わらないことは、
知っておくべき基礎知識である。


さらに議論を進める。

長期的な影響よりも、
短期的な影響の方が実感があるかもしれない。
それがわかりやすい、単打率の指標を見ていこう。

単打率とは、すべてのカナを打つときに、
統計的に何%くらいが単打カナか
(2打以上必要でないか)を示した指標だ。

ローマ字 19.7%(aiueo,.-の出現率を足したもの)
親指シフト 57%
薙刀式   62%
新下駄   68%

ローマ字は8割のカナは、2打3打必要なわけだね。
それに比べて新下駄は、7割は1打でOKなわけ。
薙刀式は6割と新下駄に対して1割劣るが、
マスターしやすさは1割の差以上の開きがある。
(記憶負荷的には倍くらい差がある)

新下駄のいいところは、
7割はシフトしなくて1打で1カナが打てること、
といってよい。


ちなみに、1打1カナの、
4段目も小指外も全部使うJISカナ、
単打率100%かと思うでしょ。
ところが、
っぁぃぅぇぉゃゅょの小書きと、
を、。はシフトが必要で2打カナなのよね。
従ってこれらの出現確率、9.1%を引いて、
90.9%がJISカナの単打率。

微妙に2打のノイズが混じってるね。
純度100%の単打カナ配列じゃないんだよね。

4段も右外も全部単打で打てるようになっても、
なお単打率9割って、報われないよなあ。

それに比べて新下駄は、
3段+4段目の左半分の3.5段を使って、
単打率7割を達成している配列。

新配列では、
もっとも単打率の高い配列のひとつだ。
(同率によだか配列がある)

だから、
短期的に見て、
だらだらと打つカナの3割しか、
同時押ししなくてよい、という配列なんだよね。

ローマ字と比べるなら、
ローマ字は2割しか単打で打てず、
8割は2打以上必要なわけ。

手の手間、脳への負荷が、
まったく別世界であることがわかるだろう。
これが、カナ系新配列の、
短期的にわかりやすい威力だ。

加えて、長期的燃費が3割お得。
手指の負担が変わってくるね。


単打率が高いことは、
単にイライラしないこともあるけれど、
あるフレーズを打つときにジャラッと打ちやすいことでもある。

たとえば薙刀式では、
「している」「られた」「ってなる」
「したこと」「ということ」「ならない」
など、よく使うフレーズが単打のみで構成されているため、
そこをジャラッと打っているうちに、
次の思考を考えられるという利点がある。

薙刀式は数値的に新下駄に劣るけれど、
新下駄にない部分は、
こうした思考パーツが打ちやすいことにある。

一方新下駄は統計的な連接を打ちやすくしてある。

設計思想の違いだから、
どっちが強いというよりも、
どっちを使いたいか、どっちが気持ちいいか、
で選べばいいと思う。


さて、
もとの議論に戻ると、
50音の行や段と独立すること自体は、
カナ配列すべてにおいて言えることだ。
だから、カナ配列使ってれば、
なんでも50音のくびきから逃れられる。

さらに効率的なカナ系新配列では、
単打率を高めたり、
打鍵範囲を狭めて打ちやすくしたり、
打鍵効率を上げて燃費をよくしたり、
単打同士のつらなりを気持ち良くしたり、
しているわけだね。

この辺まで理解して、
はじめて新下駄すげえなあ、
なんて分かるんだけど、
こういうことは解説しないとわかりづらいため、
解説してみました。


(追記)
新下駄の単打率、作者のkouyさんによれば、
> 自分の集めたデータでは71.96%は1キーで打てる文字が出てくるので、単純に打鍵数で比較してもローマ字よりはっきり良いです。
だそうな。72%ならさらに良いよね。すげえ単打率。
posted by おおおかとしひこ at 10:07| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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