と、読んだ人が思えるシナリオになってるだろうか?
そもそもシナリオというものは、
投資を誘う設計図である。
もちろん映画そのものの設計図でもあるが、
それを建築する前に設計図面で確認するから、
その設計図が、
大金を投資する価値があるように見えていなければ、
大金は投資されないわけだ。
もちろん、投資家側をある程度騙すことは可能だ。
脚本の良し悪しが読んで分からない人向けに、
「これは○万部売れた原作の映画化なんです」や、
「人気俳優の○○を抑えました、
今この人が出るってなったら客入ります、
あるいはこの人は○○人のファンを持っています」
と言って、
大金をせしめることは、
ここ10年以上横行してきた詐欺の一種だ。
この大金の掛け方で、
どんだけ爆死したかを、
投資家は知らないんだろうな。
知ってる人は手を出さず、
知らない人が騙されるわけでね。
で、
我々が書くべきは、
二つある。
中身とガワである。
中身とは、
本当に満足する面白い話で、
ああ、これを読んでよかった、
この読後感の映画が見たい、
と思わせればそれで良い。
この読後感に、○億円必要なんです、
といえばよい。
それだけでは○億円もいらなくない?
なんてケチられてしまう。
だからガワがいる。
この面白い話を、
スターなしで映画化できるとでも?
この面白い話を、
CGや大仕掛けなしでショボくするの?
というような、
「ここが金のかけどころ」
と思えるガワを用意しておこう。
なるほど、
大金を掛けると、
ここが見栄え良いガワができて、
この中身の充実感、読後感の映画になるのか、
と想像させられる脚本がよい。
だから、人は投資する。
こうこうこういうストーリーだから面白いでしょ?
だけだと不安になる。
これだけのガワだから良さげでしょ?
でも張子の虎になるのではと不安になる。
これだけ中身が充実して、
なおかつこれだけの大金を用意すれば、
こんな大仕掛けのロマンがあるのかー、
というものが、
人が大金を掛けて勝負したくなるものである。
もし1スポンサーに限るなら、
大体3〜10億出せば良い。
(製作費とその2倍の宣伝費を含む)
小口スポンサーを大量に集めるなら、
一口1000万円くらいからかな。
あなたが企業の担当者として、
1000万円を出すには、
何が必要だと思う?
何にも知らない素人なら、
売れてる原作/売れてる芸能人に、
1000万ベットかな。
少しでもホンが読めるなら、
その読後感に1000万ベットだろうか。
ガワが集客力につながると考えるなら、
このアトラクションに1000万ベットかな。
もしちゃんとホンが読めるなら、
このアトラクションにこの読後感かー、
と、ワクワクして1000万ベットだろう。
なぜ1000万出すのだろう?
個人的な金ではなく、
企業の金であるならば、
上司に報告しなければならない。
「これこれこういう理由で1000万円出します」と。
その時に、
「感動して、しかもガワのアトラクションが魅力的だったから」
と、
あなたの脚本は書かれねばならない。
「○万部原作で、○○が出るから」
と安易に書かれて、
何も知らない上司がハンコを押すようなシナリオになるべきではない。
1000万出すスポンサーが、
10口集まってやっと1億。
30口集まってやっと3億、うち製作費1億だ。
(残り2億は宣伝費に消える)
メジャーな2時間映画は1億制作費では足りない。
つまり、
あなたのシナリオは、
30口以上の1000万を集めるシナリオでなければならない。
そんな風に、
自分のシナリオを見ることが出来るだろうか?
シナリオライター個人の、
私小説みたいなクソ台本に、
誰も1000万なんか出すわけないじゃんね。
たとえ素人が読んだとしても、
「この物語は映画化する価値がある」
と思わせて、
1000万円を出させるものになるべきだ。
そういうシナリオが界隈で取引される未来になるといいのにな。
残念ながら、
現在、そんな風にはうまくいっていない。
しかしシナリオがそうあるべきだという理想は、
何一つ変わっていない。
あなたのシナリオは、1000万の投資の価値がある。
そんな風に「誰が」思うかを、
想像しながら書いてるか?
もちろん媚びる必要はない。
媚びてくるやつに人は1000万も投資しない。
背中を支えたくなる人に投資する。
2024年01月02日
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