2023年11月05日

【薙刀式】キーボードには、使いやすいと使いにくいがある

実のところ、この視点が最初にあるかないかで、
随分と見方が変わるのではないか、
などと思った。


自作キーボード好きの人たちが集まる、
天下一キーボードわいわい会、
通称天キーを堪能してきたのだが、
そもそもこの沢山のキーボードや、
それを作ったり使ったりする人の、
情熱の源ってなんなんだろうと考える。

その原点はなんだろうと考えると、
「使いやすい/使いにくいの発見」
なのでは?と思うわけ。


キーボードによって、使いやすさが異なる。
そのことに気づかない多く?の人は、
キーボードとはそんなものか、
と一生こっちに来ないだろう。

だけど複数のキーボードを触って、
使いやすいのと使いにくいのがあることに、
無意識にでも気づいた人がいると思う。

僕にとっての気づきは、
MacのMagic Keyboardで、
Windowsのキーボードってなんでこんなに使いにくいんだ?
みんなMacのキーボード使えばいいのに、
ってうっすら思っていたように思う。

個人でWindowsのタブレットを買って、
そこに繋げるキーボードに悩み始めてから、
本格的に「いいキーボードって何が違うの?」
って道に入ったように思う。


そこにはたくさんのパラメータがある。

スイッチ機構による打鍵感の違い、
キーキャッププロファイルによる打鍵感の違い、
物理配列による運指感覚の違い、
筐体の剛性感による打鍵感の違い、
分割や3D曲面による運指感覚の違い、
打鍵姿勢による感覚の差異、
そして論理配列による運指感覚の違い。
また、
人間側の感覚も、そもそも異なる。

平均的な人による合理的な使いやすいキーボードはあるのか?
それぞれに合わせた相性で決まるのか?

分かっていないことはとても多い。


先人には、万年筆やボールペンや鉛筆の世界がある。
僕は普段使いしてないが、
かつては筆や墨で同じことがあったかも知れない。

なぜキーボードだけがこんなに特異的になったかは、
JIS規格のせいじゃないかと思われる。

普及期に、同じ規格じゃないと使い回しが利かないから、
という理由には納得がいくものの、
そのせいで、
「根本的にはパーフェクトでない不完全な109キーボードを、
日本標準のものにしてしまった」
ことの罪はとても大きい。

万年筆やボールペンは、
まだ各社がバラエティを出しているから、
その差異が最初からあるのがわかるけど、
キーボードはなまじJIS規格があるから、
「キーボードなんてみんな同じじゃない?」
って先入観があると思うんだよね。

「もしその規格以外があり得るなら?」
のif世界のその先が、
自作キーボードなんじゃないかな。

ノートPCなどで、
狭いからという理由で、
JIS規格109キーボードをそのまま使えない機種が増えた。

このことで、
「キーボードといっても同じではない」
という概念が、わかりやすくなったような気がする。


「じゃあ、使いやすいの頂点は?」
「どんなパラメータがあるの?」

という疑問が次に出て、
それらを調査して、検証して、創作して、
組み合わせて、また評価して…
のループをして、
独自に発展してきたのが、
自作キーボード界隈だと考えられる。



キーボードには、使いやすいのと使いにくいのがある。

そこに気づいた人だけが、
こっちに来るんじゃないだろうか。

ようこそ迷宮へ。
まだ最強のキーボードは決まっていない。
最強の万年筆が決まってないし、
最強の筆も決まっていない。
だけど、どういいか、何がいいか、
などの言語化が、どんどん進んでいるとは思う。

単なる言い合いではなく、
ブツがそこにあるから面白いのよね。
じゃあやって見ろよがすぐできるから。

これが武術なら立ち合いで一人死ぬからねえ。


使いやすいと思われるキーボードが、
あんな広い会場で、200台も300台も並んでるって、
冷静に考えたら面白すぎるよな。

どこにそのパラメータがあるのか、
味わう側もセンスを要求される。
その感じがとても面白い。

「目覚めてしまった」人が、
永久に迷宮をさまよう。
それは側からみたら呪いかも知れない。

だけど、
「使いやすいキーボードの条件」を、
どれだけ煮詰めたかで、
その分不幸がなくなっていくのは、
生きてるって感じがするんだよね。
posted by おおおかとしひこ at 11:22| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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