2024年01月11日

動く点P

「数学は訳がわからない」
ことの代表にされる、動く点P。

なんだよPって、お前の正体はなんだよ、
って納得しないまま数学を進めることになり、
いつか数学なんて役に立たないと文句をいうことになろう。

点Pとは抽象化である。
抽象化と具体化を、そもそもできない人が、
数学に挫折するのではないか。


動く点Pは、
あらゆる動く何かを抽象化したものだ。

先に出発した兄、
自転車、電車、車、高速に乗った車、
エスカレーターに乗った人、
エレベーター、
飛行機、
走る人、ドローン、
株価、温度、貯金、月収、年収、利率、
拳、ナイフ、銃弾。
衛星砲、大陸間弾道弾、星間航法。
ウィルスの動き、菌糸の動き。


ありとあらゆるこうしたものを、
数式一発で解けるパターンについて、
学んでいるのですよ、
という、「抽象化と具体化の授業」が、
必要ではないかと思われる。

「この数式で解けそうな、
点Pの具体を10個考えよう」
という問題があってもいいと思うんだよね。

等速直線運動Pが先に走って、
それより後に出発したQが追いつく問題であれば、
PQはたいてい兄と弟なのだが、
上り調子の漫才コンビPと、
後追いでさらに人気のコンビQの人気投票、
なんてことだっていいわけだ。

あるいは株価でも同様だ。
普通電車と急行電車でもいいし、
キックに対してカウンターでパンチを合わせる、
でもいいと思う。

こんな風な、
あらゆる具体的なものが点Pになりえるし、
その点PとQの数式はいろんな具体物に当てはまる、
という、
抽象化と具体化の練習をしておかないと、
「点Pって何w」になってしまう。
「点Pは普通アレとアレとアレで使えそうだけど、
まさかコレでも使えるのか」
が、正しい反応であるべきだ。

たぶん、
こうしたことは学校で習っていない。

抽象化、具体化は、
頭のいい人はできるが、
バカはできない、
で止まっているように思う。
バカであったとしても、
抽象化や具体化ってのがあるんですよ、
というところまでは知っておいたほうがいいかな。

なぜなら抽象化は変数化であり、
変数を使っていろんなことがなされるからだ。

これは実社会でふつうに使われてることであって、
給料だって用意した変数の得点で決まるよね。
(その変数の組みが評価として妥当か、
という別の議論もあるけれど)

数学なんて役に立たない、
なんて言う人は、
点Pが具体的にいうと何に使えるかを言えない、
バカばかりということさ。



さて、脚本論である。

脚本論というのは、
抽象化したものを議論する。

たくさんの具体的なストーリーに共通するものを抜き出して、
抽象化して議論する訳だ。
それは具体的な中のものに、
共通する抽象的な特徴があるからだね。
共通してなければこの議論は成立しない。

だから、具体的な中にこの抽象が潜むぞ、
ということは、と、抽象化できなければ、
どんなに勉強しても無駄だろう。

そしてその抽象化されたものに対して、
具体に還元できる実力が必要だ。

「幸福を描くには、その前にどん底であると、
カウンターが効いてよい」
なんて抽象的な法則に対して、
どういう幸福か、どういうどん底か、
それがどれくらい心を振るわせるかは、
具体で決まる訳だからね。

それは具体化の才能、
といっても過言ではない。


プロットは抽象で書かれることが多いが、
実際の原稿は具体だ。
そこが苦手な人もいるだろう。

ぶっちゃけ、
すべて具体で思いついておいて、
プロット化する際に、
抽象化したほうが使いやすかったりするね。
カップヌードルにお湯をかけて戻す感覚かな。


動く点Pの話と、
使う金に貯金が追いつかない話は、
繋がっている。

抽象化、具体化を行き来して、
こうした思考に慣れることだ。


もちろん、抽象化しにくい具体的な話、
具体に還元しにくい抽象話もある。
前者を濃い話、
後者を絵に描いた餅という。

後者はとくに詐欺に使われるね。企画書とかね。


具体化しにくい抽象的なプロットは、
あなたが絵に描いた餅をつくって、
自分を誤魔化してるのさ。
出来たフリをしてね。
posted by おおおかとしひこ at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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