いよいよAI生成の何かが、何かになりつつある。
その中で、広告クリエイティブが影響を受け始めている。
https://x.com/kettosee/status/1723530946346131913?s=20
人間の作るすばらしいものは、
従来のマーケティングの枠組みを超えた、
新しいものをつくる。
それこそが創造(クリエイティブ)だ。
ところが、
それを判定する側に目利きがいないと、
ゴミクリエイティブの区別がつかない。
だから、
ヒットした人のギャラをあげて、
その人の次の作るものはよいものだと信仰してつくらせて、
ヒットしなかったら次の人を連れてくる、
というモデルになっている。
僕は「目を磨け」としか思わないが、
目のない人は判断できないから、
ヒットしたしなかったという、
結果論でしか判断できない。
作品はよかったのに、プロデュースを失敗して、
いい形で世に出なかった、なんてものはごまんとあり、
プロデュースがパワープレイだったので、
作品性がゴミでも結果的にヒットしたものも、
ごまんとある。
(そしてそれはゴリ押しと呼ばれ、
近年の問題であったと思う)
ヒットしたかしてないかは、作品性と相関が薄い。
ほんとうに良いものは、
文化をつくる。
ヒットした、金儲けした、
という短いサイクルではなくて、
それを心に秘めて人生に影響を与え、
良い人を増やすという循環がある。
おそらく海外では宗教文化がこれにあたる。
日本は神道ベースの祭りがこれを担い、
映画やテレビなどの「興行」という祭りが、
同じく文化を担ってきた。
ところがこの「祭り」が、
ずいぶん「政り」のほうになり、
崇高な漫画原作のゴミ実写化爆死や、
東京五輪みたいなゴミ文化を生成したことは、
記憶に新しい。
さて、
こんな状況で、
「見る目のない素人」であるクライアントが、
何に金を出すかを考えれば、
「確実にPDCAサイクルを回せて、
しかも余計な文句を言わないスタークリエイターではなく、
AIロボット」だろう。
近視眼的にはこれが合ってるように見える。
だがこの先に何が待ってるかを警告しておく。
それが分かってないと感じたので。
生成AIがつくるものは、
平均化されたものだ。
「あるトークン(言語単位。名詞や助詞など)が来た時、
次に何のトークンが来る確率が高いか?」
のサイコロを振り、接続することが、
生成AIの原理である。
大数の法則(統計学の基礎。
多くのものを集めれば、平均的なものが出現率が多く、
平均的でないものは出現率が少ない。
これらをたくさん集めれば集めるほど、
正規分布という同じ関数に収束する。
これを根拠にしたものが、視聴率や偏差値や、
製造業における精度チェックの公差)
に従う、
キャッチコピーやクリエイティブとは、
つまり、
「どこかで見た無難なもの」にすぎない。
それは新しくなく、むしろ既視感のある古いものだ。
もちろんその中ではどんぐりの背比べで、
商品が動いた動かなかったがある。
だから、その中での微差を戦うことになる。
前提にもどる。
金を出すクライアントは、
それがクリエイティビティがあるかないか、
見分けられない素人だ。
1. 人間の提出する、有料の高いもの
大失敗することもあるし、大成功もする
2. AIが提出する、無限にPDCAを回せるロボット
ならば、
社運をかけた1よりも、
無難で着実な2を選ぶということ。
この前提は「見る目がない」だ。
市場とは、見る目のない人と、
見る目のある人がうずまく。
そして、見る目のある人が、
次の文化をつくって、
見る目のない人があとをついていく。
それに、過去の確率的平均化された焼き直しを投入することは、
見る目のない人たちを相手に商売する、
周回遅れビジネスということだ。
つまり、
広告部、宣伝部の敗北というわけ。
もちろん、宣伝部に見る目があり、
これが次の世界を担う文化である、
と判断できれば問題ない。
しかし現在の多くの宣伝部は弱体化していて、
かつての花形部署から、
リストラ先へと落ちぶれている。
それは、広告が次の文化をつくれなくなったからだ。
ゴミみたいなクリエイターをクビにできず、
パワープレイのゴリ押しをしたから、
このようになったわけ。
見る目がある宣伝部、
たとえば資生堂やサントリーは、
いまだに広告文化をつくっている。
その他の企業はどうだろう?
20年前にくらべて、広告が時代を牽引している実感はない。
クリエイティブは、
見る目がない人が扱うと悲惨だ。
簡単に扱いを間違える。
そうして良貨が崩れ去り、
悪貨が蔓延してるのが現在だ。
PDCAサイクル?
なぜ評価を見る目がない人に渡す?
周回遅れもいいところだね。
デジタルはほんとうに人を幸せにしてる?
海の様子を見れない航海士は死ぬ。
その淘汰がなくなり、
海の様子を見れない航海士が、
AIの力を借りて蔓延したら、
海は健康でなくなるよね。
市場は平均化して、
人間のすごいパワーで次を引っ張る文化は生まれなくなり、
衰退するだろう。
まあ、亡国の衰退には、相応しいかもしれない。
つまりマンパワーを割かない、
撤退戦である、
といわれればそうなのかもね。
それが幸せをもたらすというならば、
幸福なる自殺だと思うね。
2023年11月14日
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