2023年11月28日

何かが決定したむなしさ

ラストまで書ききったとき、
充実感とともに、一抹のむなしさが漂う。

楽しみにしていた遠足が終わったような、
ずっと待ってた試合の結果が出てしまったような、
そんな感じだ。


試合を例にとると、
どっちが勝つか分からないから楽しみにできたのだ。
それが決定してしまって、
もう「どっちが勝つか」ではなく、
「終わってしまった」という棚に入ってしまうから、
なんだかむなしくなってくる。
終わったんだなー、という感慨だ。

物語も同じである。
何かしらの決定が、その世界にもたらされたはずだ。
二度と覆らない、何かの決定だ。
それは決まり、それが始まる前の状態には決して戻らない。

誰かが死んだら生き返ることはないし、
何かが失われたら戻らないし、
何かを得たら、ない状態には戻れない。
永遠の変化とは、前の状態の「可能性のあった状態」を失うことである。

だけど、
それを本気で求めて、
本気でそれを得るために頑張っていたならば、
力を十分に発揮した充実感が漂っていることだろう。
そしてそれは結果に満足するに違いない。
(ハッピーエンド、大団円であれば)

ストーリーは終わるためにある。
それが幸せなエンディングであるならば、
終わってしまったむなしさ(ロス)よりも、
幸福なテーマの結実を祝福するべきだろう。
(バッドエンドはだから始末が悪い)

もしそれがとても登るのに大変な山であったとしたら、
休息が長い時間必要になるかもしれない。
だけど、次の山がもう見えているかも知れない。


むなしさは何もしなかったむなしさではない。
それだけはたしかだ。





十年かかって、
ようやく「てんぐ探偵」を、ラスト108話まで書き終え、
リライトが納得いく形で終わった。

小説なんて無理だよと思っていた状態からはじめて、
とにかく頭の中の物語を書くことだけを念頭に、
下手だなあと思いつつもがむしゃらにやってきた。

当初56話くらいしか考えていなかった物語が、
光太郎という登場人物を得て、
108話まで拡大した。
煩悩の数の全108話というのはそのときに決めた。
それに合わせて他を調整した感じ。
でも最初からラスボスは決まっていたし、倒し方も正体も決まっていた。
だから最初に思いついたストーリーを、やっと形にできたと言えると思う。

来年から隔週で発表予定。
第8章全11話だけど、全部で14万字超えたので、
一本一本ががっつり来るので、隔週にしないと胸焼けすると判断。
お楽しみに。


次の山はなんとなく見えているが、
具体化はまだ難しいかも知れない。
とっかかりが見えたら動きだすと思う。
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posted by おおおかとしひこ at 18:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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