ラストまで書ききったとき、
充実感とともに、一抹のむなしさが漂う。
楽しみにしていた遠足が終わったような、
ずっと待ってた試合の結果が出てしまったような、
そんな感じだ。
試合を例にとると、
どっちが勝つか分からないから楽しみにできたのだ。
それが決定してしまって、
もう「どっちが勝つか」ではなく、
「終わってしまった」という棚に入ってしまうから、
なんだかむなしくなってくる。
終わったんだなー、という感慨だ。
物語も同じである。
何かしらの決定が、その世界にもたらされたはずだ。
二度と覆らない、何かの決定だ。
それは決まり、それが始まる前の状態には決して戻らない。
誰かが死んだら生き返ることはないし、
何かが失われたら戻らないし、
何かを得たら、ない状態には戻れない。
永遠の変化とは、前の状態の「可能性のあった状態」を失うことである。
だけど、
それを本気で求めて、
本気でそれを得るために頑張っていたならば、
力を十分に発揮した充実感が漂っていることだろう。
そしてそれは結果に満足するに違いない。
(ハッピーエンド、大団円であれば)
ストーリーは終わるためにある。
それが幸せなエンディングであるならば、
終わってしまったむなしさ(ロス)よりも、
幸福なテーマの結実を祝福するべきだろう。
(バッドエンドはだから始末が悪い)
もしそれがとても登るのに大変な山であったとしたら、
休息が長い時間必要になるかもしれない。
だけど、次の山がもう見えているかも知れない。
むなしさは何もしなかったむなしさではない。
それだけはたしかだ。
十年かかって、
ようやく「てんぐ探偵」を、ラスト108話まで書き終え、
リライトが納得いく形で終わった。
小説なんて無理だよと思っていた状態からはじめて、
とにかく頭の中の物語を書くことだけを念頭に、
下手だなあと思いつつもがむしゃらにやってきた。
当初56話くらいしか考えていなかった物語が、
光太郎という登場人物を得て、
108話まで拡大した。
煩悩の数の全108話というのはそのときに決めた。
それに合わせて他を調整した感じ。
でも最初からラスボスは決まっていたし、倒し方も正体も決まっていた。
だから最初に思いついたストーリーを、やっと形にできたと言えると思う。
来年から隔週で発表予定。
第8章全11話だけど、全部で14万字超えたので、
一本一本ががっつり来るので、隔週にしないと胸焼けすると判断。
お楽しみに。
次の山はなんとなく見えているが、
具体化はまだ難しいかも知れない。
とっかかりが見えたら動きだすと思う。
2023年11月28日
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