2023年12月03日

後ろ暗さとはこういうこと

TwitterのTLに流れてるのを見て、
突然CrazyTaxiを思い出した。
キレッキレだった時代のSEGAのゲーム。

とある街のタクシーの運転手になり、
ランダムエンカウントする客を、
ランダム目的地に運ぶゲーム。
持ち時間があり時々刻々と減っていくが、
想定より速くついたり、うまいこと車の間をすり抜けるとボーナスが入り、
持ち時間が増えて無限に遊べるタイプのゲーム。

注目すべきは、
逆走OK、芝生を突っ切って向こうの道路に行ってOK、
ジャンプ台で大ジャンプOK、
車は絶対壊れない、事故っても時間をロスするだけという、
無法世界の爆走タクシーであるところ。
CGポリゴンならではの無茶だ。
(GrandTheftAutoよりもかなり前に作られた、
アメリカン無茶苦茶ワールド)

想定してたのはサンフランシスコの坂みたいな街であるところから、
ダーティーハリーのようなメチャクチャカーチェイスだろう。


30分プレイ動画を見つけたので、
存分にめちゃくちゃさを楽しんで欲しい。

https://m.youtube.com/watch?v=qjIGkv0_dEM&pp=ygUKY3JhenkgdGF4aQ%3D%3D

BGMがまた最高のロックで、
同時期の同じくSEGAの名作ラリーゲーム、
Daytonaと同じボーカル、
同じチームと思われる。
OutRunからバーチャロンあたりまで、
この頃のSEGAの音楽センスはキレッキレで、
最高のノリノリだったよな。

ポリゴンCGならではの、
「死なない架空の世界」だからこそできる、
人を跳ねたり歩道に突っ込んででも、
芝生の公園をショートカットしても、
対向車の車をひっくり返しても、
下り坂やジャンプ台でで大ジャンプしてでも、
とにかく「まっすぐいく」というストレートな快感が、
全体の明るいアメリカンなノリに支えられて、
爽快な楽しさになっている。
車のボッコボコのクラッシュ音も最高。

つまりこれ、
ストレス解消ゲーなんだよなあ。


かつて90年代、
ゲーセンは不良の溜まり場だった。
それは、
「行き場所のないやつらが溜まってる」
ということで、
別に不良が好んでいたわけではない。
不良以外にも、
僕ら人生のやり方がわからない少年たちが、
「最先端の娯楽」で、
何かを夢見ていた。

だから、後ろ暗い方が面白かった。

この一歩外に出れば、
明るくて健全で、PTAと法律と建前が支配する、
親の世界があったけれど、
一歩この暗い箱に入ると、
最先端の世界と、
やっちゃいけないことに溢れていた。

ほんとにやっちゃいけないこと、
クスリとか酒とか暴力の世界に行くほど、
僕は度胸がなかったので、
幸いここまで生きてきたが、
その緩衝地帯として、
後ろ暗い世界がゲーセンにあったんだよね。


その後プリクラとか、
盛れるプリクラとか、
女たちがゲーセンに来て、
後ろ暗さはゲーセンから消えて、
今は風前の灯だな。


おそらく、
こうした「後ろ暗いこと」は、
小説にかつてあり、
ビリヤードやボーリングにあり、
バーにあり、
漫画にあり、
映画や深夜番組にあり、
ゲーセンにあり、
2chにあり、
ニコニコにあり、
YouTubeにあり、
と、時代を渡ってきたのだと考えられる。

今はどこにあるんかな。
分散して見つかりにくくなってるのかしら。
Twitterがそうした場でもあったけど、
細切れすぎてねえ。


おそらく、

「みんな、ここ後ろ暗いぞ!」と集まる
→みんなが集まってきて盛り上がる
→監視の目が入り、「明るく」なってゆく
 つまり偏見や差別の助長がなくなり、
 犯罪を抑止し、妄想の自由権が奪われる
→女子供が来ても大丈夫な世界が整備できました!
→つまらん、すたれる

の波が、常にどこかで起こっている。
セカンドワールドやVRワールドは、
最初から健全世界を目指したので、
誰も来ないまますたれたね。

TwitterはXになって健全になりかかっているが、
次の後ろ暗いことは発見されていない。
(もちろんどこかでポツポツと生まれてはいるだろう。
僕が出入りしている自作キーボード界隈は、
だいぶ成長してきた)


映画はどうだろう。
かつてなんでもありの見せ物小屋だった映画館
(「食人族」とかやってたよなあ)は、
PG12とかPG15とかR18とか、色々と棲み分けた。
しかし映画会社は制限されることを嫌い、
PGがつかない「健全な」ものを求めるようになる。

映画館興行での売り上げだけでなく、
ソフトの売り上げも重要で、
そこで制限がかかると厄介だからだ。
店頭販売(実店舗でも、ネットでも)で、
売り場をちゃんと分ける手間、
見つけられなくなる可能性などがあるからね。

テレビもそうだよね。
録画ができるようになってから、
後ろ暗いなんでもありは、
やり逃げが出来なくなり、
どんどん抗議にさらされ、
削られて、
いまや丸い石になってて、
何か失言でもあれば炎上して仕事を失うようになってしまった。
生放送やり逃げが、何度も擦られる慎重な物言いにしか、
なっていない。

Twitterが発達したのは、
ほぼやり逃げが可能なことも大きい。
昨日の発言は今日はTLが進んで証拠が追いきれないわけ。


CrazyTaxiに戻ると、
この当時のゲーセンのゲームは、
家庭用移植不可能な売り逃げだったね。
(まだスーファミで、PSやセガサターン以前の世界なので)
つまり、録画や保存のできないもので、
だからこそ輝いてたんだよな。

ミュージシャンや演劇界が、
ライブにこだわるのもよくわかる。
やり逃げは輝くのだ。

そもそも映画だってスクリーンだけのやり逃げだった。
ビデオは高価で、やり逃げを買うには1万円以上した。
それがサブスクになって、
やり逃げは復活するのかなあ。

保存できるものとやり逃げの攻防は、
今のところ、
保存=健全な明るいものの勝ちのようだ。

もっと後ろ暗くならないと、
おもしろくないと思うのさ。

笑顔で股間を開くアメリカンストリップは、
なんか詰まらない。
後学のため、ロスのそういうところへ行ったことがあるが、
二回行く気にはならない。

いつから「明るく」なったんだっけ。
都知事の「浄化作戦」からだっけ。

浄化したはずの歌舞伎町は、
今やトー横になってるだけで、
より悪化してるともいえる。

つまり、緩衝地帯があったときのほうが
(ミラノ座、ミラノボウル、ゲーセン、
シアターアプルなど)、
まだ健全だったのかもね。



やっちゃいけないことをするから、
おもしろいんだよな。

ひょっとすると「おもしろさ」とは、
「やっちゃいけないことを、
ギリギリやってないふりをする」
から生まれるのかも知れない。

このCrazyTaxiだって、
「人の死なない明るいバカ世界」
という建前でやってないふりをしている。
リアルじゃなくてゲームでしょと。
ほら、車も人もカクカクしてるじゃないと。
事故れば時間をロスするからマイナス評価して、
建前を確保しているのも秀逸だ。


だけど、そのマイナスに僕らは興味がある。


(追記)
もっと上手いプレイ動画をおすすめされてしまった。笑
どうぞ。最高。
https://m.youtube.com/watch?v=k12N7XZ5v8I
posted by おおおかとしひこ at 11:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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