2023年12月10日

【薙刀式】理不尽な運指

キーボード配列を変えようと単純に言ったとしても、
なかなか変えられるものではない。
なぜなら、
「一見ランダムに並べられている文字を、
理不尽に打たされる」と思い込むからだ。


それはqwertyの理不尽なランダム運指の要求の、
弊害だと思う。
それしか知らないなら、他もそうなんでしょ?と思うのは、
順当な連想だ。

実はこの配列は、
合理的に並べてあるんですよ、
全然ランダムじゃなくて必然の塊なんです、
という説明があれば、
理不尽な運指と思われないだろうか?


僕は、
飛鳥配列のよく使う連接の並びや連続シフト、
新下駄配列の統計的に出る連接を良運指にしてること、
新JIS、月配列の連接しにくいものを同手に集めて、
片手連続を避けて左右交互にすること、
薙刀式の日本語の本質的な言葉がアルペジオ、
などの方針は納得していて、
ランダムな並びではなく、
むしろ必然的であると考えている。

これは、
単なる一個一個の統計的場所(これを一次配置としよう)だけではなく、
キー同士の連接運指(2gramだから二次運指としよう)を、
合理的に考えているという点で、
「ぱっと見だけでは分からないこと」
だと考えられる。

こうした、
二次運指まで考えられている配列って、
他にあるのかしら?

一次配置、排他的配置、
機能キーや記号配置までは、
大体どんな配列でも考えているが、
二次配置まで考えている配列はあまりないような気がする。
(ローマ字配列の場合、
せいぜい二重母音、拗音、母音からの句読点と長音と撥音、
子音前の促音くらいかな。
カナ二連接を打ちやすくするローマ字配列は、
見たことがない。
かつてカタナ式ではそこまで意識してた)


三次配置は?
3gramを考慮したものではなく、
単語単位の繋ぎじゃないか、
と僕は考えている。

そこでようやく、
薙刀式の「繋ぎの語」という発想が意味を持つ。

助詞や助動詞は左手に多くアルペジオをなして、
活用語尾が右手に多くアルペジオをなして、
繋ぎになる言葉(代名詞、接続詞なども)を、
名詞よりも打ちやすくしている、
という考え方だ。
こうすることで、
話題の語(名詞など)を打つよりも繋ぎの語を打つ方が楽で速くなるため、
文章全体としては、
膠着語である日本語を書きやすくなる、
という理屈。

単語を繋ぐことが文章である、
という構造論理だ。

こんな風に運指と文章の関係を考えている配列は、
他にあまり見ない。
(あるのかも知れず、知らないだけかもなので、
あれば教えてください)


だから、
僕には薙刀式の文字配置は、
一次運指、二次運指、三次運指の重なり合った、
必然性の高いキーマップに見えるのだが、
それを知らない人にとっては、
ランダムに見えるかも知れない。

少なくとも、
qwertyローマ字は全て欠けている。
一次運指はヒートマップが不自然。
二次運指は多少のアルペジオと、逆に不自由な跳躍。
三次運指はどこにもなし。
だから理不尽運指だと思う。

飛鳥には三次運指がある気がする。
助詞を特別視していた形跡があるからだ。
薙刀式の繋ぎの語という発想は、
ここに影響を受けてる気がする。


合理的な運指とはなにか。
一次運指、二次運指、三次運指が合理的になっていること、
と言えると思う。
そうでないのは全部理不尽運指だ。



初めてキーボードを見た人は、
「どうしてランダムに文字が並んでいるの?」
と思う。
僕もそう思った。

「ランダムじゃないぜ、よく見てみな、
指を置く場所が決まってて、
人差し指、中指に何が当たるか見てみろ、
そしてそれらを繋いだらどんな言葉ができるか見ろ。
その『言葉』が大事な言葉だろ?」
といえるように、
配列を解説できるといいんじゃないかと、
ずっと考えている。

いつか飛鳥理論を全部整理したいんだけど、
ややこしすぎてよく分からん。
どの言葉をどの言葉より大事にしたかは、
沢山記録が残っているから、
それを読み解くしかないんだけど。


実際、
配列の設計は、
一次運指まではとても簡単で、
二次運指を考え始めると急に難易度があがる。
三次運指を考えようと思ったらすでに全然動かせない、
なんてことになる気がする。
三次運指から逆算でつくればいいのかな?
まだそれは誰もやってないだろうな。



少なくとも手書きの文字は、
手の動きが最小エネルギーになるように、
字形ができている。
それを続ければ続け字になる。
そんな風に、運指エネルギーを最小にしたい。
そうすれば、
理不尽でない、必然の、運指になるはず。

それが論理配列だけで実現するのか、
物理配列こみ(キーボードの立体まで含めて)なのかも、
まだ分かってないんだけど、
少なくとも僕は自作キーボードで、
後者にも片足突っ込んでる感じ。

自作キーボード側からはまだ論理配列の提案は少なく、
物理配列と込みで考えてる人はあまりいない。
プログラミング記号はわりと練られてきてるけど、
文字配列は手がつけられてない感じだね。


キーボードはなぜ理不尽にランダムに文字が並んでいるの?
人類が愚かで引き返せなかったからだ。
かしこい人は、勝手に引き返して勝手に得をしている。
その感覚の差異を伝えるのはかなり難しい。
内部の感覚だからね。
少なくとも理不尽な動きをしてないぜ、
は動画で示せると思うよ。
posted by おおおかとしひこ at 09:07| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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