見事な伏線回収!とかよくあるけど、
そもそも回収されない伏線などはない。
というか、あってはならない。
ものありげなことがあれば、
それは必ず回収されないと、
出来たシナリオとは言えず欠陥シナリオだ。
伏線は、必ずしも、
「このあと使いそうだなあ」と思わせぶりなものだけを指すわけではない。
あるいは、
前半にさりげなく入っていたものが、
ラスト近くになって、
「それ伏線だったのかよ!」と驚くべきものであるものだけを指すわけでもない。
単純に、
「それがいきなり来ると唐突なので、
その前に前振りしておく」
というだけのものを言う。
急に雨が降ってきたら唐突だから、
天気予報で雨が降るよと言わせるとか、
曇り空を気にしている様子をつくるとか、
玄関を出るときに傘を持ってるとか、
そのようなことでも伏線になるわけだ。
つまり、
唐突でない、
流れるようなストーリー運びがあるならば、
伏線がうまく機能している可能性が高い。
自然すぎて気づいていないだけのことだろう。
急に告白するのは変だから、
ちょっと前に視線を合わせるようにするとか、
それだけでもよい。
逆に、その後のことを考えて、
そうしたちょっとした芝居で伏線を巧みに表現する役者もいる。
(シナリオに書いていなくても)
空気がなんとなくそっちへ行きやすいようにするわけだね。
これも伏線のひとつである。
だからそもそも伏線とは、
時間軸を流れさせるようにする道具だてだと思うとよい。
なので、回収されない伏線というのは存在しないのだ。
いわば係り結びのようなものだからだ。
序盤でそれが伏線とは思わずに、
ラスト近くで回収される、
というのは、
そうした「ふつうの」伏線と違うために、
目立つ、驚くだけのことである。
目立ったものしか人は記憶できないからね。
しかし、
丹念にシナリオを伏線だけに注目して分析していくと、
いろんな地味なものを見つけることが出来るはずだ。
前振りとその結実と考えれば、
伏線と回収などのような、
大それたものではないことが分かるだろう。
ところで、
冒頭に出てきたものをラストに持ってくると、
お話が閉じて、終わりやすい、
というテクニックがある。
これも伏線と回収の関係だ。
最初これから始まって、
最後にこれに戻ってきて、おしまい、
という形はわかりやすいからだ。
ブックエンドテクニックのひとつに、
冒頭と同じ場面だがひとつだけ違うことを描き、
その変化こそが主人公の成長であり、
テーマである、
のように描くことが出来る。
冒頭とエンドで同じシーンでブックエンドのようにはさむことからこの名前がついている。
最初のシーンというのはたいてい印象的だから、
そこに戻ってきたということは、
何か大事なことを言おうとしている、
と構えやすいからね。
見事な伏線回収!とかよくあるけど、
そもそも回収されない伏線などはない。
というか、あってはならない。
はい、これで冒頭に戻ってきたので、
話はおしまいだ。
冒頭の文章は伏線で、今回収したわけだ。
回収されない伏線は、
投げっぱなしになる。
投げっぱなしでも気づかれないこともある。
だからきっちり刈り取ると、
ちゃんと話をしてもらった、
という感覚になるものだ。
そしてそのラストになることをあらかじめ逆算して、
冒頭に仕込むのである。
ラスト付近に、冒頭を繰り返してみるとよい。
そもそも狙っていたラストにたどり着いているかを、
確認できる。
2024年02月01日
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