2024年02月06日

人生で一番大事なことは何か

と問われたら、どう答える?
難しい問いだ。

でも難しく考えることはない。
おそらくだけど、
毎回違う答えになる気がする。
実は、物語はそれに答えている。


どういうことかというと、
人間が時々で大事にするものは変わりえる、
ということだ。
気分で毎時間変わるかもしれないし、
明日は考えることが変わってるかも知れない。
女の気分なんて分単位で変わる。

だから、色んなタイプの物語がある、
と考えるとよい。

もし大事なことがたったひとつで、
ずっとぶれないならば、
たったひとつの物語だけを大事に持っていればいいだろう。
だけど人生で一番大事なものは、
時々で変わりうるから、
その都度、大事なものを表現した物語を「消費する」、
ということだ。
好みは都度都度変わるから、
色んなものを置いといて対処しようということだ。

本棚に色んな本がある理由は、
レンタルビデオ屋に色んな映画がある理由は、
色んな人々の好みに合わせているわけではない。
それもあるけど、
「一人の中で見たいものは都度変わる」のである。
占い師を一人頼るのではなく、
色んな占い師に聞きたい心理かな。


今日はコメディが見たいと思うときもあれば、
急にまじめな戦争ものが見たくなるときもあろう。
流行りのスポーツものがあればそれも見るかもしれない。
人のコンディションは毎日変わるわけ。
だから、いま一番何を大事にしているかも、
どんどん変わっていく。

フィクションというのは消費されるためにある。
だから一個じゃない。
沢山たくさんあって、
都度気分によって呼ばれるだけの話だ。
飯屋と同じ。売春婦と同じ。


だから、
「あなたが最も大事にする価値観、世界観」
を選びに選んで表現する必要はない。
それも明日になったら変わってるよ。
「ある時点でやろうと思ったこと」を完成させるだけでいいよ。
そして別のときに、別のことをやろうと思って、
それを完成させればいいのさ。

あなたが書くものは、
あなた自身と関係なくてよいし、
関係のないもののほうが上手く書ける。
だから、
あなたの人生で最も大事なものを込める必要はない。
それをやると、明日気分が変わったときに、
思い入れがなくなって辞めてしまう。
そうじゃなくて、
「どういう気分のときにも、まあそれは書いておこうか」
というものを書くべき、
という話をしているわけだ。

あなた自身が明日違う自分になっている。
気分とはそういうものだ。
消費者も同じで、作者もそうなのだ。

だから、
作品というのは無限にたくさんある。
posted by おおおかとしひこ at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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