2024年02月09日

旅のガイド

旅行のガイドになってみよう。


たとえば「北海道旅行」を考えよう。
何泊かするとして、
どんな旅行をする?

雪景色は見たいよね。
ラーメンは絶対。
ジンギスカンもいいよな。
ホタテとかカニみたいな海鮮もいい。
スキーしたい人もいるだろう。
函館の夜景も見たいね。
男子はススキノに行きたいだろう。
流氷や樹氷などの景色を見たい人もいるかもだ。

網走刑務所には…まあ行かなくてもいいか。
でも北の最果てのスナックとかいいかもね。

これらは「そこにしかないもの」
のワンセットである。

同様に書き出してみなさい。

ニューヨーク旅行。
東京旅行。
京都旅行。
パリ旅行。
上海旅行。
エジプト旅行。

まあなんでもいいよ。
すでに知ってる有名な何かを見に行くか、
あんまり知らないけど、
それは面白そう、そこにしか無さそう、
を見に行きたいよね。

東京でも見れるゲーセンには別に行きたくないが、
北海道にいる最強のザンギ使いがいるなら、
是非行って対戦したくなる。
これはかなり趣味の範囲だね。
もっと「一般的なヒキ」を考えよう。

つまり人は、
「今身近にあるものから離れる」
ために旅行に行く。

たとえば旅行先でセブンイレブンにどうしても行きたいわけではない。
なんか足りなくなったら買うだろうが、
旅行する意味の中には入ってない。

そこへ行くことの意味は、
そこにしかないことを見るためにある。

北極旅行に行くのは、
オーロラを見るためだよね。
その目的が果たされない、
たとえば三日間の滞在で嵐になり、
一度も見られなかったら、
また来年見にくるくらいのことをするかもね。

それくらい、「見たい」という感情は強いものだ。


さて、
あなたの物語も、
旅行であるべきだ、
という話をしようとして前振りをした。

つまり、
あなたの物語には、
日常には存在しない、
見るべきものがあり、
それらのワンセットは、そこにしかないものだ。

当然、いつもの日常っぽいものが混ざってもいいが、
それは旅行先で立ち寄るコンビニくらいの感覚で、
メインの目的ではないよね。

さて、
どんな非日常の旅行?

あなたはその旅行のガイドさんである。
危ないですよ、しぶきがかかるからちょっと下がって、
と危険のないように制しながら、
出来るだけ観光名物の近くまで連れて行くことだ。

さあ、
ガイドブックを書こう。
「○○○○(タイトル)旅行ガイドブック」だ。

何より名物、これを見ないと帰れないぜ、
はなに?
そこに至るまでの面白ルートは?
どういうワンセットの、二泊三日?
なんなら五泊六日?

なんでもいいから、
それを旅行ガイドブックだと思うのさ。
ネタバレの重要なところは隠したとしても、
「こんな旅行はどうですか?」
になってるだろうか。

さあ、
そのツアーは人気かな?

マニアックな旅行で、すごいやつでもいいよ。
中国旅行で深圳にいき、
自作キーボードの部品を買いまくるツアーには、
僕は行きたいしね。

でも売れ線のツアーはなんだろな、
と考えるのもいいぜ。

女子どもが殺到する、
順番待ちのツアーは?
男子どもが群がる、
立ち見でもいいよというツアーは?

映画を立ち見したことある?
なんでそれほどまでに見たかった?

何がガイドブックに書いてあった?

そういうものをつくるのだ。


あなたの物語のガイドブックを考えろ。

それが北海道ラーメンジンギスカンツアーよりも魅力的なら、
東京ディズニーランド&浅草クルージング&東京タワー&築地寿司コースよりも魅力的なら、
人々が殺到するね。

それを「コンセプト」という。
映画のポスターはコンセプトを示すべきだ。

それが有名芸能人のブロッコリーだから詰まらないのだ。
北海道雪景色とラーメンとジンギスカンのポスターよりも、
魅力的なガイドブックの表紙は何?
posted by おおおかとしひこ at 03:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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