2024年02月18日

オチをつけられない人は話を書けない

ストーリーが書ける人の必要条件はなんだろう。
僕は、最低限「オチをつけられる能力」だと考える。


僕が短編でよいので、
たくさん話を書け、100本書け、
などと言っている理由はこれだ。
オチをつけ慣れろ、ということを言いたいのだ。

どんなに面白そうなシチュエーションを思いついても、
どんなに魅力的なキャラクターを思いついても、
どんなにセリフがうまくても、
どんなに展開や構成が見事でも、
ストーリーを書いたことにならない。

オチを毎回確実に落とせる人が、
ストーリーを書ける人のことである。

面白げな冒頭も、
見事で意外な展開も、
面白げな世界観も、
すべてオチがつかなれけば、存在しないのも同然だ。

逆にそれらが生きてくるのは、
オチがあり、完成したストーリーになっているからだ。


昨日秋葉のファミレスにいたのだが、
BL作家同士がしゃべってて、
オチがまったく出てこない、という悩みを話していた。

それが完成しないと書いたことにならない、
という意識はあるようで、
でもオチが出てこないから書けない、
と嘆いている。
相談に乗ってもいいのだが、
BLのプロットはやったことがないので協力出来ないかもしれない……笑


逆に僕は、
「オチが出てこない」という感覚が分らない。
なぜオチも決めずに走り出したのかが分らない。
走り出す前に、なぜゴールを決めていないのかが分らない。
あるいは、ゴールが決まらないから走り出せない、
という悩みかもしれない。
(詳しく聞く気はしないが)

むしろ、オチなんて最初に決めるものだ。
あるシチュエーションを考えて、
解決する場面を次に考えて、
振りとオチの関係をまずつくるところからだろうに。


生物の発生は、
まず細胞が分裂して膜をつくり、
それがくるっとまるまって端がくっついて円筒形になり、
それが伸びて、腸になるらしい。
一方は口で一方は肛門だと。
つまり、口と肛門は、セットでペアで誕生する。
そしてそれは生命の発生のかなり初期から存在する。

このように、
導入とオチは振りと落ちという関係性で、
ストーリー発生初期の頃から存在する。

逆に、
それがないのにストーリーだと思って作り始めたものは、
ストーリーじゃないものをストーリーだと勘違いした、
「間違いのスタート」だった可能性が高い。


たとえば、
キャラクターと世界観だけつくって、
事件を発生させたはいいが、
オチは決まっていないとか。
たとえば、
魅力的な導入をつくったが、
キャラクターはやりながら作るしかなく、
だからいまいち魅力もなく、
ストーリーの展開もオチも決まっていないとか。
そんな感じ。

そういう作り方では、たぶん一生ストーリーをつくれないと思う。
たまたまうまいこと出来る時もあるが、
それはたまたまだ。
偶然を引いたにすぎない。

我々ストーリーテラーは、
たまたまに頼らずに、
技術的に毎回出来るように出来るべきだ、
という話である。

部分から発生して失敗するのではなく、
導入とオチは両方同時に、最初にできなければならない。

そのあとに、キャラクター、エピソード、
事件や解決の詳細、世界観、各種設定、
サブプロット、
などの順番(多少異同があろう)でつくっていくものだ。

細胞の発生の順番がある、ということだ。

もちろん、
色んなディテールによってもっと良いオチを思いつくこともあり、
それをオチにしてもよい。
最初に決めたものを絶対的に固守する必要はない。

しかしそれもオチAからオチBに変わっただけであり、
オチが思いつかないというわけではない。
選べばいいだけだからね。
オチが色々あり得て迷うー、なら分るが、
それは思いつかないこととは関係ない。
ベタなオチしかないからつまらない、はあるかもしれない。
それで行けると思った過去の自分の甘さを恨むことだ。



こういう試行錯誤をするのに、
短編をたくさん書くことはとても練習になる。
オチと全体の関係を考えやすいからだ。

オチはつまり、最初にできている。
オチも思いつかないで書き始めるやつはいない。
それくらい、基盤にいるものだ。

オチを何か付け足しのようなものだと考えている、
「オチが思いつかない」なんて、
要素を一個考えるレベルに落としているかもしれない。
気の利いたやつを何か思いつけばいいんでしょ、
的な。

それでは一生オチからつくることは出来ないと思う。
オチは全体の構造の下にいて、
オチが変れば全体が変ってしまう、
ということに気付くことだ。

オチは行く末の未来ではなくて、すでに決まった過去なんだよな。
だからオチとは既定路線なんだよ。
既定路線だと気づかれないように書かれているのが、
うまいオチなんだな。
posted by おおおかとしひこ at 07:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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