2024年01月03日

【薙刀式】デジタル身体感覚の拡張

kouyさん、最近までガラケーだったのか。
ガラケー&Win使用者が、スマホ生活に慣れていくまでが興味深い。
https://y-koutarou.hatenablog.com/entry/2023/12/31/174446

というのも、
これは「あるスタイルからあるスタイルへの移行」時に必ず起こる、
「できるようになることの喜び」と、
「できなくなることへの悲しみ、諦め」の過程だからだ。


旧スタイルで出来ることと同じことを発見すると、
喜びが増える。
スマホでも○○ができるんだ、やったーというやつ。

しかし、旧スタイルで出来たことができなくなると、
出来ないのか、しょぼん、しかし慣れるしかないかー、
という悲しみと諦めがやってくる。

僕はこのブログのスタート前からスマホなので、
もうガラケーのそうした感覚は忘れてしまったので、
改めて見て新鮮だった。


こうした感覚は、
論理配列変更や、物理配列変更(自作キーボードなど」で、
起こることはよく分かっていたつもりだったが、
デバイスの変更でそれも起こることを、
改めて確認した。

そういえば、
マウスで人差し指を使いまくって疲れた時、
急遽中指トラックボールを買ってしのいだが、
その時の操作感覚の移行もちょっと面白かった。
スクロールリングは絶対いるよなーと、
ケンジントンのOrbitにした
(名機Slim Bladeだと持ち運びが面倒。出張仕事だったので)
ので、その操作感にも慣れるのが興味深かったなー。
つまり、
「旧スタイル(この場合、マウス内にスクロールホイールが欲しい)
を固持したい感覚」が、
必ずあるというわけ。


Alt+Tabや、スクロールや、ブラウザの「すすむ」、
操作のアンドゥ、ファイル名をつけるなど、
kouyさんの「拡張肉体感覚」というのが、
言語化されてて面白いなと思った。

そう、デジタル操作とは、
「拡張された肉体の感覚」なんだよね。

だから、それが失われるのは手足をもがれる感覚があるし、
新しい手足がつくと、びくびくしながら慣れていくわけ。

身体拡張理論はVRなどで盛んに議論されていたが、
実のところガラケーからスマホへの移行でも、
同じことが起こる。


これはWin→Macに行っても起こるね。
ctrlとcommandの差でまずイラッと来るし、
Dock(画面下にはみ出すと出てくるタスクバーみたいなやつ)
の操作でもイラッと来る。
でもその身体感覚に慣れると、
Winが相当イライラするんだよな。
Macの方が合理的動線だからね。

Winの場合はキーボードメインの操作系だが、
Macはマウスメインの身体感覚になる。
その差異を埋めるのが結構しんどいと思うな。


あるいは、
いまだに自作キーボード入門者は、
「ファンクションキーがない」
「数字キーがない」
「日本語配列じゃない」ことに、
異常に怯えている。

その動線の無駄を廃して、
新しい合理的動線をつくることが自作キーボードだ、
という身体感覚がないから、
かつての手足を失う恐怖や不満やイライラしかないんだよね。



これは、
qwertyからなぜ人は移行しないか、
ということと本質的には同じだ。
qwertyという身体拡張感覚を、
捨てるのがこわいのだ。

そんなことを改めてこの記事から確認できた。
デジタル操作も、
自転車のような身体感覚の拡張なんだよな。


ちなみに、
iPhoneから指紋認証が消えて、
少し遅い顔認証になったせいで、
いまだに指紋認証の旧機種を使ってる人結構いる。
川尻こだまが漫画で描いてたけど、
ポケットで指紋認証して出した瞬間に使えるさまを、
「抜拳」と呼んでて笑った。
武術並みの速度で俺たちはスマホを使いたい。
顔認証はそれよりだいぶ遅い。
暗証番号入力なんて30発くらい顔を殴る暇があるぜ。
それは、
身体感覚なんだよな。


あとAndroidなので操作感は不明だけど、
アイコン、または空白地帯で、
長押しで右クリック的な操作があったり、
ダブルタップで何か操作が割り当てられてることもある。
あるいは、空白地帯でスワイプ(ドラッグ)するのに、
何か当たってることがある。
タップだけでなく、
スワイプ、ダブルタップ、長押し、
それをアイコンと、アイコンのない空白のところ、
で試すと何か出てくるやも。

そんな基本的な「身体感覚」を、
誰も教えてくれないのは結構不親切よね。

あとiPhoneだと素早く本体を2回横にふると、
アンドゥが起動する。
ブラウザを一個誤操作で落としちゃったときとか、
結構使ってる。
そんな操作があるなんて分かるわけないやん。




「移行」とは、
身体感覚の変更である。

アナログの肉体の場合衰えとか怪我があるが、
デジタルの場合の身体感覚は、
永遠の感覚なので厄介だよね。

「前のデジタル身体感覚の○○がなぜ使えないの?」は、
とてもストレスだろう。

たとえばスト2でいうと、
僕は春麗使いで空中投げが得意だったんだけど、
スト3以降の春麗の空中投げは、
試合展開を変えるほどのものではなくなったのが、
とても嫌だった。
だから別キャラに変えた。

あるいは、
僕はバーチャロンではアファームドを使っていたが、
回り込みトンファーや無敵トンファーダッシュや、
センターウエポンキャンセルからの1フレは、
続編以降ではなくなってしまったため、
その身体感覚の喪失に僕は耐えられず、
続編以降に夢中になれなかった。


そうしたことが、
デバイスの移行に生じる、
ということについて、
みんなまだ言語化できてないのかもしれない。

身体拡張とかVRの人は、
拡張ばかりやってて、
喪失や移行について研究してないのかなー。
posted by おおおかとしひこ at 12:12| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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