というべきものを考えたので。
三幕構成に至る前の妄想段階として、使うイメージ。
全体を4つに割る。
それは一幕、二幕前半、二幕後半、三幕だ。
何も新しくはない。
三幕構成理論の、30分ずつを区切ったものにすぎない。
それでも3というより4に区切っているところが、
まあ新味があるかもしれない。
これはつまり、ストーリーを構想するにあたって、
部分と全体を行き来して、
全体をつくる為の方法論である。
まず最初に、一幕を考える。
どういう始まりか、どういう事件なのか、
そしてどういう関わり方で、
主人公はこれの解決に乗り出すのか。
ここでセンタークエスチョンが決まるとさらによい。
キャラクターの素性、目的、背景、
キャラ設定をすることもあるだろう。
次にするべきことは、
クライマックスの三幕を考えることだ。
つまり、ゴールを先につくるわけ。
どういうビッグビジュアルになるのか、
どういうバトルがあるのか、
何を競って戦うのか、
勝利条件は何か、その最大の障害(相手)は何か、
などを妄想する。
やったー、勝ったー、というのがゴールイメージになるだろうが、
それはどういう場面で、
どういうことをして勝つのか、
ということを考える。
もちろんこれはのちのち変わることもあるだろうが、
少なくとも最初にこれを考えておくことは有効だ。
なぜなら、
それがセンタークエスチョンになるからだ。
一幕は、これをゴールとして始まるわけだ。
このとき、テーマがおぼろげに出てくるかもしれないが、
まだぼんやりとした妄想だから、
そこまで明確になっていないかもしれない。
まあなんにせよ、スタートとゴールは決めておくわけ。
次に、間の2と3、二幕をふたつに分けて考える。
非日常世界とは何か、
主人公の冒険の舞台を妄想するわけだね。
そこでやってくる具体的な敵や障害を考えてもよいだろう。
(シド・フィールドは障害は4つ、
と規定したけれど、別に何個あってもよいよ。
足りなくてもよい。どうせあとで整理できる)
たぶん、いろいろ考えても2フェーズを埋めるだけのネタをつくることは難しい。
なので、
二幕前半を快進撃、
二幕後半をつまづきからの再逆転、
のように大文脈を想定して考える。
快進撃に必要なものは何か、
どういう障害をほいほい超えていくのか、
という大きな文脈を考えて、それを第2フェーズとして、
ミッドポイントでかりそめの敗北をして、
そこからどん底におちて、復活するためのフェーズ3を考えるとよい。
どん底とはどういう時間帯か、
どこでどういう敗北をするのか、
そこからどういう大逆転をしてクライマックスへ行くのか、
なんてことを考えると、大体埋まるのではないだろうか。
これは、
埋めるためにある。
フェーズ1234が、
全部そろっているか?
ということを確認するためにある。
たぶん、全部出来ていないだろう。
でもなんとなく、全体がひとつのストーリーの形になりつつあることを、
確認するための妄想のメソッドだ。
大体できたら、
1フェーズごとにA4白紙一枚をかけて、
そこで妄想を爆発させてメモをとろう。
登場人物はしゃべるかもしれないし、ビジュアルのメモが出来るかもしれないし、
ストーリー展開のアイデアや、
対決のアイデアが出来ることもあるだろう。
なんでもいい。
流れをつくることになるかも知れないし、
散発的にサブプロットを思いつくこともあるだろう。
それでよい。
まだプロットにまとめる段階じゃない、
これは妄想をつくる段階である。
これを4枚分やろう。
どの4枚も、
同じ展開にはならない。
大きな文脈がちがうからだ。
1は事件が起こり、日常の主人公が巻き込まれて、
ついに解決に乗り出す流れだし、
2は非日常の文脈になって、快進撃をする文脈だし、
話の広がるサブプロットが生まれるし、
3は失敗や敗北があって、どん底までいき、
どうにかして復活する文脈で、
サブプロットもどんどん絡んできて、
4は何かをかけた最高のクライマックスの文脈で、
最初に決めたゴールイメージにむけて、
ずんずんと進んで紆余曲折する文脈である。
それらを妄想しているうちに、
主人公だけでなく、
別の登場人物のサブプロットが形をなしてくるだろう。
ただの一本線じゃなくて、複数のラインが走り出すと思う。
敵の話でもいいし、味方の話でもどちらでもよい。
それらがメインストーリーに対して、
和音のように響くようになるに違いない。
これはまだ書きなぐりでよい。
どうせ思いついてまた変わることになる。
どんどん書き直すために、
メモとして残しておく段階だ。
設定は時々刻々と変わると思う。
これが必要になるから、こういう設定にしておくか、とか、
ご都合を処理するための前振りを思いつくこともあるだろう。
キャラクターが生き生きしてきたら、
適当にセリフをいわせてもよい。
4つの文脈では、言うことも変わって来るだろう。
あるひとつのフェーズでしか生き生きしないのならば、
別のフェーズでこいつは何をしているのか、
妄想することだ。
どこのフェーズでも生き生きし始めたら、
だいぶストーリー全体が見えてきた証拠だ。
妄想というのは、たいていごく短い間しかでてこない。
下手したら一場面が限界のときがある。
だから、
ストーリーとしてつながるように、
4つに割っておいて、それぞれの文脈で出てきやすいようにする、
というのがこの4フェーズメソッドのやり方であるといってもよい。
で、足りないところはどこかな?
と、4つを比較できるのが利点だ。
4枚の紙に、同等にアイデアが出てきたら、
次の段階、頭から最後までプロットを一気書きする、
に進むといいだろうね。
あるいは、ブレイクシュナイダーのカード法、
10枚のカードに何かを書いて、
40枚で一本になるように、
足し引きしてもいいだろう。
あるいは、
Aという流れだけ、Bという流れだけがあり、
間のCが抜けていることがよくある。
だからそこを考えて、
Aの終わりからBの始まりに繋ぐにはどうすればいいか、
という妄想をすることもやると良い。
そのうち全体がつながりをもち、
うねり始めるはずだ。
逆にその段階がないと、
関連のある流れとしてのストーリーは難しいし、
どこかでブツ切れになってしまうだろうね。
センタークエスチョンの解決まで、
辿り着けるかな?
主人公にそこまでの動機がまだないこともある。
じゃあ、
なんでそこまでゴールしたいんだい?
と問うて、それにふさわしいエピソードや設定を思いつくことだね。
他の登場人物についても、同様だと思う。
こんな風にして、
まだ断片的なアイデアたちを、
一本のストーリーに仕立て上げるための妄想をたくましくする段階が、
この4フェーズメソッドだ。
断片的なアイデアというのは、
各フェーズで偏っていることがある。
たとえばフェーズ1と2は一杯妄想がはかどるが、
3が出来ない、なんてこともある。
1と4はいろいろ出てくるが、23がでてこない、
なんてこともよくある。
ストーリーの質や作者の資質にもよるので、
何がどうとは何もいえないが、
出来たストーリーというのは、
どのフェーズも出来がいいものだ。
だから、はじまり、途中、途中、おわり、
という4つのフェーズにおいて、
どういう妄想やアイデアがあると面白いだろう?
と4枚の紙で別々に考えると、
妄想が発達しやすいね。
別のフェーズで思いついたものを、
別のところにもってきてもいいよ。
そこが足りなくなったり、
有り余ったものが削られてちょうどよくなるかもしれない。
全体を見たときに、どこか手薄なところがないように、
アイデアの群れを調整することもしてもよい。
とにかく、
どの段階でも常にアイデアがあるようになっているなあ、
全体はこういう流れだなあ、
というのが出来るだろう。
そうしてはじめて、
テーマやこのストーリーになんの意味があるのか、
考えてもよい。
もちろん、途中で決まることもあるかもしれない。
だけど、
大体全部が出そろって、このストーリーになんの意味があるのだろう、
と強く思うものだからね。
そして、それがなんとなく出来たら、
それに合うように、
また全体を整えなおしても良い。
設定を変えてしまったり、
順番や立場を変えてしまってもよい。
まだプロット前の、
妄想段階、ということを忘れてはならない。
もちろん、
こうしたことは頭の中でやるのが、
一番可塑性が高く、いろいろ変更しやすい。
しかし、
実の所、4つのフェーズを等価に妄想できてないことが多い。
なんだ、序盤しか考えてなかったわ、とか、
クライマックスは豊かに考えていたが、途中が全然だった、とかね。
妄想はどの段階でもするべきであり、
そのアイデアが足りていないところは、
いずれ執筆で詰まるに違いないからね。
そもそもそのゴールでいいのか、とか、
全体が見え始めてきたら、
またゴールを再設定することだって全然ある。
クライマックスを全然描き直しても良い。
そういう可塑性の高い段階での、
やり方がこれだ。
だから、メモは何枚書いてもいいし、
書き潰しても構わない。
また新たな白紙を出して、
整理しなおしてもよい。
なんとなく、全体が見えてくるまで、
これを繰り返していこう。
4枚のメモをつくるために、
100枚使うかもしれないし、10枚くらいで済むかもしれない。
それはストーリーによる、としかいいようがない。
なんか妄想はある、しかしまだもわもわして、
形になっていない、という状態のときに、
こうした4フェーズメソッドは有効だ。
なんだ、ただの設定だけしか考えていなくて、
それに反応したドラマが足りていない、とか、
テーマがあやふやだから、
展開がそれに応じていないなあ、とか、
どんどんぼんやりしたものに突っ込みが入れられるはずだ。
そうしてよりイメージの詳細を詰めていくのに、
この方法論は使える。
そして、
全体が見えたときに、
「これって面白いのかなあ」という客観性はとても重要。
面白くないなら、面白くしてみせようホトトギスなわけだ。
そのためのアイデアが出てきたら、また妄想4枚を書き直してもいいくらい。
書き足してもいい。やり方は自由。
そんな風に自由にストーリーを泳がせるための、
これは方法論だ。
いきなりプロットを書くと、
どうしても不備が出てきて、
そこで文章テクニックでごまかしてしまうことがよくある。
だから、その漏れをチェックするためにも、
こうした段階を踏んでいくことは、
とても重要な気がするんだよなあ。
2024年02月24日
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