2024年02月25日

「行ける」「ダメか」と主人公に言わせてみるテクニック

ひとつのテクニック、メモ。


展開部でもどこでもいいんだけど、
状況有利になってきて、
主人公の活躍が功を奏して、
成功しそうになるとしよう。
そのときに、わざと主人公に「行ける」と言わせてみる。

またはその逆で、
どうしようもない状況不利で、
主人公たちの行動が失敗して、
もうだめだという最悪の状況下で、
「ダメか」と言わせてみよう。

それは周囲の状況で明らかなので、
本来言う必要はない。
だからあとで削る予定でもよい。
でもとりあえず、「行ける」「ダメか」と、
わざと言わせてみるとよい。

そうすると、何が起こるかというと、
「行ける」のあとには急転直下、大失敗。
「ダメか」のあとには急転直下、伏線が効いてて大逆転。
だろう、ということだ。

つまり、
「行ける」で油断させるとよい。
それから最悪なことが起こると、「ああ」って思うじゃない?
それが展開の妙ということさ。

同様に、
「ダメか」は諦めて死の覚悟をすることだ。
これまでやって来たことが灰燼に化すその瞬間、
大逆転の潮目がやってくる。
もちろん、単なるラッキーだけじゃなくて、
これまで主人公たちがやって来たことに答えが出て、
そういう展開にならなければご都合主義だよね。

これで、上から下、下から上、
という最大の起伏が、つくれるというわけだ。


もちろん、
「行ける」とセリフで言って無理があるような、
中途半端な成功のムードではだめだ。
これはいけるな、と誰もが思うような、
順風満帆の展開である必要がある。
だからこそ主人公は自然に「行ける」とつぶやくのだ。

ここから転落することが起伏の面白さだから、
行けると思わせるだけの、
最大にラッキーを描くといいだろう。
そして油断して、最悪に転落して、
起から伏へ行くのだ。

逆も同様だ。
伏線を忘れさせるほど前のやつをあとで使うとして、
ちょっと前の伏線を使ってもなおダメ、
みたいな絶体絶命を描かないかぎり、
「ダメだ」とは言わないだろう。
そうなって初めて、大逆転が面白くなるわけだからね。


つまり、
「行ける」「ダメだ」と主人公に呟かせることは、
起伏をきちんとつくる方法論だと思うとよい。

起から伏へ、伏から起へ、
というように、上下をきちんとつくっているか、
ということのチェックに使える、
というわけだ。

だから行き過ぎた調子よさを描いて、
「行ける」と言わせればいいし、
まったく何もできない最悪の最悪で、
「ダメだ」と言わせるべきだろう。

そう言わせたくなるように、
状況を追い込め、というのがこのメソッドの目的だ。


で、ちゃんとそれが出来たら、
そのご都合セリフ、説明ゼリフを、
カットしていいよ。
そうしたら、
最高のムードからの大転落、
最悪からの逆転、
に流れがなるだけの話さ。

意図的にそれをやっていると、
起伏がいまどうなっているか、
意識することが出来るぜ、
ということである。


調子のいい時ほど、
なんらかのアクシデントが起こるよね。
最悪の時ほど、以前にやったことがいま効いてくる。
そういう風に、
起伏をより激しくつくっていくことだ。
posted by おおおかとしひこ at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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