2024年03月12日

そのゴールは何を意味しているか

ストーリーの起点、問題をつくったら、
ゴール、解決をつくるべきだ。
で、それに何の意味があるの?


金を盗まれた→取り戻せた
(盗まれないようにしよう。油断大敵など)

宇宙人が侵略してきた→人類として団結して撃退
(普段いがみあっている人たちにも絆はできる、など)

悪いやつが天下を取った→倒した
(悪いやつの天下は続かない、など)

油断していたら何かを盗まれた→よりひどいことになりバッドエンド
(この世界はひどい、など)

などなど、いろいろなことが考えられる。


あなたのストーリーの問題は何か。
そしてゴールは何か。

そのゴールテープを切ったときに、
どういう意味が浮かびあがる(暗示される)のか。


明示してはいけない。
暗示だけで伝わるような組になっているかのチェックだからだ。

こういう始まりをした物語が、
こういう終わり方をするならば、
ふつうこういう意味を示すよな、
というものにしよう。
そこは客観的で、誰もが思うことであるべきだ。
だから明示しなくてもいいわけ。
誰もがそう思わないペアならば、
そのストーリーはテーマを欠いているのではないか?

これはストーリーの第一の客観性だと言える。

それは面白そうな導入、問題か?
変った問題、エキセントリックな問題で引く手もあれば、
ポピュラーで誰にでも当てはまるからこそ、
引かれるものもあるだろう。

それがゴールすることで、
これは面白かった意味のある物語になっているか?
という客観性をチェックするためのものである。

「面白い」は笑えるとか楽しいだけではない。
感銘を受けるとか泣くとか、
興味深いとか、
理不尽さに怒りを覚えるとか絶望するとか、
明日も生きていこうとか、
何かしらの感情を動かすことをいう。

「これはそんなに面白くないに違いない」と、
才能を嘆く場合もあろう。
「これは面白そうだ」と自画自賛したものが、
我が子がかわいいと判断してしまうだけの、
判断を誤っている状態である可能性もある。

それらを排除できるかを考えたまえ。

たいてい主観の今は判断できないから、
いったん冷ますとよい。

自分はどうしてもそれを書きたいのか?
という自分軸ではなくて、
「そういうものがあったらみんな欲しがるか?」
という他人軸、観客軸で見直せるまで、
冷ましておくといいだろう。

スタートとゴールだけでそれが分らないものは、
よれている可能性がある。

シーンとしてビジュアルで浮ぶことも多いだろう。
だが追求しているのは意味だ。
それを見て何か意味があるの?と自問してみよう。


たとえば。
スポーツものだとしよう。
まあラストは勝利だよね。
じゃあ、その勝ちに何の意味があるか?なんだよ。

ただ大会に勝利した、
ただ試合に勝った、だけでは面白くない。
それが人間のどんな価値が素晴らしいと主張するのかとか、
その勝利がないと失うものは何で、
それが失われないことで得られる何かが価値だったりする。

それはなに? 
それは、問題とゴールで決まる。

スポーツもので定番の問題は、
「部員が少なくて潰れそう、部活存続の条件は、
次の大会での優勝」ってやつだよね。
それがゴールで優勝したからといって、
何の意味がある? 
これだけでは何か意味があるものとは思えない。
マイナースポーツだったら、
「マイナーだけど人生賭ける価値のあるスポーツだぜ」
なんてことが言えるかもしれないが、
たとえばそのサッカーの試合にどんな意味があるんだ?
ってなってしまうよね。
その価値を証明するために、この試合勝たなければならない、
という風になっていない限り、
スポーツものは、ただ勝っておしまい、になりがち。

ロッキーの場合は、
全盛期を迎えていない、パッとしなかった男が輝くまでの話だ。
俺には価値があることを証明したい、と思って、
ほんとうに証明した男の話である。

事件は「ひょんなことからチャンピオンと試合することになったこと」と、
ゴールは「その試合で最後まで倒れずに意地を見せて観客を味方につけたこと」だ。
これで、自分をみなの前で示す、
というその試合の価値が決まるわけ。

これはボクシングという殴り合いだから出来ることだと思う。
サッカーのようなチーム戦では無理だし、
将棋のような肉体のものでもないから無理だろう。

で、このパターンはもうロッキーでやってしまったから、
スポーツものは別のテーマを持ってこないといけないわけ。
結構難しいんだよ、スポーツもの。


スタートになる問題は何か。
それはどういう結末を迎えるのか。
そのことで、どういう意味を示していると言えるのか。
これに明確に答えられるなら、
そのストーリーは書く価値がある。

よくわからない、まだよれよれの状態ならば、
どんなに途中が面白くても、
ラストで日和ることになるだろうね。
posted by おおおかとしひこ at 01:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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