2024年03月15日

メインとサブで、バックストーリーの分量は違う

メインプロットと、サブプロットがある。
いずれもバックストーリー(ストーリーが始まる前にあったこと)を持っているだろう。
その分量は、異なると思っている。


メインプロットが、
本編で一番分量が多いだろう。
サブプロットのほうが分量が多いならば、
それはもはやメインだよね。
サブがメインを食うこともなくもないが、
計算上は、
メインが一番面白くて、一番分量のある、
ボリューミーな部分になるはずだ。

そして、
あらゆるストーリーラインには、
たいていバックストーリーがある。

そのストーリーが始まる前にあったことであり、
説明がいらないくらいならば、
なんとなく分かるようになっている程度だ。
(パンを咥えて走る女子高生は、
遅刻しそうというバックストーリーを抱えている)
しかし、もっと説明がいる分量を、
どう扱うか、というのが問題だ。

よくあるのは、
語る必要のあるところに来たら、
回想形式で語るか、
ただのセリフの形で語るか、ということだ。
いずれにしてもそこそ分量が多いのなら、
特別に説明シーンとして設けるべきだろう。

つまり、
バックストーリーの示し方にはふたつある。
回想形式などで特別にあとで用意するか、
最初にちょろっと触れるかだ。

このうち、
ストーリーを始めなければならない序盤で、
あまりにもたくさんのバックストーリーを用意してしまうのは厳禁である。
なかなかストーリーが始まらず、
説明ばかりになって退屈になるからだ。

観客はストーリーを楽しみに来たのであり、
説明を聞きたいわけではない。
「さっさと始めろ」と思うはずである。

「スターウォーズ」の長々としたスクロール文字によるバックストーリーの説明は、
映画的には下手なやり方だ。
ただし、
「低予算SFという制約」であった、
オリジナル1(現在エピソード4)では、
有効な手段であっただろう。
それを絵で描く予算がなかったからね。

ほんとうはそれを短い絵で示し、
本編に突入させるべきであっただろう。


さて、ということは。

メインプロットのバックストーリーは、
とくに短めにして、
本編始まったところからやる。
そして、
サブプロットのバックストーリーは、
回想形式でやる。

と、
本編をすぐに始められて、
あとで必要な部分だけ回想で回収できる、
ということになる。

逆にいえば、
メインプロットのバックストーリーは、
分量が少なくあるべきで、
さっさと始められる分だけでよい。

サブプロットのバックストーリーは、
あとあと回想形式で伝えるから、
長く大量にあってもなんとかなる、
ということが言える。


もっとも、
メインプロットのバックストーリーの、
分量がとても多いならば、
あとあとどこかで回想形式で使うことにもなるだろう。

注意したいのは、
感情移入や焦点が起こっているのは、
「現在の部分」であり、
過去の部分ではないことである。

回想のほうが面白くなってしまうのならば、
回想の部分から本編を始めればいいのだ。
本編が回想のダシになってはいけないわけだ。

(過去の回想部分がおもしろそうだとなって、
つくったのが、スターウォーズの123、
ダースベイダーの誕生パートであることは言を俟たない。
しかしそれが映画的に面白かったかというと、
つまらなかったと思う)


さて、
ということで、
バックストーリーは、
最小であることが理想だ。

もし多くなりそうならば、
一幕で触れている暇はなさそうなので、
どこかで回想形式になることだろう。
もちろん、
回想を使わないシナリオが、
「いま」しか使っていないので、
もっとも優秀なシナリオでもあるがね。


当初、
メインプロットはバックストーリーが少なくて、
サブプロットに多くなることになるだろう。
そのあと、
メインを厚くしたくなったら、
回想形式にすることになる。
だけど回想ばっかりで現在を描かなくなるから、
サブの回想が削られる。
そうやって分量調整が行われるだろう。
posted by おおおかとしひこ at 05:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック