2024年01月16日

マルコフ過程、リレー小説、拡散

相変わらずChat GPTをいじめていろいろやらせているのだが、
AIの現状の生成でできることって、
リレー小説の方法論と同じだなと思った。

AIの言語モデルは、突き詰めればマルコフ過程である。
数学的なことを言わずにざっくり解説すると、
「あるものが来たときに何が次に来るかの確率」の話だ。
サイコロだと1〜6が1/6で来るが、
そうじゃないものだと、
何が次に来るかは、経験的な確率で決まっているというわけ。
次に来るものの集合と、その確率を、
大規模モデルで学習しているわけだね。

さて、このモデルがやることは、
昨日書かせた物語でもそうだけど、
「あるものの次に来る確率が高い展開」を、
生成してるだけなんだよね。
平凡な話だなあ、ていうか下手だなあ、
というのが昨日の話の感想なのだが、
それは当然なわけ。
だってマルコフ過程に従う以上、
「次に来るよくある展開は?」の答えだということだからね。
(神はサイコロを振らないが、AIはサイコロを振る。
マルコフ過程の次に何が来るかは乱数処理だ)
ベタというか、よくあるというか、
平凡なものが来るのは確率的に当然といえる。

(これをして僕はAIを中点発見装置だと言っている。
ストーリー展開の次によくある平均的なものを見出しているからね)

さて、
諸君はリレー小説をやったことがあるだろうか?
僕は高校生ころにやったかな。
4人でやってて、
なかなか完結しなかったことをよく覚えている。
個性も方向性もバラバラな4人が、
その場でアドリブで話を続けるのだ。
話は右往左往して、
焦点はすぐに変わり、
前の焦点や伏線は無視、
大体前のやつは死ぬ、
そして新しい登場人物が出てきては、
次のやつに殺される。

大体が、こういう展開になっていた。
要するに、
収束せずに発散するのだ。

逆に考えよう。
「ストーリーになる」とはどういうことか。
展開は発散する。
次のものが来る。
そして次のものが来る。
だが、発散しぱなしではストーリーにならない。
前のものが関係してくる、
以前に前振りしていたものがここで効いてくる、
前に設定したことの、意味がここで変わる、
など、
発散せずに収束するポイントが必ずあるわけ。
落ちはその最たるもので、
序盤からのすべてを「まとめる」ものである。
収束の収束なわけだ。

で、
リレー小説だとこれが一切なくなるんだよね。
前のものをできるだけ壊して発散して、
次にまた発散して、
手を付けられないようになっていくんだよ。
これはある種ストーリーの暴走過程だなあ、
なんて思いながら、
面白いので続けていた。
仮に誰か重要人物が死んでも、
次のやつが復活させたりするし、
実は死んでいたことに次のやつがするし、
めちゃくちゃでありながら、
まあなんとか完結するまで書いた記憶がある。

そのときに、
物語というものは、
暴れた川ではなく、制御された川であるべきだ、
と学んだなあ。

つまり、
下手な初心者の脚本や、
リレー小説や、
AIのつくるストーリーには共通点がある。
常にマルコフ過程にすぎず、
次第に発散していくことである。
最初にあったことはもはや後半にはまったく関係ないものであり、
前のを踏まえたものが後にくることはないのだ。
ただ、
一回前のものと、次のものがあり、
それらがよくある組み合わせなのか、
レアな展開なのか、という違いでしかない、
ということだ。


つまり、思いつきでどんどん展開させていく、
いわゆるライブ感の物語と、
たいして構造は変わらないということだ。



初心者が悩むストーリーづくりは、
まったくこのマルコフ過程やリレー小説のようなものである。
最初は調子よく展開していくのだが、
次第に似たような展開に飽きてきて、
それのアイテム違いしか生み出せなくなる。
そしてアイデアが尽きて死ぬ、
ということだ。
で、「全体としては何だったんだろう?」
で終わってしまう、ということである。

終ればラッキーで、たいていは途中で投げ出してしまう。
「落ちが見えなくなった」というのがその理由だ。
最初から見えていたわけでもないくせに、
見えるわけないよね。


ということで、
ストーリーづくりというものは、
このような、
「前から順番にアドリブで継いでいく」というやり方では、
絶対にできないと断言していい。
まれに出来るときがあるが、それは偶然に過ぎない。

ライブ感を大事にする人は、
段取りくさくなりたくない、
というのがその自己弁護理由だけど、
段取りみたいにしか書けない自分の実力不足を、
そううそぶいているだけに過ぎないんだよな。


ということで、
発散するストーリーしか書けないやつは、
AIと同等レベルの実力しかないということだ。
そんなやつは淘汰されてしかるべきだろう。


試しに、
リレー小説とか書いてみたら?
まずうまくいかないよ。
まとめに入る実力がない人でやると尚更だね。

まとめに入るということは、
それだけ難しく、
最初から発散していくやり方ではないやり方にしないと、
出来ないということだ。
posted by おおおかとしひこ at 16:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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