2024年03月25日

ダブル主人公

反目しあう二人でもいいし、
バディものでもいい。
ダブル主人公になるタイプのものは、
わりとある。


僕は、物語は原則主人公は一人でいいと考えている。
なぜなら感情移入の主たる対象は一人でいいと思うからだ。
だけど、世の中には、ダブル主人公タイプの物語はわりとある。
それは、ほとんどの場合、
「強い一人が思いつかないので、
ニコイチにしました」というパターンだ。

強い主人公が出来ないから、
コンビにしました、というパターンでバディものをやったり、
(そういう場合、かならずコンビは対照的な性格や見た目をしている。
それは自我の分裂であり、
片割れと片割れの両方があってはじめて完全な自我になることが多い)
どっちが主人公か迷ってしまって、
どっちつかずになっているパターンが多いと思う。

稀によくできているダブル主人公ものは、
きちんと両方に等価なアーク(成長の軌跡)がある。
そして、
両方に等価にセットアップがあり、
等価に展開があり、等価に結末がある。
しかも、
二つのプロットは互いに絡み合い、
ある方のプロットが原因で、他方のプロットが影響を被り、
などの影響しあいがある。

普通に考えて、
こんな風に絡み合った二重螺旋は、書くことが大変難しい。
美しい形になるべきだし、
感情移入に双方、等価にするべきだからだ。

だからそういうものになっているのは、
よい出来になる。
(ぱっと近年のものを思いつかないが、
古典で「ベンハー」はそうなっていた。
宿命の二人をモチーフにすると、そうなりやすい)

だけど、
大抵は、決めきれないからダブル主人公!
という安易なものが多いので、
それはつまらなくなるぜ、
ということを警告しようとしている。

どちらかが主でどちらかが副、
というのならきちんとプロットを組めると思う。


恋愛ものは、ダブル主人公が望ましい。
どちらから見ても胸キュンになるほうが面白いからだ。
だけどそうなかなかいかないから、
どちらかが主人公になり、
その人から見た相手を描き、そのハートをゲットする話になるだろう。

双方とも等価に描くのはなかなか難易度が高いが、
いつかやってみると良い。

恋愛ものが書けたら、
バディものも、宿命の二人ものも、
書けると思う。
どちらから見たどちらか、を考えて、
両方プロットを組み上げることは、
かなり難易度が高い。
そのもっともポピュラーだが、
難易度が高いものが、両主人公の恋愛ものだ。

これが書けたら、大体他のも書ける。
「バディものは、同性の疑似恋愛もの」という考え方もある。
男バディものはBLで、女バディものは百合というやつだ。
実際に性癖に触れなくとも、
外形はそういうことになる、ということである。
ブロマンス(Brother Romance)などといって、
ゲイではないことを強調することもあるが、
性欲があるかないかだけで、
実際のところはBLと変わらない構造になるだけのことだがね。


他者と他者の関わりを描くことは、
徹底的な客観性と、
バランス感覚と、
両方の主観になれる力の、
3つが必要になると思う。

それでも書ける人は、かなりの実力者だと思う。
筆力がなくて、「書いたらダブル主人公になりました!」とか言っている人とは、
次元が違うんだよね。

そのダブル主人公は、
実力がなくてそうなったのか、
綿密に計算しつくしてそうなったのか、
どっちだ?
前者なら鍛えなおせ。
単独主人公にできると思う。
後者ならば、さらに性格や境遇や癖や行動などを、
対照的にして、コントラストを増やすとよいだろう。
posted by おおおかとしひこ at 05:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 脚本論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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