まああたりまえなんだけど、
なかなかできないこと。
長期的にやるプロジェクトでは、
ゴールが明確になっていないと進めなくなる。
今日やってすぐに出来ることはゴールイメージはまあ適当でもなんとかなるが、
一か月や数か月、構想からしたら何年もかかる脚本というものには、
明確なゴールイメージがないと、
ぐらついてしまうものだ。
「悪の帝王を倒し、平和を取り戻す」
という抽象的なゴールだとゴールイメージではない。
「悪の帝王が剣に心臓を貫かれ、
後悔の言葉を『〇〇〇』と吐きながら、
崖下に落下する」
くらいには、具体的にイメージしておこう。
つまり、
もはやゴール部分の脚本を書いている、
といっても過言ではない。
もちろん、
実際の原稿をその通りに書くかどうかは、
マストではない。
たいてい、それよりもいいゴールを思いついているからだ。
なので、
そこへ向かうための仮ゴールだと思うとよい。
しかし「仮だから適当にする」ではだめで、
そこへ向かう覚悟で進めるべきだ。
さて。
そうすると、書く前に自問自答できる。
「これはこれから労力を割いてやるべきほどの、
価値のあるストーリーか?」をだ。
そもそもそのゴールにカタルシスや満足感がないならば、
そのストーリー全体が面白くない可能性がある。
あるいは、
そのゴールによって、
どういうテーマが定着するのかを考えることができる。
それで定着するテーマがしょうもないものならば、
やはりそのストーリー全体に価値がないことがチェックできるわけ。
もしその具体的なゴールイメージの時点で、
落ちを先にわかった時点で、
つまらないとか、
価値がなさそうと分かったら、
その企画は捨てたほうがいい。
もちろん、全然違うゴールイメージにリライトして、
新しい面白い話に作り直してもよい。
たいていはゴールイメージが定まっていないところから起こる。
迷いはそこから生まれる。
「これはこのようなゴールに至る話だから」と、
冷静に考えれば、
それは必要なのか、それとも不必要なのかを判断できるはずだ。
その灯台代わりに、
ゴールイメージは必要だ。
どんでん返しをするならば、
それ前提で動かなければならない。
落ちを言うならば、前振りが必要だ。
成長を見せたいなら、マイナスの状況が必要だ。
そうしたゴールへどこからスタートするのか、
あるいは、
そうしたスタートから始まって、
どういう道のりを進むのか、
という創作には、
常に終着点のイメージに向かうことが必要なのだ。
もしあなたの書いている話が行き詰っていて、
あるいは変更したいがどうしたらいいかわからなかったら、
ゴールイメージを正確に、具体的に、
なんなら脚本形式で、
書いてしまうとよい。
そのゴールでいいかどうかを検討できるし、
それがヨシとなれば、
そこへ至る逆算が可能になるだろう。
それはもちろん、
自分の中だけでもそうだし、
あるいは他人との共同作業でも同じだ。
このゴールだからこうするんだ、
という議論が出来るだろう。
それで暗礁に乗り上げたら、
「このゴールでいいんだっけ」という話し合いがもたれるだろうね。
付き合い始めた二人が、
二人のゴールイメージが異なることで、
分かれることはよくあることだ。
それじゃあ共同作業にならないよね。
もちろん、一人で書く場合も同じだ。
今の俺と未来の俺が共同作業するわけだから。
ゴールイメージは、
具体的であればあるほどよい。
ラストシーンである必要はない。
ストーリーが「解決した」という場面がよいだろう。
そのカタルシスに向けて、
クライマックスはどうあるべきか、
あるいはそれまでの展開はどうあるべきか、
逆転の前のもっとも暗いところはどうあるべきか、
そもそもどこから本格的な話に入るのか、
その前提はどうあるべきか、
などなど、逆算でものごとを考えられる。
仕事とは逆算のことである。
つまり、ゴールイメージは仕事をしやすくするための道具である。
たとえばロッキーのゴールイメージはどこだ?
観客のロッキーコールを得て、
勝者などどうでもよくなったところだ。
そのあとの「エイドリアーン!」は、
最初に決まっていなかったかもしれない。
しかし、
「試合の勝者ではないが、
観客が応援する勝者となった」
というのがロッキーのゴールイメージだよね。
これが、
「辛くも逆転してタイトルを得る。
努力は実を結んだのだ」
というゴールイメージが最初にあったら、
まったく違った展開になっていただろうね。
もっと勝つための説得力があるものが必要になっただろうし、
エイドリアーンは不要かもしれないよね。
(ラストのエイドリアーンと叫ぶ場面は、
中盤にテレビのインタビューで「エイドリアン見てるか?」
と素人丸出しのことをやって、
恥をかいたことの帰結だ。
この人間臭さが、試合には負けたが観客の心をつかんだ、
というゴールに不可欠なわけ)
ゴールイメージを正確に。詳細に。
具体的に。
それがそのストーリーの結末だ。
そして、あなたがやりたかったことのはずだ。
2024年03月28日
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