2024年02月06日

【薙刀式】「ローマ字入力以外の日本語入力」は色々ある

PCの文字入力法は、ローマ字だけなの?
これ小指痛くなるしバランス悪くない?
ホームキーのFJほとんど使わないし、
ここにもっと使うキーがあったらいいのに。

ローマ字(デフォルトは、qwertyローマ字という)
以外にも、文字の入力法は、
実はたくさんある。


キーに印字されているカナを使う方法がある。
一般にカナ入力と呼ばれるが、
正式名称はJISカナ配列だ。
Alt+ひらがなカタカナキーで切り替えができる。
(右下のIMEアイコン(Aとかあとか出てるもの)を、
右クリックしても切り替え可能だ。
Macは左上の環境設定→言語だったかな。
今確認できないので知ってる人おしえて)

ローマ字は1カナ当たり2打(出現率で平均すると1.7打)
しなければならないが、
カナ入力ならば、1カナを1打で打てる。
だけどカナは50あるので、
かなりな広範囲を打たないといけないので、
めんどくさい。
というか、ブラインドタッチには現実的な配置ではない。
(歴史を調べるとこの配列は電電公社の電報オペレータが使っていたものを、
そのまま採用した。だから専門オペレーターが使う前提で、
実は一般人が使う想定をしていなかった)


「これは変だ」と思わない人はいない。

qwertyローマ字もなんだか歪だし、
JISカナもなんだか歪だ。

もっとスラスラと書けるような、
キーボード配列はつくれないの?

つくれる。


キーボードから出す信号はスキャンコードである。
このスキャンコードとキーの関係を変えて
(回路を物理的に繋ぎ直す、ないしプログラム上で変える)
しまえばよい。
また、キーボードから受け取ったスキャンコードを、
具体的な文字に直すのはPCのOS側である。
ここにプログラムを仕込めば、
キーボード配列は変えられる。


qwertyとJISカナに策定される以前、
独自にそうしたキーボード配列が各メーカーによって作られていた。
最も有名なのは、
富士通の親指シフト(ワープロOASYS上のシステム)だ。
日本語入力でナンバーワンのシェアを誇ったが、
Windows普及の波に乗れずに廃れた。
他にも、NECのM式、
各メーカーで足並みを揃えて普及させようとした新JIS配列などがある。

しかしWindows普及の際に、
JIS規格(qwertyとJISカナの併用)だけが先行して使われ、
これが「不合理なんだけど普及してるから変えられない」
(デファクトスタンダード現象)
ことが理由で普及した。

使いやすいから普及したのではない。
普及してるから普及したのだ。(小泉論法)

僕はこれを愚かなことだと考えている。
同様なデフォルトスタンダード問題は、
ヤードポンド法、電流の向きが実は逆だった、
インチネジのせいでネジが統一されていない、
東日本と西日本で電源周波数が違う、
右側通行と左側通行、
などなど世界にたくさんある。

愚かなる人類はこれらをいまだ修正統一できていない。


さてキーボードだ。

たかがプログラムや回路で動いているのだから、
回路を作る(自作キーボードなどで)、
ないしプログラムを走らせ
(キーボード内部にファームウェアを仕込む、
ないしPC側でプログラムを走らせる)れば、
キーボード配列は変えられる。

もっと合理的な運指で、
書きやすく、疲れない、バランスの良い配列はないの?

ある。



すでに作られた名作がたくさんあるので、
それらを紹介しよう。

大きくわけると三種類ある。
ローマ字系、カナ系、漢字系だ。



1. ローマ字系

qwertyキーボードを並び替えて、
ローマ字の法則(ka=かなどと2打打つ)はそのままで、
動線だけを整理し直したもの。
たとえば子音を左手に、母音を右手に置けば、
直感的に使いやすくなるじゃない?

SKY配列、M式、きゅうり配列、けいならべ
DvorakJP、AZIK、ACT
カタナ式、tomisuke配列、大西配列

などがある。


2. カナ系

JISカナは4段使うから、
これらを3段に圧縮して、ブラインドタッチ可能にしているものが多い。
多くの場合、
よく使うメジャーカナは単打(そのままそのキーを押す)、
マイナーカナは、何かと一緒にキーを押すと出る、
という方式だ。(レイヤー方式、シフト方式などという) 

シフト方式には、親指キーと同時打鍵とか、
中指キーと同時打鍵とか、中指キーを一回押してその次に押した時とか、
人差し指キーと同時打鍵とか、色々ある。

親指シフト、飛鳥配列、シン蜂蜜小梅配列、TRONカナ配列
月配列、ミズナラ配列、ブナ配列、幸花配列、月光
新下駄配列、
新JIS、薙刀式
よだか配列、Phoenixカナ配列

など様々だ。

どの配列がどのように異なるか、
代表的な10の配列について分析した記事がある。
参照されたい:
【入力の話1】親指シフトよりいい方法が、少なくとも10個ある
http://oookaworks.seesaa.net/article/456683570.html



3. 漢字系

そもそも手書きでは漢字を直接書くのに、
キーボードで一々カナから変換するのはストレスだ。
だからキーボードでも漢字を直接入力しよう。
(漢字直接入力、略して漢直)

多くの漢直では、2打=1漢字に当てている。
たとえばab=漢などのようにだ。
(配列によって異なる)

常用漢字は約2000字あるので、
これらの全てを暗号のように覚えれば、
漢字変換を使わずとも打てることになる。
ただし実際漢直を使う人の記憶は1000字程度で、
覚えてないのは普通に変換から出すらしい。
(混ぜ書き変換という)

漢直には、以下のようなものがある。

T-Code、TUT-code
奏コード、和音漢直
葦手入力



ざっくり紹介してみた。
漏れたものもたくさんある。
ざっくりキーボード配列は、数百あると思ってくれ。

ほとんどは民間の個人開発だ。
「この指の並びと、この言葉の対応が、
合理的か?」を考えて、
その最適解を探ったものがキーボード配列だ。

しかし「どれが最適か?」はまだ決まっていない。
「どの格闘技/武術が最強か?」に答えが出ていないように、
基準がよくわかっていないのだ。

だから面白いともいえるし、
はよ決めてくれともいえる。w


ただひとつ言えることは、
文房具は使いやすいものを使うことが一番だ。

文房具が沢山あるのは、
手の感覚や思考の癖が、人によって違うからだ。
僕は、
キーボード配列は自由に選ぶべきで、
自由に存在するべきだと考えている。




世の中には(不合理な)qwertyやJISカナを極めた、
専門オペレーターレベルの人がいる(タイパー)。
その模範打鍵や、
上で紹介した新配列使用者の実際の打鍵を、
多数収録して比較できる動画集がある。
興味あれば参考にされたい。

【キーボード強者の日常文打鍵動画 1/16】オープニングダイジェスト、薙刀式×大岡俊彦(6:50)
https://youtu.be/2kMpgCmSatQ
(概要欄に各配列動画へのリンクあり)

【配列動画】まとめリンク【親指シフト、薙刀式、いろは坂など】
http://oookaworks.seesaa.net/article/475004852.html
posted by おおおかとしひこ at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | カタナ式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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