「目を挟む」という、
一見よく分からない造語を自分で作ってしまったので、
解説していく。
ブラインドタッチとは、
指とディスプレイの直結である。
ただし間に「物理的触感」を挟んでいる。
物理キーボードはなくなるか、
という話がよく出るけど、
物理の触感こそがブラインドタッチには必要なので、
タッチパネル式キーボードや、
ARキーボードは、
物理的触感にはかなり劣り、
代替できない。
たとえば、
格闘ゲームでの視覚での反応限界は、
大体12フレーム=12/60=0.2秒と言われている。
ところがブラインドタッチで、
そこそこqwertyを早く打てる人ならば、
秒7〜10打打てる。
これは平均速で、トップスピードなら15くらいは行くね。
全然視覚に頼ると遅いのだ。
中国武術でも、
「目隠し聴勁」というトレーニングがある。
目隠しをして相手に触った状態で、
相手の攻撃意思を察知して、
未然に防ぐトレーニングだ。
つまり、パンチや肘打ちやキックは、
「目で見てから避けるには速い」のである。
それよりも、
身体接触時点で、相手の意思を触覚で検知して、
それを未然に防ぐ方が速いと言われている。
この身体接触は、胴体や肩に触れてもいいが、
最もポピュラーなのは、
手の甲同士を接触した状態(塔手)だ。
ブルースリーの映画でもみたことがあるだろう。
実はこの体勢は、
「相手のパンチを一発受け流した状況」のシミュレーションなんだよね。
第一撃は離れたところからだから、
それはとりあえず防ぐとして、
防ぎ手を身体接触モードにして、
二撃目以降をコントロールするためにあるんだよね。
もちろん攻撃側も、その裏をかくようなフェイントの練習をする。
これは視覚では間に合わない、
触覚の世界のトレーニングだ。
だから中国武術では、
視覚より触覚の方が速いと2000年前から知られてるわけ。
同様に、寝技でも同じだ。
寝技では特に視覚なんて全部が見えないから、
相手に接触してる手足から情報を取る方が速いんだよね。
だから寝技は触覚の競技でもある。
さて、
ブラインドタッチができてる人にとっては、
この感覚は常識だろう。
なんなら印字されてるディスプレイの文字すら見てないよね。
ダダダダとキーボードの物理触覚を頼りに文字を書き、
それがあってるかのチェックくらいにしか目は使っていない。
つまり、「目を挟むと遅くなる」
という感覚がブラインドタッチにはあるわけ。
僕がタッチタイピングという用語を使わず、
頑なにブラインドタッチという用語を使う理由は、
タッチタイピングではこの感覚を表現できてないからだ。
暗闇で「手探り」なのではなく、
もはや自動運動として目を使わない感覚なんだよね。
ブラインドコーナーに突っ込む時も、
「曲がった先はこうなってる」という感覚だけで突っ込む、
あの感覚と同じだ。
別の話題で、
印字キーキャップをバラバラにして、
またキーボードにはめなおすときに、
どのキーがどこにあるか、
目で見てもわからない、というものがあった。
ところがFJをまずはめて、
構えれば、ああ、ここはIだ、Kだ、などとわかる、
という話がある。
つまり、「目を挟んでは理解していない感覚」
こそがブラインドタッチの感覚なのだ。
ブラインドが差別用語に該当する
(と思ってるのは日本人だけらしいが)ならば、
アイレスタイピングといってもいいよ。
目が見えてる人の情報処理は、
80%を目に頼るらしい。
その、「目に頼るのをやめろ」というのが、
ブラインドタッチであるわけだ。
つまり、
そもそも、指と物理接触の感覚が、
文字に変換される感覚がブラインドタッチだ。
そこに目を挟む余地はない。
どころか、
目を挟むと遅くなり、意味がなくなってしまう。
だから目を挟むなという話。
「目を挟む」という文字づらが、
飛び出た眼球をドアに挟むようなイメージになって、
言いたいこととは異なる文字づらになってたので、
あえて書いてみた次第。
手と文字を直結する感覚だ。
目はスルーする。
目を挟んだら遅くなる。
ブラインドタッチできる人はわかる感覚だが、
分からない人は分からない言語だろう。
自転車のブレーキを、手元を見ずにかけられる感覚みたいなことだ。
2024年02月17日
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